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角野隼斗全国ツアー2023岡山公演に行ってきた

毎年恒例になってきている角野くんの全国ツアー、今年も始まった。全国16公演という長丁場。仙台、横浜に続き、岡山は3公演目。私が住んでいる大阪や近くの京都でも行われるが、見事に仕事と重なってしまい遠征することに。 
(まっさらな気持ちで今後の公演を聴きたい方は回れ右でお願いします)

プログラムはこちら

今回は角野くん自らツアー前にプログラムを公開。YoutubeやAmazon musicでプレイリストを作ったり、バッハやラモーは楽譜を見たりして予習。きっと普通には弾かなくてインプロ入れてきたりするんだろうな、とわくわくしていた。

1.開演前

前日から夫と観光してから別行動でホールへ。(コンサートのついでに旅行に誘って。久しぶりに夫婦で楽しめた。コンサートも誘ったけど行かないって笑) 岡山シンフォニーホールは昨年9月のNOSPRツアー以来2度目。その時とは違う熱量で開演時間5分前に行くと長蛇の列... きっと今回初めてオフィシャルグッズが販売されるのもあるだろう。前の公演もこんな感じだったのだろうか?

ホールに入ってそのままグッズ売り場の列へ。もちろんこちらもすごかった。開場後25分ぐらいで購入できたがすでにトートバッグ(白)がソールドアウト!今後の公演分は別に取ってあるか心配。白がほしかったけど黒にして、一通り全て購入。

まだ袋から出せてない笑

私は買えたけど、この後タンブラーとキーホルダー以外はソールドアウトになったとか。ツアーに行けない方もネット販売を待っているし、追加生産よろしくお願いします!

そしてようやくホールの中へ。今回もありがたいことにFC先行でのチケット。とても見やすい席だった。

開演前30分を切っていたが、入念に按田さんが調律中

今回はホールにあるスタインウェイグランドピアノと、角野くん自らツアーのために購入したスタインウェイアップライトピアノ、2台を使い分けての演奏。ツアー前のかてぃんラボでは他にも連れて行くかもと言っていたが、いろいろ考えた上でこの2台のみになったのだろう。

2.プログラム前半


1曲目はバッハインベンション1番。ピアノを習う人は必ずと言っていいほど通る曲。(私は大人になってから弾いた) 味わい深く丸みを帯びた音でバッハをこんな感じで弾くんだと。なんかずるいなと思ってしまった。ほぼ楽譜通り弾いた後インプロビゼーションが始まる... そうだ、角野隼斗は普通に終わるわけはないと!きっと会場によって変わってくるんだろう。だから角野くんのコンサートは複数回、いや全て行きたくなる...

一度舞台を離れてから、ラモー2曲とグルダを一気に。ラモーは角野くんから教えてもらった作曲家。最近流行りなのかいろんなピアニストが演奏している。(私が知らなかっただけだろう) ここは角野くんらしい軽快な演奏。
グルダはトリスターノさんの演奏で予習をしていた。クリアなパリッとした演奏。角野くんはペダルを駆使して自分のカラーを出していた。話は逸れるが、角野くんの演奏の特徴の一つにペダリングの技術の凄さがあると思う。ドラムをやっていたのもあるのか、右も左も自由自在。脚を見るのもコンサートの楽しみの一つだ。

ここでMCが入り、ツアーのコンセプトなど話してくれた。(内容はあやふやなので割愛)

追憶、主よ、パルティータを続けて演奏。
追憶は、照明が限りなく落とされアップライトピアノと演奏する角野くんだけが浮かび上がる。どこかの部屋で弾いているのを自分だけが少し離れて見守っているような感覚。内部奏法を使い幻想的な音楽が広がっていく。
主よになると、すこし照明が足される。アップライト鍵盤の下のレバーのようなものを動かして、追憶とは違う音色に。カタカタと聴こえてくる打鍵音が心地いい。祈りのような音楽に目頭が熱くなった。

パルティータは今回で知った曲。シンフォニアの前半は自分でも弾いてみた。スッと体に入り込むというか。3拍子になってからのフーガは難しくてまだ自分で弾いてもなんのこっちゃとなってしまうが、ぼちぼち弾いていきたい。
話はそれたが、角野くんの演奏はビートを感じる演奏。緩徐楽章はアップライトを使い、より楽章ごとの違いを鮮明に出していた。いずれは音源化してほしい。

3.プログラム後半

角野隼斗の代名詞と言える胎動から。追憶は内面に向き合うように感じるが、胎動は外へ明け放つよう。左手で奏でるメロディーが心にズンとくる。これからも弾き続ける曲になるのだろう。

舞台を一度退いてからMC。Human Universeについて。理系出身であることが生かされている楽曲。(プログラムに自身によるライナーノーツがあり、なるほどと思った次第。とはいえ、「超ひも理論」とかさっぱりわからないが...)

