角野隼斗×亀井聖矢2台ピアノツアー(大阪)に行ってきた
年の瀬の2022年12月29日、ザ・シンフォニーホール(大阪)で開かれた「角野隼斗×亀井聖矢2台ピアノツアー」。本来7月に開催予定だったが、角野くんの体調不良により延期になった公演。まずは中止にしないで延期公演を開催してくれた関係者の方々に感謝したい。そして、この半年余りにの期間で角野くん亀井くん共にいろんな経験を積み上げて、素晴らしいコンサートになったと思う。私なりの言葉で振り返っていく。
プロローグ
シンフォニーホールには何度も足を運んでいるが、初めてJ列だった。前が中央通路で遮るものがなく、舞台を見渡せる。オーケストラなら最高の場所だ。今回は2台ピアノなので、かなりベストに近い場所だったと思う。ただ中央より左寄りで、右側のピアノだと奏者の手元は見えない。それでも足元は見えたし、音だけでなく視覚的にも楽しめた。
角野くんの演奏は今年になって何度も見せてもらっているが、亀井くんは初めて。どんな演奏するのかわくわくしていた。
第1部
たくさんの拍手に迎えられ2人が登場。まずは角野くん編曲のキャンディード序曲。ツアー前に発売された月刊ピアノ2022.7月号で角野くんはこう語っていた。
オープニングから2人の熱量高い演奏で会場が温まったところで2人のMC。年上の角野くんが引っ張る形だった。次に演奏する亀井くん作曲の共奏曲について。亀井くんが説明してくれたが、なぜか「変な2楽章」→角野くんが「きれいなね」、「変な4楽章」→また角野くんが「かっこいいね」。ボケツッコミやってるの2人で?他公演もこんな感じだったんでしょうか...🤔
先に行われた名古屋公演のMCで亀井くんは、「もともと20分ぐらいの曲だったが、忙しい角野さんの譜読みが大変なので短くした。初めて自作曲を披露するのが2000人の前で緊張する」
と話していたそうだ。
(名古屋に行かれた方、情報提供ありがとうございます)
ぎゅっと4楽章仕立ての曲、1楽章は事前にチラ見せしてくれていた。
これを聴いた時、12月まで待つのかーと... 待った甲斐があった。第2楽章は一緒に観に来ていた友だちが「ドビュッシーみたい」と。短い中に物語性があって素敵だった。いずれはロングバージョンの完成形を聴きたい。
次は角野くんソロの水の戯れ。私はピティナ特級の時の演奏が好きでよく聴いていた。4年前は硬水、今は軟水のように感じた。生で聴きたかった曲のひとつだったので、進化した演奏を聴けてうれしかった。
ラフマニノフの組曲は4曲目のタランテラがYoutubeに上がっていて、これもお気に入りの一つ。1〜3曲は予習で聴いていた音源よりも音も混ざり方がよくて心地よく2人の息が合ってよかった。
ここまで2人ともほぼ暗譜だったと思う。一応最初に楽譜代わりのタブレットを持っていたが、角野くんは触ってなく、亀井くんも曲間に確認する程度だった。
第2部
2人が登場したとき、やはりタブレットを持参。1部とは違い楽譜をめくるためと思われる足元のボタンを床に置いた。
まずは亀井くん編曲のダンソン。これも私は初めて知った曲で、最近角野くんが共演したばかりの原田マエストローN響のオケ版で予習。色気があってかっこいい曲をどう弾いてくるのかと思っていたら、角野くんの奏でる旋律がもうそれは溶けそうで... 中間部も盛り上がりがすごくて、いい編曲だったと思う。
亀井くんソロのイスラメイ。超難曲をそう思わせない超絶技巧。楽譜を見たことはないけど、きっと見たらめまいするんだろう... 21歳にしてただ弾いているだけじゃなくかっこいいけど、歳を重ねるごとにもっとかっこよくなるような気がする。
ここで角野くんが登場してMC。亀井くんロンディボー優勝おめでとう、マリアカナルスもおめでとう、見に行ってたよ、の流れで次の角野くん自作曲について。マリアカナルスが行われたのはスペインバルセロナ。その時に作ったのが "El Fuego" 「エル・フエゴ」とはスペイン語で炎の意味。亀井くん同様、名古屋公演前にチラ見せしてくれていた。
