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第1章|敵を知る|Know Your Enemy-2
※この記事は7月31日に発売した書籍「凡人専用 英語攻略マニュアル」の一部です。期間限定で定期的 (3日に1回くらい) に本書の一部内容を公開していきます。
▽全編は下記 Kindleページか
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CCNGNZWH
1-3. 言語距離が存在する
前の項目で説明した通り、日本語と英語の語順は似ていません。2つの言語を比較して「似てる似てない」と言ったりします。似ていない場合「言語距離が遠い」と言ったりします。
「何を比較して『遠い』と言うのか」は色々ありますが、その中には語順(文法)も含まれます。「日本人は英語が苦手」という話を聞く事がありますが、これは単純に日本語と英語の言語距離が離れているから難しい、という理由も存在すると思います。 ⃰ ⁷
ヨーロッパの言語の多くは歴史を辿ると共通の言語(ラテン語とか)から派生してたりします。なので、似ている点が多々あります。
英語はラテン語から派生した、元々今のイギリスがある地域で話されていた言語に、南からはフランス語、北東から北欧の言語が入って来て、ミックスされ、今の英語の原形になったと言われています。
たしかに、英語しか分からない僕でもドイツ語やフランス語、スペイン語の単語で、字面だけ見てその単語の意味が予想できたりすることが結構あります。これは僕が天才だからではなく、英語に似た単語がたくさんあるからです。
#フランス語で病院は hopital
#スペイン語で警察は policia
#ドイツ語で学校は Schule
自分の母語と習得したい外国語の距離が近いと、言語距離が遠い場合よりも学習が楽です。
イギリスで大学院生をしていた時、ヨーロッパ諸国からの留学生がたくさんいました。EU加盟国の間で留学は盛んです。英語が上手な留学生もいれば、下手な留学生もいました。
フランス人やドイツ人の中にも我々日本人と同様、学校の授業以外は別に英語を勉強してこず、授業もまじめに取り組まなかった人たちがたくさんいます。英語が苦手な初級者です。
でも驚いたのは、初級者の時から普通に文章単位で英語で発話できるんです。語彙力は乏しくても、完成した文章で発話します。しかも、ある程度のスピード感と流暢さを保ちながら。意思疎通が英語でできるんです。
#少なくとも日本人の英語初級者よりかは圧倒的にできた
このメインの理由は
「このドイツ語の単語に相当する英単語は、何だろう?」
ということを情報として知ってさえいれば、文章を作る(英語の語順に沿って単語を並べる)ことに関しては、意識しなくてもできるんです。
文章を作るという事に関しては、悩んだり考え込んだりする苦悩が日本人ほどないんだと思います。
#語順が似てるから
#羨ましい
ちなみに日本語と韓国語は語順が似てるらしいです。知ってる韓国語の単語を増やして日本語の語順で並べるだけでも、そこそこ伝わる文章になるかもしれません。
1-4. 意識的な認識作業が必要なの?
ここである疑問が発生すると思います。
「私 日本語の文法とかあんま分かってないし、勉強したことないけど、日本語話せますけど?変な日本語を話している人がいたら、『変』って気付けますけど?」
という、突っ込みです。これは、
「0歳から9歳~12歳くらいまでなら、環境が整っていたら文法を意識的に勉強しなくても言語が身に付く」*³
ということが言語学の研究から言われています。
#ユニバーサルグラマー
「環境が整っていたら」とは、莫大な量の日本語を 24時間365日体制で 9〜12年間継続的に摂取する環境のことです。我々が日本語が話せる理由は、日本で、日本語を話す両親の基に生まれ、日本で育ったからです。兄弟や学校、テレビから摂取する言語も、全て日本語だったからです。
もし、24時間365日体制で9〜12年間継続的に摂取した言語が英語であれば、私達は英語を母語として自然と話せるようになっています。
※それ即ちアメリカ人とかイギリス人
9〜12歳までの子供の脳は、文法を意識的に学習して認知しなくても、自然にそして感覚的に文法を操れるようになり、その言語を話せるようになります。子供にだけ備わった特殊能力なんです。⃰ ¹⁸
この理論を裏付けるような実例は、アメリカの移民を見るとたくさん見つかります。中国などから家族でアメリカに移住した家庭の子供で、当時13歳だったお兄ちゃんは現地の中高大学に行って英語が流暢に話せるようになったけど、少し訛りがある。しかし当時7歳だった弟は、ネイティブ英語を話すようになった、などです。
しかし渡米した時に13歳のお兄ちゃんは今も中国語がネイティブレベルで話せ、弟は中国語が逆にネイティブレベルじゃない。このような実例はたくさんあるようです。*²
そして0歳から9〜12歳までの期間は、逆に言語をスッカリ忘れ去ってしまう事も可能だそうで、6歳まで中国語話してたけど、その後アメリカに移住して中国語を忘れる、のような事も起こります。その為0歳から9〜12歳まで継続して摂取することが条件のようです。⃰ ²⁵
バイリンガルと呼ばれる人たちがいますが、彼らは24時間365日体制で英語と日本語の2ヵ国語を摂取できる環境を、9〜12年間継続してたからバイリンガルになれています。
それはどんな環境かというと、
1. 日本で生まれ育ったけどお母さんがアメリカ人でお母さんと話す時は英語
2. 両親は日本人だけどアメリカで育って両親以外は全部英語 (学校やテレビも)
などです。
ちなみに、お父さんがアメリカ人で日本で生まれ育った人には、英語が余り話せない人が結構いる印象です。前述した通り、言語を自然と (無意識に) 身に付けるには摂取する量が大切です。
一般的にお父さんは働いていて、1日の三分の一 (8時間くらい) を会社で過ごしている場合が多く、もう三分の一 (8時間くらい)は多分寝てます。なので、英語の摂取量が十分に確保されていないケースが多いからです。
※もちろん例外もあるよ
兎にも角にも、この本を読んでいる人は12歳以上で、日本人の両親を持った、日本在住の方が多いと思います。その場合、意識的に英語のルールを認知する作業を行った方が、効率が良いと考えられます。
続く。。