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【読んだ本】『自分の中に毒を持て』/ 岡本太郎

■ きっかけは、名言bot

以前から気になっていた岡本太郎の『自分の中に毒を持て』を読んだ。

そもそも、この本を知ったきっかけは、SNSを流れていた名言bot。
最近のSNSは「おすすめ」と称して、フォロワー以外の投稿が流れてくるが、うっとうしいと思いつつも、恥ずかしながら、ついつい見てしまうことがある。
そんな中で見つけたのがこの本だった。

■ よかった点 その1: キラーフレーズの玉手箱

本の内容としては、自己啓発系のエッセイだ。
「芸術は爆発だ!」でおなじみの芸術家・岡本太郎が迷える現代人に人生の教訓を説く!といった感じの内容だった。

実際読んでみた感想としては、思ったより良かった。
具体的に言うと、名言的なキラーフレーズが多いところが良い。
四章にわけて、それぞれのテーマで教訓を説いていく構成なのだが、
具体的なエピソードも多少交えてはいるが、基本的には「この世界と対峙する際の考え方」についてずっと語っている。
それらの内容にすごく納得性があるかというとそうでもなかったのだが、
随所に出てくるキラーフレーズが刺さりに刺さり、結果として読んで良かったという読後感となった。

■ よかった点 その2: 決断の極意

また、本書は読み手の状況によって色々な捉え方ができる本であると思った。
例えば、将来の進路に悩む人にとっては「夢や仕事の話」に、恋愛に悩む人にとっては「恋愛の話」に感じるかもしれない。
(実際、三章は「愛」がテーマで、フランス時代の岡本太郎の恋愛エピソードが沢山出てくる。ちょっとプレイボーイ風に語っている感じなので、「ホンマかよ!」と思う部分はあるが、芸術家ってモテるんだろう)

今の自分にとっては「決断についての話」に感じた。
人生は決断の連続であること、決断する際の考え方、決断する際の「覚悟」の重要性、など色々な話があったが、

中でも特に響いた一節は「迷ったら危険な方を選べ」というものだ。

これは単に「安全は平凡でつまらない」「刺激的な方を選べ!」というようなアヴァンギャルドな思想から来たものではない。
「人間は普通は安全な手段を選ぶ」のに「危険な手段が選択肢に入っているということは、それが本当にやりたいことだろ!」という納得性のある道理があった。

これまでも、「危険な方を選べ!」「難しい方を選べ!」みたいな名言や歌詞を何度も聞いたことがあったが、その論理的な説明は聞いたことがなかったので目からウロコで、妙に腹に落ちた。

確かに、わざわざリスクがある手段を選択肢に入れている時点で、自分の中で答えは決まっているのだ。
もちろん、実際には、家族や恋人など自分以外の大事な人のことを考慮した結果の悩みだと思うので、簡単に決断はできないと思うが、論理的に合理的に考えようとしすぎて、最初の自分の気持ちを忘れてしまうことはよくある気がするので、改めて肝に銘じたいと思った。
すべてを手に入れることなんてそうそうできない。何かを捨てる勇気を、覚悟を持って、決断をしなくてはいけないのだろう。

■ まとめ: 意外に「庶民」にも利く本だと思った!

本書はタイトルや著者のイメージから
「大きな夢や野望がある人」をターゲットにした本だと思っていた。

だが、実際読んでみると、大きな夢も野心もない
「平凡な庶民」にも充分に当てはまる内容だと思った。

確かに岡本太郎の言う通り、人生は決断の連続だと思う。
ただ、自分のような怠惰な人間は、ついつい惰性的に保留してしまいがちだ。

そこで覚悟を持って決断をし、とにかく実行していけば、
なんとなく良い方向に進めそうな気がする。
そんな希望を持たせる本だった。

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