このモチーフが最終形で、冒頭はもっと音少なめで始まってつながっていく。途中の展開部はそういう音を使うのかと、すごく独特。メロディと伴奏が不協和音一歩手前みたいな感じ。どういう意図で作ったのがすごく気になった。そして、再現部からのラストの盛り上がり!かっこいいなぁすごいなぁと思って聴いていた。
亀井くんが作ったパガニーニによる変奏曲を角野くんが2台ピアノに仕立て上げた曲。初めはオーソドックスにそのまま編曲していたらしいのだが、焼津公演から構成が変わり角野くんソロから亀井くんソロのラフマニノフ18変奏に入るのをフォロワーさんのツイートで教えてもらっていた。角野くんのソロはインプロが入っていて、亀井くんがどこで入るのかうかがっている表情をしていた。インプロはもちろんかっこよすぎる。(いつもそうだけど) 亀井くんの18変奏も素晴らしい。あれはなぜいつも泣けてくるのだろう...
イスラメイからここまで、亀井くんは出ずっぱり。大曲を弾いた後なのに涼しい顔をしていた。若いっていいよね笑
アンコール
角野くんが登場、ソロ曲から。椅子に座ってからしばらく考えていたが、今回はダニーボーイ。心に染みる演奏だった。生は初めてだったのでうれしかった。本編では熱量高いバチバチの演奏なのに、同じピアノで弾いているのか、と思わせる。
亀井くんが出てきて、ここでMCがあったのか記憶が定かじゃない。角野くんがいつもとは違う右側にはけて行ったので、後ろに座っていた方が「なんで?」と言っていた。これは後々わかるのだが...
亀井くんソロのカンパネラ。イスラメイとは違い、透き通った鐘の音が響く。少し早めの演奏。
そして、途中、角野くんがそろそろっとやって来て第2ピアノへ。これは月刊ピアノにヒントがあった。あの難曲をハモリ始めたのだ。ハモる方はもちろん、ハモられる方も大変かと。最後のクライマックスのところを亀井くんがTwitterで公開してくれた。
あれだけのハイテンポをハモるという角野くんの技術の高さ。題名の小林愛実さんとの子犬のワルツを思い出した。
演奏後、亀井くんは感極まって言葉に詰まっていたが、上のツイートのようなことがあったんだなと。そして、お互いのCDを宣伝。亀井くんは「角野さんが乱入しないバージョンのカンパネラもあります」と笑いを誘っていた。亀井くんが「またやりましょう」と言うと、角野くんは「50回やろう!」
これは焼津公演後の亀井くんへのリプライでも。
このやりとり、いい感じなので見に行ってみてほしい。なぜ、50回なのかは気になるところだが、思いつきかな。
この後、爆速テレパークで終演。カーテンコール中角野くんの「よいお年を!」ですぐにお開きとなった。
エピローグ
まずは、延期になってしまったが中止にせずに開催してくれた関係者の方々に感謝したい。角野くんも自分の体調不良という不本意な形での延期だったので、忙しいにも関わらずなんとか開催したいと思っていたことだろう。2人とも忙しい中、スケジュール調整など大変だったと思う。
東京公演ではカメラやマイクが入っていたそうなので、何らかの形(おそらくは2人のYoutube)で公開されるだろう。ほんとはCDもしくはTV、ラジオなどの収録があってほしかった。4公演だけで終わってしまうのはもったいない。
毎年とはいかなくとも、きっと定期的にすみかめはこれからも見ることができるはず。それまでお互い切磋琢磨して、またパワーアップした2人のデュオを観に行きたい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。私の主観で書いているのでいろいろ拙いところがありますが、それは多めに見てくださいませ。