『御利益の経費』 #私のムダ遣い
(noteハッシュタグ企画 #私のムダ遣い )
「人生には無駄なことなど1つも無い」などという言葉をよく耳にしますが、
本当にその通りだなぁ〜と思う反面、「いやいや世の中、無駄なことばかりだ」と思うような出来事も起こるものです。
私の知り合いに藤原という男がおりまして、
この男、根っからの几帳面。
それが役に立っているのか、仕事は優秀な経理担当者でした。
大きな会社の経理担当ということもあり、とにかく無駄が大嫌い。
無駄な物を排除して、簡素化、有益な物を残すことこそが自分の仕事だと使命感を持っていました。
その手腕を欲しがる会社は沢山ありましたが、
彼自身を必要としている女性とはまだ出会っていなかったとみえ、独身を貫いておりました。
そのことが影響したのか定かではありませんが、優秀な彼が判断に悩む事例がありました。
ある年の決算処理で、毎年出雲大社で買ってくる商売繁盛の御札が本当に必要なのか?という話になりました。
社長としては、経費で落とせるかどうかはどっちでもよく、ダメなら自腹で買ってくるよと言っていたのですが、
藤原としては、“どっちでもいい”というのが一番納得がいかないらしく、
「ちゃんと御利益があるのなら経費としましょう」となった。
御利益があるかどうかを見せてくれと言われ、社長は困ってしまいましたが、
ふと、御札と一緒に“縁結びの御守り”を藤原に買ってきたことを思い出し、
「そういえば、縁結びの御守りの御利益はあったかい?」と聞いてみた。
その質問に、逆に困ってしまった藤原。
そう言われて思い返してみると、
確かに今年に入ってから、よく行く小料理屋の女将さんと話すようになった。
おかげで他の女性客がいれば、その人とも話すようになった。
以前には無かったことだが、
はて、それは“出雲大社の縁結びの御守りの御利益”かと聞かれると、
胸を張ってそうですとは言い難い。
もっとハッキリ分かるといいのだが…
そこで藤原は社長に、こう申し出た。
「御利益があったのかどうか、まだ結論を出すことができません。
仕方がないので、来年はあと2、3個縁結びの御守りを買ってきては頂けませんか?」
御守りの数で御利益の大小が変わりることはございません。
翌年、余分に買った分の御守り代は、藤原の自腹となりました。
ですが、
御守り代が本当にムダ遣いだったのかどうか、それはまた別のお話で。
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