電話よりメール派だ。

　IT業界の著名人が「電話は相手の時間を奪う」というようなことを言っていたが、私も緊急事態や「声が聴きたい」人間関係以外の電話は不要だと考えるほうだ。

　先日も、家具廃棄処分の見積もりのため、関係サイトの問い合わせフォームに、必須項目の住所やメルアド、緊急連絡先を入力して送信したら、「ご入力いただいたメールアドレスに回答いたします」との画面が現れた。

　そのあとすぐに未登録番号からTELがあり、出てみたら、さきほどの産廃業者のオペレーターだった。住所等を再確認され、「のちほど、あらためて地域担当から連絡をとらせてもいただきます」と言われたので「メールでしょうか？」と尋ねたら、「いえ、お電話による連絡のみとなります」。・・メルアド登録、なんの意味があったのだろう。

　仕事上でも、こちらからメールしたにも関わらず、電話をかけてくる人が少なからずいる。その第一声は「電話のほうが早いと思いまして」。いや、それ、あなたにとってだけだから。

　言いたいこと、聞きたいことが整理できていない人ほど電話をかけてくることも多い。まるでカウンセリングのごとく、相手の意図を会話で引き出していく必要があり、総じて長電話になりがちだ。通話料金とは別の利用料金の標準装備化も、このご時世では一手か。

　あと、年輩の管理職に蔓延る「電話のほうが丁寧でメールは失礼」という価値観もちょっとやっかいだと思う。「初対面の相手にはまず電話だろう」とか、「メールを送り付けるだけではだめ」と言われることが多いのだ。「送り付ける」ってなんだ。同じ「送信」ボタンを押すだけなのに「送る」のとどう違うのだろう。

　今では、電話する際は、最初に「今、お時間よろしいでしょうか？」と尋ねることがマナーになっている。でも、「今忙しいので、後にしてもらえますか？」などと本音を言える相手はごく限られる。「困ったな」と思いながらも「いえ、大丈夫です。」と答えるのが常ではないだろうか。

　メールは見逃される可能性もあり、何度メールしても返事がない場合の催促や念押しには電話は有効だし、その必要性は認めたい。でも、やっぱり「Tさん（私）、お電話です。」と言われるたび、「ありがとうございます」と言いながら、内心では、電話じゃなくメールをくれよ、と舌打ちをする。

　メールだとメモを取る必要も、「言った」「言わない」問題も発生しない。メール本文を整えていく中で、聞きたいこと、言いたいことも整理でき、要旨が伝わりやすくなるのは送受信側にとってメリットでしかない。緊急や重要性は件名に記載すれば十分だろう。何より、相手の時間を邪魔しないことこそ、最大の敬意ではないかと思うのだ。

　デジタル技術も文章に起こすことも、基本は慣れだと思う。早く「基本はメール」という時代が来てくれることを、今か今かと待っている。