
第1章|敵を知る|Know Your Enemy-1
英語の「なに」を勉強する必要があるのかを把握し、英語を学ぶ
※この記事は7月31日に発売予定の書籍「凡人専用 英語攻略マニュアル」の目次です。期間限定で定期的 (3日に1回くらい) に本書の一部内容を公開していきます。
▽全編は下記 Kindleページから
英語の4つの側面
英語の勉強には「知識をつける勉強(知らない情報を知る作業)」と「鍛える勉強(練習や特訓で慣れる作業)」の2つがあります。「知識の勉強」と「鍛える勉強」にどうやって挑み、具体的になにをやれば良いのかについては本書の第2章〜第4章で詳しく解説します。
この章ではまず
「なんの『知識』をつけて、なにを『鍛える』のか?」
その「対象」 について説明します。
「知識をつけるための英語の勉強」が必要な理由は、英語が使いこなせるようになるために「理解しておかないといけない英語の色々」があるからです。
そして「鍛える勉強」が必要な理由は、知識が付いただけではまだ使い熟せれないので、使いこなせるまで特訓して「慣れる」必要があるからです。
この「理解」と「特訓」の対象となるモノは、大きく分けて4つに分類されています。
何で4つに分けられているかというと、頭の偉い先人達が分類してくれたからです。彼らが何で4つに分類したかというと、皆が英語を学びやすくするためです。
ちなみに人間が新しい事を学べるのは BRAIN PLASTICITY(脳の可塑性) のお陰と言われています。脳の可塑性とは日本語だと「脳が柔らかい」、「脳が堅い」という言葉で表現されたりするアレです。
そして科学的に分かっているのは 25 歳を超えると脳は堅くなり、新しい事を学ぶのが難しくなります。脳が堅くなった人が新しい事を学ぶ際「学ぶ対象を意識的に自覚し、それに局所的に集中して取り組む」ということが重要だそうです。
ですので「今自分が英語の何(どの側面)を勉強しているのか」を自覚しながら勉強できるようになると「目的(英語の4つの側面の内どれの理解を深める作業(または慣れる作業)に取り組んでいるのか」と「手段(そのために今やっている事)」を一致させることができます。
それができると、学ぶ対象を意識的に自覚しそれに局所的に集中して取り組む作業が実現します。その結果「効率的な学習」が行えます。
まず この章では「英語の4つの側面」をまず解説をします。
1. 単語の並べ方のルール|統語論
英語の側面の1つ目は「単語の並べ方のルール」になります。
1-1. 言語にはルール・規則がある
世の中に存在する言語には全て規則があります。手話にもルールがあります。規則とはルールです。言語において代表されるルールと言えば、
・単語の並べ方のルール(語順のルール)
・単語の形を変えるルール(形態のルール)
などのルールがあります。これらをまとめて文法と呼びます。文章の法則です。
※英語の文法だから英文法
例えば、
(私は)/ ご飯を / 作る。|(I) a meal cook.
という文章は英語だと
私は / 作る / ご飯を。|I eat a meal.
という順番に並べるのが正解になります。
なお、日本語では誰の話をしているのかが文脈や状況から明らかな場合、いちいち「私は」と言いませんが、英語では必ず「私は」と言います。
※これ統語論
また過去の出来事を話す場合、日本語では
(私は)/ ご飯を / 作る。 |I cook a meal.
ではなく、
(私は)/ ご飯を / 作った。|I cooked a meal.
と言います。
「作る」という単語の最後の文字が「る」から「った」に変わって、「作った」となります。英語では「cook」に「-ed」を付けて「cooked」とすると過去形になります。
※これれ形態論
こんなルールが英語にもたくさんあります。「カレーライス」を見た事も食べた事もない人に「カレーライス作って」と言っても「材料も作り方 (レシピ) も分からないから無理」と言われるでしょう。
逆にレシピがあれば正しい具材を準備して、正しい順序、方法で調理ができると思います。
英語もおなじで、レシピ(英文の作り方)と具材(正しい単語)を知らないと正しい英文が作れません。ですので、ルールを独学で勉強して認知したり、誰かに教えてもらったりして認知する必要があります。
1-2. 日本人は語順理解と慣れが優先事項
私は英語の語順を理解して慣れる事が、日本人が英語を身に付けるうえで最優先事項だと考えています。その理由は主に2点あります。
1-2-1. 語順がほぼ真逆?
