見出し画像

伊達忍さんと、おもちゃ箱 【SdT_11】

映像作家・伊達忍さんのことは、ほんの数日前に、Sことショータくんが書いてくれていますが、
今回は、伊達さんとTとの、出会いについて。

『avec Toi』参加アーティストとして、劇場の年間パンフレットには、伊達さんを含む3名のメイン・アーティストを掲載しています。
でもTの中では、スズキトモミチさんや、追って紹介する(本当はもっと早く紹介したい&するつもりだったんですけど、諸々の兼ね合いで少々お待ちください…)平野由記さん、グンジキナミさんはもちろんのこと、他に、普段はアーティストではない、自身がアーティストだとは思っていない人なども含め、現状10名ほどが「参加アーティスト」だと考えています。
その中でも伊達さんとは、スズキさんに次いで、古くに出会いました。

ていうか、これまた薄ぼんやりとした記憶と記録を辿ったところ、驚くことに、
それこそスズキトモミチさんに初めて出会った、まさにその日、伊達忍さんという映像作家の存在を知り、
2~3日のうちには、もう即アポイントを取ってますね、これ。

どういう経緯かというと…
劇場のシリーズ公演として、代々の担当者が大切に繋いできた、「おんがくのおもちゃ箱」という、0歳から入場可能な親子向けの音楽公演があります。
今年も、9月に宮崎市内と、えびの市で、来年2月には「クラシック編」として、西都市での開催が予定されています。
(来月8月から劇場が長期の改修工事に入るので、県内各地で公演を行っていくのです。)

2020年、Tもこの公演を引き継いで担当することになり、それまで行われてきた公演の形を尊重して、着々と準備を進めていたのですが、2020年といえば、…そう、コロナです。
子どもたちが大勢集まり、0歳児ではマスクもできない、泣いたり叫んだりということもある中で、基本的には出入り自由な形をとっているので、指定席で間隔管理というのもなかなか現実的ではない、…いろいろ検討はしてみたものの、リアル上演を進めることは、もっとも難しいタイプの公演でした。

しかし、楽しみにしてくれている大勢の子どもたち、お客さんたちがいるのも事実。
その頃、クラシック音楽界隈では、オンライン配信の可能性が注目をされ始めていました。

最初に話題になったのが、びわ湖ホールが無観客で実施、無料でライブストリーミング配信を行った、ワーグナーのオペラ(楽劇)『神々の黄昏』。なにせ冗談みたいに長い、長大な作品ですから。
そして、Tが以前在籍していたミューザ川崎シンフォニーホールと、フランチャイズオーケストラの東京交響楽団が、ニコニコ動画で行った無料ライブ配信では、いわゆる「弾幕」といわれるコメントがクラシック音楽演奏の映像に重なり(「ここでオルガンが、来る、来る、・・・キタ――(゚∀゚)――!!」みたいなのが、たくさんあったように記憶しています)、それらは何というか、感動的な、想像力とテクノロジーの勝利といった感慨を生んでいました。

そんな中で、宮崎の県立芸術劇場が実施する、親子向けのコンサートを、ただ同じようにライブ配信しても、それはあんまり面白くないんじゃないかな、観る人たちにとっても…と思いました。

宮崎には、せっかく美しい風景がある(そしてこの劇場自体も、またそこにあるベーゼンドルファーだって、美しい)、
そして全国の人たちにとって、その頃、なかなか旅行や移動すらもままならない世の中になってしまった、
少し窮屈な空気感の中で、開放的な夏の宮崎の風景と、我々の劇場と、音楽のシリーズ公演を、
魅力的な映像物語で結びつけることができたら、それは普段来てくれるような近隣のお客さんたちばかりでなく、広く宮崎の外へも向かって発信する意味も、より強くなるのでは、と考えたのでした。

「おんがくのおもちゃ箱(おとのたねバンド編)」は、出演者みな、地元宮崎のミュージシャンたち。
であれば、やはり宮崎の映像作家にお願いしたいけれども(コロナ禍の様々な事情もありました)、
Tはまだ宮崎に来て1年半も経っていない頃。地元のアーティストのことも全くわかっていない。
そんな中で、コトリさんにこの話をしたところ、伊達忍さんの名前が挙がったのです。

(つづく)


いいなと思ったら応援しよう!