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結婚式#10

結婚式は、出会いの場としていつも意気揚々として参加していた。

普段着ないドレス、痛くても履く高めのヒール、セットした髪型。

花嫁ほどではなくても、自分史上ではいい感じに入るようパッケージされている。

共通の話題がありながら、友達の旦那の友達という適度な距離も最高だ。

いい男がいれば、何かきっかけを探して二次会に挑んでいた。

そんな私は、結婚式をしなかった。

当たり前である。

友人の結婚式も、おめでたい出会いの場程度に考えていた女だ。

男をひっかけたあと、自分を着飾って残しておきたいというほど自分の容姿が好きでもなかった。

そして、目の前には30歳が迫っていた。

結婚式にはたくさん参加して飽きていたのもある。

やりたいことは、友達がやりつくしてくれていた。

それでも、兄弟の結婚式に参加すると、親族と顔を合わせてあいさつし、つながりを持てて、結婚式って意味があるんだなと思えた。

むしろ、女の承認欲求を満たすものじゃなく、家族の紹介の場でもあることを思い出した。

結婚式って大事だったんだなぁと、息子を抱えながら思った。

かといって、やはりしたいとは思わなかったので、両家の兄弟に感謝している。

周りの花嫁を見ていると、ダイエットをし、エステをし、コンディションを整えて、結婚式に向かっている。

えらいなぁと思う。

私はそれらを省いた。

ずーっと、あの花嫁役をやる自分が想像できなかった。

指輪があり、婚姻届けがあり、2人の生活が静かに同じように始まって、名字が変わる位しか変化のない毎日をすごすだけで十分だった。

結婚にはいろんな形がある。

自分たちの形を満足して選んでいくのが結婚なはずだ。

それでも、娘がもし結婚式をしなかったら、寂しいとおもったりするのかなぁ。


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