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セックスレス "旦那が嫌い"な妻たちに話をきいてみた①

リアルなレスり妻の声を聴け!

記事を書く苦労を語るなんて最低である。

本文の最後にチョロっとならまだしも、冒頭からそれをやるなんて、その時点で読むのをやめられても文句はいえない。

でもあえていう。

「この記事書くの超大変だった!」

まだ5行しか書いてないのに、何かをやり遂げたような空気だしてんじゃねーよと思ったでしょう?

でも記事書く準備段階が大変だったんだ。

タイトルどおりこの記事は、“セックスを拒否する妻”の心理について書いたもの。

でもそんなものは男のぼくにはわからない。

分かってたら、自分がレスのときあんなに悩まなかった。

じゃあどうやって書くか。

“妻が夫とのセックスを拒否する理由”みたいなネット記事を参考にすればいいのか。

でも古畑任三郎なみに疑りぶかい性格の自分。

ネット記事の“レスる妻”は、ライターが桃鉄でもしながら適当にでっち上げた架空の人物かもしれない。


それに他人の記事の内容をなぞっても意味がない。


すでにこの世に100個ある記事の101個目をつくっても、ウエンツ瑛士のイギリス留学ぐらい世間にひびかない。

だからじっさいに知り合いのなかから“レスり妻”を探し、ダイレクトに話を聴こうと決めたのだ。

でもすぐに後悔した。女性選びが、とても大変だったのだ。

既婚者女性の知り合いは多いほうだけど、セックスレスをおおっぴらにしてるひとは少ない。

いや数人はいたのだが、全員いわゆる“レスられ側”だったのだ。

知り合いの中から“レスる”夫を見つけるのはたやすいが、“レスる”妻を見つけるのがかなり困難だった。

が、これ以上前置きを続けてると、本格的に画面を閉じられそうなので本題にうつろう。


結果的には4人の女性から話を聴くことが出来た。

セックスレスーダンナが嫌いな妻たち①から④の四部作となる。

四部作全部読んでくれたひとには、きっとすばらしい栄光が訪れるだろう。



レスりさん1人目・ナオちゃん(40代・結婚10年目で離婚)

ナオちゃん(仮名)はこんな感じ。細身だ。


旦那大好き妻が急変


ぼくの中学時代の友達にシンジ(仮名)という男がいる。

ナオちゃんはシンジの奥さんだったひとだ。

20年来のつきあいで、気心も知れた関係である。

5年ほどまえにシンジとは離婚した。

けどその後もぼくとナオちゃんは連絡を取りあって、しょっちゅう食事をする間柄。


まだ結婚しているときも、「何年もセックスしてない」という言葉を本人とシンジ、どちらからもから聴いていた。

そして夫が「さそってもナオが嫌がる」と漏らしていたことがある。

ナオちゃんとぼくとリサちゃん(共通の友人・40代)3人で居酒屋にいき、話を聴くことにした。

もちろん「ブログ書きたいからレスの話聴かせて」とは言わずに。

ナオちゃんはおっとりした天然である。

イヤホンのコードが自然に絡まるのが不思議で、イヤホンにビデオカメラを回しつづけた逸話があるぐらい。

この夜もメニューの“冷奴”を指さして、「“れいやつ”ってなんですか?」という質問を居酒屋スタッフに浴びせていた。もう40歳をとうに越しているというのに。

キャラクターからはレスりのイメージが湧かないけど、どうやってセックス拒否に至ったのだろうか。

「さいごにシンジとしたのはいつだったの?」と聞くと、

「最後にこども産んでからしてないよ」とナオちゃんは言った。


ナオちゃんは女の子の双子が初産で、その2年後に男の子を産んでいる。

出産をきっかけに、セックスしたい気持ちがなくなったという。


“産後レス”というやつだ。ぼくもおなじ経験をしたので、古傷がすこし痛んだ。

「そんなもんだよねー」とてきとうに相づちを打つリサちゃん。

しかし目は隣の学生っぽい男子2人組をロックオンしている…。

ちなみにこのリサちゃん、スタイルはいわゆるモデルなみ。けど顔は、志村けんに女性ホルモン注射を40本打ち込んだような感じである。


「じつはさいしょの双子産んだあとぐらいからエッチはいやになった。でもこどもは欲しかったから、した。シンジには悪いけど、しょうがなくって感じで」

ナオちゃんがなぜかぼくの注文したゆずみつサワーを豪快に飲んでるのが気になったが、ぼくはあることを思い出していた。

ナオちゃんとシンジは、中学時代の同級生。その当時からナオちゃんはシンジに片思いしてたらしい。

それが23、4歳のころ、共通の友人を介して再開し、ナオちゃんの渾身の猛プッシュによりつき合うことになったのだ。

経緯がそんなんだから、交際中も結婚後もしばらくはナオちゃんがベタ惚れしている感じだった。

しかし双子を出産したあと、ナオちゃんのシンジにたいする感情に変化があった。

そのことがナオちゃんのなにげないひと言によって、第三者であるぼくにも伝わってきたのだ。


それは夫妻と遊んでいたとき、ふとナオちゃんがもらしたこの言葉だ。

「シンジがいた部屋って、ニオイでわかる」

「え?なんで?」とシンジはあきらかに動揺していた。


口ぶりから言って、「ステキなあなたの香りに誘われる、ワタシは恋するバタフライ」という感じではなかった。

すこし気を使いつつも、“一太刀浴びせてやろう”という意志を感じた。

あきらかに「くさい」と言っているのだ。


シンジの名誉のためにも言っておくが、当時彼はとくに体臭があるわけではなかった。

でもナオちゃんのシンジに対する、ほんのりとした生理的嫌悪感が嗅覚のセンサーを敏感にしたのだろうか。


とにかくそれまでのシンジとナオちゃんの関係性では、考えられないことだった。

ところで…そんな話はどこ吹く風、リサちゃんがじょじょに隣の学生へとイスを近づけていっている。

やめとけ!若者の顔面がかなりひきつってるぞ!



