若手と上長の世代間ギャップ解消へ。次世代から始める組織改革
5年後に組織の中核人材となる自律型人材を育成することを目的に、複数の企業から若手社員が集い、半年間、共に学ぶ『次世代リーダー育成プログラム』。参加企業である株式会社日本シャルフ様の人事担当夏目さんと、受講した若手社員2人に、研修導入の背景や受講後の変化について聞きました。
プロフィール
人事担当者:夏目麻実さん
金融業界にて主にアシスタントとして勤務。自身の育児をきっかけに、育児中の女性向け支援を行うサービスへ転職し、マーケティング・カスタマーサポート等を経験。2021年より日本シャルフに入社。マーケティング・採用人事の業務を担当。
受講生:山田千晴さん
2022年日本シャルフに中途で入社。経営管理室セールスチームにてインサイドセールスを担当。浜松2期|次世代リーダー育成プログラムを受講。
受講生:飯田光さん
2021年日本シャルフに中途で入社。ソリューション開発室にてシステム開発を担当。浜松2期|次世代リーダー育成プログラムを受講。
<導入背景>20代と40代以上の世代間ギャップや部署間の連携が課題に
<導入背景>20代と40代以上の世代間ギャップや部署間の連携が課題に
ーーー まずは、日本シャルフさんの事業概要や『次世代リーダー育成プログラム』を導入された背景を教えていただけますか?
夏目さん:当社は静岡県浜松市と兵庫県を拠点に持ち、社会保険労務士や企業の労務担当者向けに労務管理システムを販売・運営している会社です。申請書類や給与計算を効率的に行うことで削減された時間を労務相談に充てられるような「ゆとりのビジネスライフ」を送れることを目的に、社労士業務のDX化をサポートしています。
社員は大きく「20代中心の若手」と「40代以上」という2つの層に分かれており、世代間で仕事の進め方にギャップがありました。また、チーム内でのコミュニケーションが少ない、部署間のつながりも薄いという課題がありました。
その結果、どの部署も「自分たちばかりが忙しい」と考えがちでした。私たちの会社は社員数30名弱で、大きな組織体ではありませんので、皆が同じベクトルを持って働きたいと考えました。
そこで、ヘルプシーキングを取り入れたいと、『次世代リーダー育成プログラム』研修導入を決めました。ヘルプシーキングはチームの成果を最大化するための技術であり、ビジネススキルです。
私自身、NOKIOOの取締役である小田木さんの書籍「仕事は自分ひとりでやらない」やセミナーでヘルプシーキングを知り、チームで成果を最大化することの必要性を感じていました。
ーーー ヘルプシーキングを取り入れることで、「自分の部署だけ」になりがちだった視点を変えたいと思われたのですね。研修受講者はどのように選ばれましたか?
夏目さん:まずは、研修名の通り、次世代リーダーになる人材を対象としました。その中でも、学びを吸収して動けるであろう人を選びました。当社からは初めての研修参加者ですので、0→1をつくる機動力があることを意識しました。また、「もう少し客観性があった方がいい」「チームの動きができる方がいい」など、本人の課題が具体的であることも考慮し、最終的に2名を選びました。
<効果>チーム視点がつき、上長との対話の機会が生まれた
ーーー そうして選ばれた飯田さんと山田さんのお2人は、半年間、プログラムを受講されました。飯田さんは研修を受ける前と後でどのような変化を感じましたか?
飯田さん:私は開発チームで法改正やお客様の要望を受けてプログラムをつくる仕事をしています。以前は上長の指示を受けて私を含む若手メンバーが手を動かすといった感じで、上長と若手とに二分されている感覚がありました。
これに対し、自分なりに改善策を考えていたものの、言いだせずにいました。私自身は中途入社であり、これまでの経験から上長と対話することの大切さを感じていましたが、会社や人によってやり方は異なるものだと思ったからです。
研修でヘルプシーキングを学び、成果を最大化するためにどのようなアプローチが有効か、考えられるようになりました。そして、今では具体的に実践できています。
ーーー どのような行動を起こされたのですか?
飯田さん:若手メンバーの考えを上長に伝えたり、逆に上長がやりたいことを深堀りしたりしました。上長の考えや意図を把握しきれないことがある際は、「それってどういうことですか?」と質問をし、合意形成をはかるようにもしました。
おかげで、以前より「部署として動けている」という感覚があります。
ーーー 上長と若手メンバー間の連携を深めるような役回りをされているのですね!今後はどうしたいと考えていますか?
