敷居を踏んではいけない理由
【大杉江戸古民家の里 創生プロジェクト】
築170年の古民家をホテルにリノベーションするプロジェクト。
傷んでいた大広間の「敷居」を大工たちが新しく造り替えている。
樹齢60年を越える大檜(おおひのき)の中心部を縦2つに切り出した、節目一つ無い見事な材である。
敷居は障子や襖といった「建具」の一部であり、床ではない。
だから踏むものではなく、跨ぐ(またぐ)ものなのだ。
踏めば歪んだり傷もつくだろうし、戸の滑りも悪くなってしまう。
そも、自分の歳以上の年輪を刻んできた大檜に畏敬の念を持たざるを得ない。
さらに、0.1㎜の誤差もなく艶やかで美しい大工たちの仕事ぶりを見て、これを踏む気持ちにはとてもなれない。