旦那のどこがイヤになった?


「むかしはシンジのことめっちゃ好きだったじゃん?なんかエッチがイヤになるような出来事があったの?」

「出来事かあ…でもやっぱり出産でなにもかも変わったのが大きか…あ、あった!」

エジプトでなにか貴重なものを発掘した吉村作治のような顔でナオちゃんは言った。


「沐浴のとき、シンジが急に胸をもんできたんだ!」

こどもが産まれてまだ数日、慣れない沐浴をさせてるとき、おもむろに背後から胸をもんできたのだという。

ナオちゃんはびっくりして赤ん坊から手を放しそうになったこともあり、いままでで一番シンジに対してむかつきを覚えたのだという。

生理的にシンジがダメになったのは、もしかしてあの時かも…とナオちゃんは言った。


これは既婚男性にとって、大きな落とし穴だ。

恥ずかしながらぼくも似たようなことを、妻にやってしまったことがある。

さすがに沐浴のときではないけど。

男性は結婚すると、なぜか妻が自分のものになったと錯覚してしまうものだ。

心も体も支配している、というカン違いをする。


だからスナック菓子感覚で、安易に妻の胸や尻に手をのばしてしまう。

言葉で「やめて」なんて言ってるけど、じつは喜んでいるだろ?なんて、浅はかな解釈を添えて。

妻にしてみれば、ただただ不快であることに気がつかないのだ。

でもナオちゃんはこの時点では、まったく離婚は頭になく、もう1人こどもが欲しいと思っていた。

セックス自体はいやだったけど、こども産むため、ガマンしてセックスしてたらしい。

セックス嫌がってることシンジは知ってたのか、と聞くと

「口には出してないけど丸わかりだったよ。だって“疲れ”を理由に私、上半身はまったく脱がなかったもん」

シンジは長年のつき合いだから分かるけど、それほど性欲は強くない。

そんな状況なのに、よくセックスをしていたとおもう。

もしかしたらシンジはシンジで、こどもが欲しいという理由で、嫌がられながらもセックスしていたのかもしれない。

「3人目を産んだら、もしかしたらまたシンジとエッチしたくなるかな、って考えてたけど、ぜーんぜんだった。もっとシンジがダメになっちゃった感じ。生理的に」


シンジはガタイがよく、ルックスも男くさい感じだ。

今まではそこに魅力を感じていたけど、3人目を産んだあとはそういう要素も生理的に受けつけなくなってしまった、という。


3人目を産んだあともシンジは数回誘ってきたけど、ぜんぶ拒否したらしい。

シンジは見た目ゴツいが、そんなに我を通すタイプじゃないので、そのうち誘われることもゼロになったという。

そしてナオちゃんは3人目出産後の3年後、シンジに離婚を切り出した。

シンジが女性と2人きりで飲みにいったことを黙っていたのが、どうしても許せなかったらしい。

シンジも最初は弁明したけど、かたくななナオちゃんの姿勢に心が折れ、離婚に同意した。


「沐浴のときの一件がなかったら、関係は変わっていた?」
ぼくは気になるところを聴いた。


「うーん、わからないけど、今にして思えばあれは大きかった。だって当時、はじめてのこどもが双子で勝手もわからない。シンジは週1回しか仕事休みないし、朝はやくて夜遅かったから、死ぬほど育児がきつかった。そんなときあんなことされたら…ねえ」

シンジは、とてもマジメで優しいやつだ。でも小学生が好きな子をからかうような姿勢が、ナオちゃんにたいして、いつもあった。

そのノリの延長で“沐浴のとき胸を揉む”ということをしてしまったのだろう。

しかし子を産み、精神的においつめられていたナオちゃんには、もうそれが面白いものじゃなくなっていたのだろう。

本人が言うように、この一件の有無でセックスレスや離婚が回避できたかどうかは分からない。

でも夫婦生活のなかには、たったひとつの軽率な行動が大きく関係を変えてしまうことがあるのを、あらためて知った。

ナオちゃんは去年の春、7個年下の男性と再婚をした。

ぼくは酔い覚ましのお茶をオーダーしたあと、ナオちゃんに聴いてみた。


「で、いまはどれぐらいエッチしてるの?」

「めちゃめちゃやってる笑今朝もしたよ」


どうやらセックス嫌いもすっかり回復したらしい。


ところで…リサちゃん。ちゃっかり隣の男子たちをLINE交換してんじゃねーかよ!!

男子たちは気をつけろ!リサちゃんと一晩すごすようなことあったら、ほぼ全身白骨化するぞ!


今回はここまで!読んでいただきありがとうございます。

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