飯田さん:これまで控えめだった若手メンバーが、もっと提案や主張をできるような環境をつくりたいと思っています。若手が主導的に動き、開発チーム全体を盛り上げていきたいです。
ーーー 山田さんは、研修を受けてみていかがでしたか?業務の場面で感じる変化があれば、教えてください。
山田さん:”客観性”と”チーム視点”が身に付いたと思っています。どちらも今までの自分にはなかったもので、研修で一番学べた点です。
私はインサイドセールスとして、お客様への営業活動に従事しています。以前の私はお客様との会話がかみ合わない場合、「なんでうまくいかないのかな」と自分視点でしか見ていませんでした。それが、研修を受けた今は「今の会話はお客様にはどう感じられるかな」とお客様目線で見たり、「私のやり方は合っていますか」と上司に確認したりできるようになりました。
それまでは上司に確認なんてしてはいけないと思っていました。しかしヘルプシーキングを学んだことで、積極的に上司の力も借りようと思えるようになりました。今では上司が一緒にやり方を考えてくれるようになり、ありがたいです。仕事も進めやすくなりました。
ーーー チームで仕事する意識が強まったのですね。研修で学んだことを、今後の仕事にどう活かしたいと考えていますか?
山田さん:自分の視点ではなく、俯瞰して物事を見ること。人の手助けをすることを続けていきたいと思います。私自身の所属するセールスグループ内で実行することはもちろん、お客様に対しても行っていきたいと思います。
<効果>他社人材と共に学ぶことで、新たな価値観との出合いに
ーーー 『次世代リーダー育成プログラム』は組織の枠を超えて共に学ぶスタイルが特長の1つです。お2人にとって、この「越境学習」はどのような経験でしたか?
山田さん:私はこれまでずっと営業職でしたので、別の職種の人と関わることがありませんでした。研修では工場勤務の方などさまざまな職種の方と出会い、新たな価値観や考え方を学ぶことができました。
年代も、同世代の方もいれば、上司世代の方もいました。上司世代の方の悩みを聞くと、「私自身はその方の部下と同じ気持ちだ」と感じることがあり、上司側の視点も知ることができました。
飯田さん:開発の仕事は、から外部の人と話す機会がありません。そのため、他業種のさまざまな社外の人と話せる機会はとても貴重でした。業界が違っても、年代が近い人は同じことを考えているなと共感したり、同じ業界でも別の考え方があるんだと気づいたり。共感と発見の連続でした。
ーーー 夏目さんから見ても、お2人の変化を感じられましたか?
夏目さん:はい。研修の後、2人で「どう思った?」「こう思った」と活発に話し合う姿をよく見かけました。また、研修で何を学んでいるのかを全社に向けて発表する機会が、期間中に2回ありました。2人は発表内容を組み立てるところから意欲的で、安心して任せられました。
実務面での変化については、私自身は同じ部署である山田の様子を見ることが多いのですが、「どうしたらフィールドセールスが動きやすいか」という視点を意識し、インサイドセールスから情報提供できるようになったと感じています。本人も「私はこれを学びました!」と積極的に発信してくれるタイプなので、周囲も刺激を受けていると思います。
<今後への期待>受講者が学びを体現することで、社内への波及効果も
ーーー 半年間、若手社員を送り出したことの効果をどうお感じになっていますか?
夏目さん:2人が先ほど話したように、他社メンバーと半年間、定期的に学ぶ機会は重要だったと感じています。社会人歴が短い若手社員はどうしても、世界が狭くなりがちです。他社人材とともに学ぶことで、時には共感し、時には驚きながら、視野を広げることができます。
また、当社拠点の1つである浜松で「若手同士がつながって地域を盛り上げてほしい」という希望もありましたので、コミュニティとしても最適でした。
ーーー 「越境学習」に価値を感じてくださったのですね。今後への期待についても、教えていただけますか?
これからの会社を担うのは、2人のような次世代リーダーたちです。2人は半年のプログラムを通して、会社はどういう方向に向かうのか、部署やチームをどう盛り立てていくか、そのためにどう行動すればよいかを、意識できるようになったと思います。
まずは2人が実践することで、チームに実践が広がり、ゆくゆくは会社全体に広がることを期待しています。すでに全社発表会で2人が学びを体現する姿を発信していますので、他の社員たちも刺激を受けているのではと思います。
こうした期待のもと、当社では今回の2名に続き、来期も『次世代リーダー育成プログラム』への派遣を決めています。
ーーー 最後に、『次世代リーダー育成プログラム』はどのような企業にお勧めか、お聞かせください。
夏目さん:若手リーダーを育てたいと考える企業様、社員に主体性を持ってほしいと考える企業様にお勧めです。
若手メンバーがリーダー職やマネージャー職に就くと、誰しも「どうしたらいい?」と一歩つまずく時があると思います。『次世代リーダー育成プログラム』で学ぶことで、つまずいた時の打ち手がわかるようになります。
また、このプログラムは送り込まれる若手側だけでなく、送り込む上長側にとっても学びがあります。当社では上長は研修カリキュラムを読み込み、受講者がどのような研修を受けているかを理解したうえで、部下との1on1に臨んでいました。そのため、部下に「どのような役割や成果を期待しているか」を言語化し、対話を通じて合意形成するなど、上長にとっても良い実践の機会となりました。
ーーー 研修は受ける側だけでなく、送り出す側も一緒になって作り上げていくことが大事だと私たちも気づかされました。夏目さん、飯田さん、山田さん、本日は、ありがとうございました。