ばらのはな#49
失恋したら、大好きだった歌が嫌いになった。
彼がよく口ずさんでいたから。
私の車なのに、HDDには2人の思い出の曲が詰まっていて、正直、何がかかっても反吐が出そうな気分になる。
いっそすべて捨ててしまいたい。
でも、そしたら新しいナビを買わなきゃだし、取り換えにもお金がかかる。
なんなら、彼がいつものってたこの青い車も、もう乗りたくない。
仕事があるし、他に手段がないから、のるけど。
それを言うなら、何度も彼が遊びに来た家も、もう帰りたくない。
引っ越したい。
田舎に帰りたい。
キラキラした思い出は、私の心を締め付けて、息ができなくなりそうだ。
もう未来には何も描けない恋を思い出して、私は動けなくなる。
なんで、どうして、こうなった。
いや、こうなることはわかっていたのかもしれない。
いっそすべてを捨てたい。
それにはお金がいる。
パワーがいる。
今の私は、心が空っぽのただのでくのぼう。
身体も足先まで冷えて、動かなくなりそう。
なんで、どうして。
恋を乗り越えるのにも、お金がかかる。
お金も愛もない私は、思い出の中でゆっくり気持ちを殺していくしかできない。
何もないのに、何もないから動けない。
私は、つよくなりたい。
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