まず日本語と英語の語順が真逆と言っていいほど違う点です。
例えば、
昨日 午後7時頃 友達と 寿司屋で 晩ご飯 (を) 食べたんだけど、
という文を英語の語順に並べると
私 食べた 晩ご飯 友人と 寿司屋で 午後7時頃 昨日 だけど、
となります。英語と日本語で単語の順番がかなり違います。
▽日本語と英語の語順 比較
英語と日本語の語順が似ていると、正しい英単語さえ知っていれば並べるのにあまり苦労しませんが(ちょっとしたミスはあるかもしれないけど伝わる文章になる)、英語と日本語の語順は真逆に近いので、英語を正しい語順に並べるのに苦戦する可能性が高いです。
1-2-2. 語順を意識したことない?
次に、日本語という言語がそもそも英語ほど語順を大切にしなくても良い言語だという点です。
上の例文は、教科書に出てくるような正式な語順で成り立っている日本語の文章です。
しかし実際に私たちが日常会話で話す日本語の文章というのは、こればかりではありません。
下記のような語順パターンでも同じ意味で伝わります。
1.ご飯さー 友達と 昨日 午後7時頃 食べたんだけど、寿司屋で。
2.ご飯 (を) 食べたんだけど 昨日、 友達と 午後7時頃 寿司屋で。
3.寿司屋で 食べたんだけどさー ご飯 (を)、 友達と 昨日 午後7時頃。
4.友達と 午後7時頃 食べたんだけどさー、 寿司屋で ご飯、昨日。
5.食べたんだけどさー、友達とご飯、昨日 午後7時頃 寿司屋で。
ちょっとまとまりのない感じにはなりますが、意味は伝わると思います。日常生活でこんな話し方をする人に会った事があると思いますし、自分自身もしたことがあると思います。
酔っ払った時とか、こんな感じで話しちゃってると思います。
このように、日本語では語順の融通が効きます。この理由は、日本語には、
「さー」、「~が」、「~は」、「~で」、「~と」、「~を」
など、
文中の単語同士の関係性を明確にする機能語と呼ばれるパーツが多くあります。このおかげで語順を変えても単語の関係性が不明瞭にならないで済みます。だから語順を変えても意味が変わらなかったり、意味が損なわれずに済んだりします。
一方、英語には日本語の機能語みたいなパーツが日本語ほどたくさんありません。機能語で文中の単語の関係性を明確にする代わりに、語順(どの単語が隣同士かなど)で明確にします。
ですので、英語で語順を変えると意味が伝わらなくなったり、単語同士の関係性が変わり、その結果 文章の意味が変わったりする可能性がかなり高いです。
英語は語順に支配されている言語で、日本語は語順に(英語ほど)支配されない言語と言えます。
そう考えた時、日本で生まれ育って日本語を自然と身に付けた日本人は、語順を意識すること自体に慣れていない可能性が高いです。
英語が流暢に話せるという状態は、正しい英語の語順に沿って英単語を瞬時にツラツラと並べられる状態です。
ですので、英語を話せるようになる上で我々が抱えている弊害(第一関門)は、
1. 日本語と英語の語順がかなり違うので英語の語順を知らない
(または慣れてない)
2. 日本語という言語自体、語順がそんなに大切じゃないので語順を
気にする意識が低く、意識する事に慣れてない。
であると考えています。時々
「英語なんてコミュニケーションのための単なるツールでしかないんだから、伝える事が一番大切。文法なんて完璧じゃなくてもOK」
みたいなスタンスの話を耳にしたりします。
これは間違っていませんが、鵜呑みにし過ぎて文法・語順を一切気にせず話すと「シンプルに伝わらず相手が困る」という状況になる可能性もあります。
※英語は語順に支配される言語だから
つづく