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シャルル・ド・ゴール
フランスの玄関口であるシャルル・ド・ゴール空港は私にとって鬼門になっている。
一度目は初めての訪仏で、観光地の写真をこれでもかと撮ったにもかかわらず、そのスマホを出発ロビーのお手洗いに置き忘れ、届け出たものの当然のごとく出てこなかった。あー、私の凱旋門が、エッフェル塔が、ノートルダム大聖堂が・・(涙)。(トップの写真は、旅行中に友人にメールで送ったため、後日サーバーからダウンロードして手元に残せた唯一のもの。)
二度目はスペインへの乗り継ぎに使った時だ。復路の乗り継ぎ時間がなかったにも関わらず、イミグレーションには長蛇の列が。他の空港で、ファイナルコールのかかった客をエアラインスタッフが探しているのを何度も見ていたので、それを待ってもみたが誰も来る気配はない。仕方なくイミグレのスタッフに訴えたが「特別扱いは出来ない」の一点張り。結局、人生初の乗り遅れを経験し、日本に戻る便を探してひたすら待つという不毛で長い一日を、かの空港で過ごすことになってしまった。
そして三度目は、アフリカ大陸から帰国する復路で使った乗り継ぎだ。今回は乗り遅れることもWC
に忘れ物をすることもなく、無事にエール・フランスを乗り継いだものの、羽田に降り立ってイミグレを抜けると、私の名前を掲げたエアラインスタッフの姿が目にとまった。「申し訳ございません。お客様のお荷物はまだシャルル・ド・ゴールにございまして・・。できるだけ早くご自宅にお届けしますので、なにとぞご容赦を」。
たかがロストバゲージ、よくある事だ。しかしこのとき、私は往路でも人生初のロストバゲージに遭っていたのだ。往路に使ったのはオランダ航空、乗り継ぎはアムステルダム・スキポールであってシャルル・ド・ゴールではない。復路のエール・フランスにとって、私のロストバゲージは初めてになるのだから無碍に責めるわけにもいかないが、人生初のロストバゲージを往路で経験した旅の復路で、またロストバゲージが起きうる確率は果たしていかばかりだろうか?
かくして、私はすべてシャルル・ド・ゴールのせいにすることにした。利用した三回とも何かが起きたのだから、シャルル・ド・ゴールとは相性が悪い。今度、ヨーロッパを経由するときは、シャルル・ド・ゴールだけは回避することを決して忘れてはならない。
しかし、オプティミストゆえ、やっぱり忘れてしまうのだろう。そしてまた、シャルル・ド・ゴールで何かが起きてから、鬼門だったことを思い出すのだと思う。ああ、シャルル・ド・ゴール。それもまた何かの「縁」なのかもしれない。