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孤独#31

一人暮らしの時、予定のない土曜の夕方や日曜の夕方が嫌いだった。

お店はどこも混んでいて、あちらこちらから楽しそうな人の営みの雰囲気を感じて、鬱になる。

自分だけじゃないとわかっているのに、世界で自分だけが一人で、夕焼けがこんなにきれいなのに共感する相手もいなくて、ご飯も作る気が起きなくて、ベッドに寝ているだけ。

こうやってダラダラ過ごすと、夜中まで起きてしまうから、ベッドの前の棚にある何度も読んだ漫画をまた引っ張り出してきて読むだけの夜が来てしまう。

もういっそ、町に出てバーにひとりで行くかと思うほど、1人が憂鬱だ。

でも同じくらい、人に合わせるのもしんどい。

なぜ人は、1人では寂しいと思い、人と会うと煩わしいと思うのだろう。

丁度は、なかなかない。

結局、寂しさに負けて結婚したが、思った通り、家族はなかなか煩わしい。

自分で作っておいて言うのもなんだが、なかなかに煩わしい。

でも、夜や夕方、1人の時間がないのもあるが、孤独を感じることはなくなった。

煩わしいし、めんどくさいが、それなりに「こうしてあげたい」「ああしてあげたい」という気持ちが湧いてきて、生きる目的みたいなものもできる。

ひとりの時よりも、格段に頑張れる人になったと思う。

で、こうやって家族といながら、愚痴ったり、煩わしくおもったりして、多分またいざ一人になると、寂しいのだろう。

むしろ、人といる安心した気持ちを知った今は、より1人が堪えるのではないか。

スーパーのキッズスペースで、ひとり、子どもたちを見ながらワンカップをちびちびやっているおじいさんからは、染みついた孤独がにおいと哀愁になって漂ってくる。

私も、同じ立場になったらなかなか家に帰れないかもしれない。

疎ましさやうるささの中にあるあたたかい人のぬくもりを渇望して、酒でまぎらわすことだろう。

やはり、孤独は怖い。

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