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回文〆日記#6 妖怪の手仕事

だいぶ前、家の横に自然発生し、そのまま根付いたハンゲショウ。強いので、増えすぎた分は抜いている。生長は今年も暦どおり。夏至前に、いちばん上の葉だけ白く染まり始めた。

植物の規則性にはいつも感心するが、メジャーな節目、夏至の到来を知らせるハンゲショウの派手な変化には、特に驚く。

窓から眺めて、回文を作ってみた。


草、一枚白し。今、小さく。

→くさいちまいしろしいまちいさく←


ゴミ出しの帰りに、近くで見てみた。すると。

先っぽの白い葉は、2枚ある!記憶の中では1枚だった。しかも、大きい方の葉は、思ったよりでかい。


白い葉、大小1枚ずつで1セット。

 

さっきの回文、だめじゃん。

気を取り直して、観察。やはり、緑の葉が白くなる過程は、何度見てもかなり不思議だ。手作業で白い塗料を塗りつけたよう。白の際が、まるで刷毛目。夜な夜な、暗闇でも見える目を持つ妖怪が塗っている、という噂が流れたら、信じてしまいそうだ。


白くなりかけの葉。
途中で夜が明けてきて、
妖怪、やむなく作業中断。
続きは、次の夜。



あらためて見ると、ハンゲショウのぺったりした白さは、ほんとに独特。生えている一角だけ、へんに明るい。透明感のない濃い白が作り物っぽさを醸し出し、しげみ全体が芝居のかきわりのようにも見える。

この変わった植物を横目に、今年も夏至を迎える。節目には、気持ちをリセット。この現実という舞台で、意外な役に挑戦するのもいいかも。ミュージカルに備えて、ビブラートの練習だ。

現実ではいきなり、話すように歌い出したりはしない。


葉色、知る。夏至に繁る、白い葉。

→はいろしるげしにしげるしろいは←



追記
夏至の3日後、白い葉をふとみると、小さい方の脇から、さらにちっちゃいのが出てる!


白い葉は、3枚で1セット。(6月24日時点)


追追記
白い色素がどこまで広がるのか気になり、その後も定期的に見てきた。複数の個体を観察したところ、どうやら4枚が打ち止めのよう。8月になると全体が色あせ、あの鮮やかな白さははたして現実だったのか、と思う。


白い葉は、4枚で1セット。(8月2日時点)



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