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前編 納屋町商店街で残していきたい想い【インターンシップ生が取材に行ってきました!】
伏見にある420年もの歴史を誇る納屋町商店街。
豊臣秀吉の伏見城築城と同時に城下町として誕生しました。
現在も地元の方に愛され続けています。
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今回、各店舗の皆様にご協力いただき、納屋町商店街の3Dデジタルアーカイブを作成します!
そして納屋町商店街の3Dデータを残すにあたって、各店舗の皆様が残していきたい想いとは何か。
たいせつアーカイブスの活動を行うインターンシップ生の籔内と田上、上ノ山が合計7店舗、お話を伺いました。
(納屋町商店街の3Dモデルは後編の末尾に掲載)
インタビューの内容は、前編と後編に分けてお送りします!
前編では以下4店舗の皆さまのインタビューです。
結納司 石本陽風堂さん
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定休日 : 火曜日(正月休・盆休 有) 駐車券有 大手筋サービスセンターガレージへ駐車下さい。
住所 : 京都市伏見区納屋町 110番地の3
HP : 結納司 石本陽風堂
京都のしきたりや儀式について相談できる大正初期創業の結納屋さん。その場で金封の表書きもしてくださいます。
田上:創業は大正初期ということで、そこからの歴史をお伺いしたいです。
石本さん:創業時は、石本と違う人が結納屋さんをやってはったのを、僕のおじいちゃんが昭和の最初にその方からお店を引き継がはった。そこから親父で、僕で、3代目。店自体は100年ぐらいあるゆうことになりますね。
田上:思い出のある商品はありますか。
石本さん:飾りの松ですね。今はだんだんちっちゃなっていってるけど、バブル弾ける前の全盛期の頃はこれぐらいの飾りが当たり前に売れてた。
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田上:商店街でのエピソードはありますか。
石本さん:この商店街の初代理事長が僕のおじいちゃんやった。そこから親子3代で理事長してたね。アーケードが新しくなる時もアーケードを作る委員会とかで、どんなええもんつくろかって何度も会合とかしたのは思い出すね。
田上:商店街で残していきたいものはありますか。
石本さん:やっぱり商店街っていうのを残したいですね。僕が理事長なった時の最初の抱負も”22世紀に残る商店街”って言うたもんね。
田上:お店で思い出の物や残していきたいものはありますか。
石本さん:そうですね、このお店自体が100年前からずっと一緒やからね。入口の取手の下も擦り切れてるでしょ。今100年の歴史を刻んでるところですわ。
田上:今後について、伝えていきたい思いはありますか。
石本さん:多分若い人らは字書いてもらえるとか知らはらへんやろうから、作法とかも含めて知ってほしいなって思いますね。堅苦しいなと思わはる部分もあるやろけど、決まりがあるからかえって楽な部分もあるからね、そういったところを伝えていかなあかんなって思いますね。
ギフト&陶器 しばたさん
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定休日 : 火曜日,お盆,年末年始
住所 : 京都市伏見区 パッサージュなやまち5番街
インターネット販売はこちら
ギフトと陶器の専門店。お祝い物やお返しなど、状況やお相手によって何を贈るのがいいのか悩みますが、たくさんの品々から、贈り物のプロがアドバイスしてくださる頼もしいお店です。
上ノ山:創業当時のことを教えてください。
柴田さん:創業当時は陶器のみを扱っていましたが、40年ほど前にギフトを始めました。
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上ノ山:ギフトを始めたきっかけは何ですか。
しばたさん:当時ギフト需要がすごく高かったんですよ。時代の流れに合わせて変わっていっています。
上ノ山:石本陽風堂さんの石本さんと同級生と聞いたのですが、何か子供の頃のエピソードはありますか。
柴田さん:小学生の頃はよくこの辺で遊びましたね。昔、池がいっぱいあったので、ザリガニ釣りに行ったりしました。今は商店街のことを一緒にしています。昔はもっと商店街に同級生が多かったんですよ。
