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私が生まれる前のお母さん

「私たちが生まれる前のお母さんは、誰がめんどうを見ていたの?」

まるで、5歳の娘に私がめんどうをみてもらっている様な言いぐさである。

まあ、そういう面も、ある。

最近、娘の視野が広がってきており

「人間が生まれる前の世界はどうなっていたの?」とか

「人はどうやって増えたの?神様が全部作るのはむずかしくない?」とか

「神様はどうやって世界を作ったの?」とか

難しい質問をされることが増えた。

大人になった今、思うのは、答えはそれぞれの人によって違うという事。

信じる神様は人によって違うし、神様を信じない人、都合のいいときだけ神様に頼る人もいる。私だ。

人間が生まれる前の世界の話も、本当のことは、誰も知らない。

そう、明確な答えがないのだ。

私にできることは、彼女の世界を否定しないこと。

描いた世界をおちょくらないこと。

一緒に妄想するのは、楽しい。

小さい彼女の世界が広がっていく様子は目にはみえない。けれど、まるでつぼみだった花がゆっくり、やわらかに開きかけているのが、わかる。

花は、繊細だ。ポッキリ折れもするし、枯れることもあるだろう。でも、枯れても種を風に乗せて飛ばすかもしれないし、同じ場所でまた咲く可能性もある。

私は、それを間近で見ることができるんだな。

あなたが生まれる前のお母さんは、あなたみたいな、女の子だったよ。

そういうと

「えーやだ」

と心の花がしぼんだので、今日はレトルトのカレーにしようかな。

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