愛と朝ごはん#40
夫が呑気症(どんきしょう)になった。
げっぷが止まらなくなるその症状は、ストレスや胃にかかる負担からくる。
息子の子育てを文句言わず率先して手伝いながら仕事も真面目にこなす夫らしい、ストレスの出方だと思った。
お弁当では揚げ物や重いものを減らし、野菜中心に、夜はヤクルトを飲んで寝るようにした。
そして朝は、ちょっといいヨーグルトを買って食べることにした。
地元の酪農企業が作るヨーグルトは市販の200円ほどのヨーグルトより150円ほど高いが、その価値がある味なのだ。
少し甘めのヨーグルトが好きだった夫も、いつのまにか毎朝そのヨーグルトを好むようになってきた。
身体は健康体そのものの夫だったから、胃腸と、そしてちょっと頑張りすぎた家庭の役割を意識してシェアすることで、だんだんと呑気症はきえた。
今でも食べすぎたり、コーヒーを飲みすぎたりするとでるようだが、慢性的な症状からは脱出できた。
強い人には、目に見えない負荷がかかりやすい。
家庭を回していくうえでそれを強く感じた。
妻の仕事は、その目に見えない部分のマネジメントも兼ねているのではないかと思う。
一歩引いた視点で家族を回すことが必要なのだ。
週に2回買うヨーグルトの1回あたりの差額が150円だとすれば、
150円×2回×4週×12か月=年間14,400円
節約もできる。
でも、ちょっといいもの、ちょっとしたストレスの緩和、そしておいしいという毎日の積み重ねでこれからも一緒に過ごす未来が変わるとしたら、とても価値がある。
呑気症が出なくなった夫には普通の毎日が戻って来た。
毎朝の習慣を当たり前にするのは、買い物をする私だ。
どのヨーグルトを選ぶか、果物も買うか、ちょっといいスイーツも買っておくか、たまにはビールも買うか。
家族の顔を思い浮かべながら選ぶのは、楽しい。
妻の毎日は当たり前だが、なんとやりがいのある「あたりまえ」なのだろう。
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