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上ノ山:そうなんですね!学校みたいで楽しそうです。
上ノ山:柴田さんの残していきたいものは何ですか。
柴田さん:代々来てくれているお客さんかな。息子さんや娘さんも来てもらえるような、長いお客さん、お付き合いを大切に残していきたいです。
(株) 岩田呉服店さん
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定休日 : 火曜日・第 1・3 日曜日
住所 : 京都市伏見区納屋町 116番地
HP: http://iwata529.jp/
創業70余年、伏見のなやまちに店をかまえ56年。お客様の立場に立ち、良いと思うものを提案してくださる着物のプロがいるお店です。
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籔内:お店を継ぐにあたって葛藤はありましたか。
遠藤さん:先代のお客様がおられて、後の世代まで継いでいくには、やはり私しかいないと思っていたので、継ぐことに対しての葛藤はありませんでした。
籔内:接客する時に意識していること何ですか。
遠藤さん:お客様に合ったものを選ぶために「良いものは良い」「ダメなことはダメ」とハッキリ言います。「似合わないものには似合わない」「買わなくていいものには買わなくていい」「買わなくても、これで代用できませんか?」と伝えますね。
籔内:その人に合ったものを選ぶのが難しいと感じたことはありますか。
遠藤さん:ないですね。選ぶのが好きなので。
似合うものをお探しして、それを着て行かはって行った先で褒めてもらわはる。「『すごい素敵ね!』って言ってもらったよ」と言われることが、仕事をしている中でのモチベーションですね。
籔内:売上ではなくお客様自身にどう喜んでもらうかを考えられているんですね。
遠藤さん:そうやね。お客さまがそう言ってくださることで、また思い出が出来るわけなので。それをたくさん作っていくことが嬉しいかな。
会社の理念が「伝統と信用の積み重ね」って言うんですね。私のおじいちゃんが作った会社で、伝統と信用が積み重なって行ってこそだと思っているので、それを私は継がないといけないと思っています。
ここで60年くらい店をやっていて、お客様が遠くに引っ越されても、わざわざ来てくれるので、ここ(納屋町商店街)に居続けたいなと思います。
籔内:岩田呉服店さんが残したい、伝えたい想いを教えてください。
遠藤さん:いい時代のいいお品物を次の世代の人が着られるように残していきたいです。昔のものを継いで、きちんと直したり、きれいにして次の世代の人が着てくれはるのが理想です。
伏水酒蔵堂さん
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住所 : 京都市伏見区納屋町141番地
HP:https://sakagurado.com/
京都・伏見18蔵元のお酒とこだわりの逸品を販売されているお店。お酒の他に酒器や厳選食品、伝統工芸品も販売されています。
籔内:創業は何年ですか。
川岸さん:グランドオープンが2020年3月28日なので3年半年くらいです。
籔内:オープンが2020年ということはコロナ禍ですね。当時の商店街の雰囲気はどのような感じでしたか。
川岸さん:そうですね。国内で感染者が出始めて、不安が渦巻くような暗い雰囲気でした。それに比べると今は明るい街になったと思います。
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籔内:商店街での思い出のエピソードはありますか。
川岸さん:7つの商店街が合同で7月に夜市っていうお祭りをやるんです。それを初めて見た時は感動しましたね。近隣にお住まいの方が出てきてお祭りに参加されると、すごい数のお客様に来ていただくことになりました。
籔内:これからの商店街にどのようなお客様に来て欲しいですか。
川岸さん:伏水酒蔵堂としては、地元の方々、観光で来ていただいた方々、色んな方が来ていただきやすいお店っていうのを常に意識しています。地域の方には伏見のお酒を県外に広めていただきたいです。県外の方や国外の方には、日本酒という文化がもっと広まっていったらいいなと思います。
楽しく買えるお店っていうのをコンセプトに続けていきたいなと思っています。
後編に続きます。