こちらも音源化ぜひ!せっかく聴けたのにもう記憶が薄れていて、早く次回行く金沢公演で聴きたい。

今回の最難関、カプースチンとバッハのコンビネーション。角野くん曰く「何を弾いているかわかりやすいように」舞台にランプを4つ並べて2進法で番号を表すという、これまた理系ならではの発想。ここにきて数学を学ぶとは... 私は根っからの文系なのでなんとかついていくので精一杯。音を聴くだけでなく視覚でも楽しめるコンサート。

公演後のランプ 右2つがついていて「3」を表している
きっと3公演目の意味だろう

カプースチンはジャズも得意とする角野くんならではの演奏。もう体を動かしたくてしょうがなかった。いや、我慢しきれてなく、指や脚でリズムを取ってたし、体も自然に揺れていた。(後ろの方々ごめんなさい) 中に挟むインベンションは冒頭の1番同様、楽譜通りに演奏した後にインプロを。これも角野くんならでは、前後の流れが素晴らしかった。カプースチンもアップライトを使った楽曲もあり、練りに練って作られたプログラムだった。丸ごと音源化をしてほしい。
途中会釈するところもあったが、ノンストップの圧巻の演奏だった。

4.アンコール

まずは韓国公演時に撮影した動画がある「人生のメリーゴーランド」。てっきり前2公演と同じだと思っていたのでうれしかった。繊細な演奏を楽しめる。

2曲目はバッハのカンタータ「羊は安らかに草を食み」。聴いていた時は曲名を忘れていて、後でTwitterのフォロワーさんに教えてもらった。こちらも岡山で初めて演奏してくれたので、非常に感動した。なんて優しいメロディ、演奏なんだろう...

この動画は私が角野くんを知る前のものだが、ピアニスト/音楽家になる一つの要因であるスタインウェイ購入についてのもの。今ではツアーのためにピアノを買っちゃうぐらいになったけども、この頃は清水の舞台を飛び降りる、いやそれ以上の気持ちで購入したのだと思う。この決心がなければ今の角野くんはいないわけで、感慨深い動画の一つ。

そして、全国ツアー恒例の一つになっている、撮影許可の楽曲。今回はきらきら星変奏曲。動画は30秒ルール、私がセレクトしたのはこちら。

自分でも弾いていて楽しくて一番お気に入り。のれる曲が好きなのかもしれない。ほんとは肉眼で演奏を見るのがいいのかもしれないが、残しておきたいというのが本音。いつもとは違うインプロで、Level0からリハーモナイズがよくて、うわーうわーって思いながら聴いていた。(TwitterにいろんなLevelがアップされているのでぜひ)
カーテンコール2回目で角野くんがグランドピアノの蓋を閉めてお開きになった。

5.最後に

プログラム冒頭の最後に
「ストイックで自由な音楽の世界を、楽しんでいただけたら嬉しいです」
と角野くんの言葉がある。
演奏曲、プログラムの進め方など、本当にストイック。あの細い体のどこにこんな爆発力があるのか、いつも感心している。まずは自ら楽しんで、お客さんをも巻き込んでいく。自作曲ばかりではないけども、角野ワールドになるのが彼の凄さ。いつも思うが、ただクラシック曲を弾くだけではここまで沼に落ちていない。きっかけはピティナのラフマニノフだったが、知れば知るほど深みにはまる。これからもいい意味で期待を超える演奏を楽しみにしている。
今回のツアーはもう一度金沢公演に行く予定。ここから公演を重ねてブラッシュアップされていくだろう。千穐楽前の公演になるので、とても楽しみだ。

もっといろいろ感じるものがありましたが、記憶力のキャパが狭いのが自分でももどかしい...
金沢公演はここに追記するか、別で書くか、どうなるかはわかりません笑
ここまで読んでいただきありがとうございました!

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