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【観た演劇】『人吸い』作・演出:安藤奎

■ 安藤奎の新作演劇『人吸い』を観た!

先週の金曜日に『人吸い』という演劇(コント?)を観た。

そもそも、この公演は「南海キャンペーンズ」という南海キャンディーズが3日間に渡り下北沢の本多劇場で開催したライブ企画の1つで、しずちゃんこと山崎静代さんが主演を務めている。
お笑いファン目線だとキャストが豪華で、しずちゃんの他にシソンヌのじろうさんとTHE W覇者の吉住さんが出演されていた。そこに芸人以外の唯一の出演者である俳優の鄭亜美さんを加えた4人でのお芝居だった。

自分が観たキッカケは、もともと「劇団アンパサンド」という劇団が好きで、その主宰の安藤奎さんが作・演出をするということで、これは見なければ!とチケットを買ったのであった。

■見どころ1: 「奇想天外なギミック」と「バカバカしさ」

劇の内容としては、失踪した夫を待つ妻と彼女に付き合う隣人たちの話で、途中から、ある「ギミック」によりホラー的展開になっていく……という感じのコメディホラー作品だ。また、終始、マンションの一室で展開するワンシチュエーションものとなっている。

見どころは、後半の登場人物たちが次々に「アレ」に「アレ」されていくところなのだが、ネタバレになるので詳しく言えないのが非常に残念である。

安藤奎作品をはじめて見た人は、最初にあの人が「アレ」に「アレ」された時にちょっとビックリしたのではないだろうか。そして、そこから繰り広げられるバカバカしい茶番。そのバカバカしさに笑ってしまい、いつしか癖になりハマっていく。

登場人物が「アレ」に「アレ」されるところ!
とばかり言っていても意味がわからないと思うので
もう少しわかるように抽象的に説明すると
「奇想天外なギミック」が引き起こす「バカバカしい」展開
という感じだ。
正直、ネタバレを気にしなければ、非常にシンプルに説明できるのだが
もどかしいものである。
(もう少し、ヒントを出すなら「舞台の題名から連想できるもの」ということ)

ちなみに、安藤奎作品を観たことのある人なら、舞台上に「アレ」があった時点で後半の展開をなんとなく察することができたと思うので、逆にいつ「アレ」に「アレ」されてしまうのかを期待しながら見守るという初見の人とは全く別の楽しみ方となっていたと思う。仕掛けを知っていても楽しめるのは、伝統芸能のような趣があって非常に良い。

■ 見どころ2: 役者の芝居

他の見どころとしては、役者陣のお芝居だ。
普段は演劇界の役者の方を中心に構成されているが、今回は芸人の方がメインだったので、どうなるかと思ったが、出演者が “お芝居好き寄り” の芸人さんたちということもあってか、お笑いっぽさはなく、普段のアンパサンドの演劇と変わらない感じで観ることができた。

とはいえ、今回一番目立っていたのは、唯一の芸人以外の演者である、鄭亜美さんだったと思う。
そもそもの役自体が奇天烈なキャラクターだったが、それを鄭さんの怪演でさらに引き立たせていた。

ちなみに、「奇想天外なギミック」は、安藤奎作品の魅力の1つに過ぎない。そもそも、前半に積み重ねた登場人物同士のコミュニケーション内の些細な不和が行きつく先が「奇想天外なギミック」による爆発であって、そこまでに積み上げた細かいセリフとかも一個一個すべて面白味があるのだが、その辺を語り出すと長くなるので今回は割愛する。

■ まとめ: やっぱり安藤奎は面白かった

4度目の安藤奎作品。今回も楽しませてもらった。
ただ、免疫ができてきたのか、最初の頃のと比べて、ちょっとだけ刺激が減ったような気がした。
ミルクボーイのネタのように、大枠の展開が毎回同じなので、多少の慣れはあるのだろう。人によっては飽きてしまう人もいるかもしれない。
自分はまだまだ面白いが、少し趣向の違う作品も見てみたい気はする。
そういう点も含めて、今後の安藤奎作品がどうなっていくのか次回以降も楽しみである。

色々と言ったが、最終的な感想としては「やっぱり安藤奎は面白い」ということ!
まだ見たことない人はぜひ一度見てほしい逸材である。

少し先になるが、8月に新しい舞台をやるそうなので気になった方はぜひ。

■ 劇団アンパサンド新作公演情報

会場:新宿シアタートップス
2024年8月7日(水)~8月11日(日)
作・演出:安藤奎
出演:川上友里 安藤輪子 西出結 安藤奎 永井若葉 他https://gekidanampersand.wixsite.com/mysite

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