夫と結婚するまで
夫と再婚するまでには約3年半が経過した。
私と現在の夫の出会いはOKCUPID というサイトだった。
デーティングサイトは多くの場合は出会い目的と言われてきたようだが、結婚や一緒に生きていくパートナーを真面目に探している人のためのサイトもある。
例えば、私の日本人の友人は結婚前はオアフ島に住んでいて、離婚後にeHarmonyというサイトで再婚相手を探し、半年後には結婚して北カリフォルニアに住んで、はや10年平和に幸せに暮らしている。
夫の父は盲目で、日系女性のパートナーと二十年ほど一緒に住んでいたのだが、そのパートナーが認知症になってしまって、ニューヨークの娘のところに帰ってしまった。
長年、義父の事務的な雑用をしてくれている女性がデーティングサイトで今の義父のパートナーを見つけて引き合わせ、今に至る。
2年半前なので、義父は80歳、パートナー女性は79歳だったと思う。
アメリカでは何度も離婚する人も多く、デーティングアプリには85歳の女性でさえも登録している。
私の元夫は私と別居後、3ヶ月後には元同僚の女性と一緒に暮らし始め、1年後には再婚した。
元夫はすぐに再婚したのに、いつまでも再婚しない私を母、親戚、娘も心配して日本の結婚相談所に入ることを勧めた。
ついには、元夫と彼の現在の妻までもが、ある日本の結婚相談所の入会金を支払ってあげると言ってきた。
それ以外にも、母の知り合いのお寺の檀家とか、叔母の知り合いの男性とかを勧められたのだが、とにかくそういう話が鬱陶しくて嫌でしかたなかった。
私は以前、ある日本の結婚相談所に勤務していたことがあり、その裏側を知ってしまったので、入会をバカらしく思っていた。
勤務していた頃に高額な入会金と管理費や月額料金についてやそのカラクリと現実を知ってしまったのだ。
めでたく成婚できた人は一言で言うと宝くじに当たるような感じと似たところがあると思っていて、無駄金になることはしたくないので、元夫と彼のパートナーには丁重にお断りした。
私は離婚後、本格的にフルタイムで働いていて、友人や家族と過ごすので精一杯たったし再婚に夢を見いだせなかった。
再婚相手を日本国内だけに絞り、高額な結婚相談所に費用を払うことが正しいと信じられなかったからだ。
離婚後の独身生活は孤独なのかもしれないが、半面は身軽で自由…
一人暮らしはすべてマイペースで気を使わないで済む。
再婚した北カリフォルニアのNさんを訪ねた時、良いなあと思う事と面倒くさそうだと思うことが半々だったが、Nさんがお相手を見つけたサイトをカリフォルニアに滞在中に試してみた。
Nさんが使用したのはeHarmony
私はカリフォルニアで登録したので、自動的に位置情報が日本ではなくカリフォルニアになってしまった。
eHarmonyの会員ははなるべく自分の近くの人と繋がりたいと記入している人が多かった。
旅行中の日本人だと知ると、本気で相手を探してないのだろうと思われてしまって、暇つぶしのデートとしてなら会ってみてもいいというのがセキノヤマという雰囲気だった。
eHarmonyで出会った、あるサンフランシスコに住む男性は、メキシコ系アメリカ人でNASAに勤務していて優秀だが、ちょっと変な人だった。
元妻に浮気されて離婚して15年。
なかなか良い相手と出会えないと言っていた。
彼と一度サンフランシスコで会った時、人柄は良さそうだなあと思った。
彼はお母さんと一緒に住んでいるので、同居が結婚の条件だった。
世界中のいろんな場所を一緒に旅行しようと持ちかけられた。
それは楽しそうだが、一度やり取りが始まったら、いつも毎日チャットしなければならない。
内心では、いつまでも同じような退屈な内容のチャットで時々何を考えてるのかよくわからないと思ったり、ズルズルチャットしてるだけのように思えて面倒くさくなってしまった。
純粋な二十代前半のお年頃のように、恋をして彼からの連絡を待つのにトキメキを感じるという気持ちには全然なれなかった。
とうとうモチベーション0になり、ちょっと休みたいと言ったまま、全く連絡しなくなってしまった。
日本に帰国しeHarmony はやめてokcupidに登録してみた。
デーティングアプリを始めたものの、なかなか自分と波長が合う人と出会えなかった。
それに仕事をしていると、誰かとチャットが始まってもタイミングよく返信できないし、速リプすることも大変で、用事を済ませなければならないような気持ちでだんだんウンザリしてくる。
デーティングサイトは一人に絞るまでは数人を掛け持ちでコミュニケーションしなければならない。
仕事しながら、それをするのは正直たいへんで疲れる。
その時の仕事はあるアメリカの企業の東京支店での営業職だった。
営業職は毎回 気合を入れてないと、すぐに成績に影響する。
今日の成績は良かったとホッと胸をなでおろしで帰宅できるか、今日は全然ダメだったと思うと不安と悔しさで肩を落として帰宅…
時々は気の合う同僚と仕事帰りに飲みながら、嫌な上司の不満を言い合ってストレス解消…
年に数回はその同僚とBBQ…
東京支店が成績が良く景気がよいとサラリーアップだけでなく、ホテルで豪華なブッフェパーティー、アメリカの会社なので上司はクリスピー・クリーム・ドーナツやピザをランチに配達してくれたり、日祝出勤すると、上品な松花堂弁当を出してくれたりと社員はがんばった分、いろいろな気遣いをしてくれていたので、少々つらいことがあっても、働きがいはあった。
そんな日々を過ごしていて、それで精一杯だった。
仕事に対してはそのように過ごしていたが、私はデーティングアプリをするモチベーションが下がり、そのサイトを全く開かなくなってしまった。
数カ月後、急にそのデーティングアプリのことを思い出した。
思い出した理由は私が無料会員だったのか有料会員だったのか料金の事が心配になり確認するためだ。
久しぶりに開いてみるとある男性からメッセージが来ていた。
それが今の夫だ。
夫はそのデーティングサイトに一週間ほど前に入ったと言っていた。
可もなく不可もなしが、正直な印象だった。
ゴルフ場で誰かに遠くから撮ってもらったプロフィール写真。
サングラス、ゴルフキャップ、ゴルフウェアの写真なので、顔はよくわからなかった。
彼の情報として記憶してるのは、ハワイでのんびり暮らしていることと、男の子がいること。
とりあえずメールから始めた。
数回メールした後に、what's up ではなくLINEでやり取りしたいと伝えた。
そして、LINEとグーグルのビデオチャットでほぼ毎日連絡を取り合うようになった。
時差もあり、休みの日にビデオチャット、毎日数回のLINE…
これを私がマウイ島に来るまで続けた。
正直、シンド〜と思うことが何度もあった。
義務的に感じてしまうのだ。
時差があるため、固定化された時間でビデオチャット。
固定された時間は窮屈な時もある。
アメリカ人は日本人女性に比べてメッセージの回数が多い。
初めは新鮮に感じても日本人からすると、多すぎると感じる。
夫は2度離婚した。
正確に言うと、私と繋がり始めた時は、2度目の妻と別居中だった。
別居して3年目で、もはや元に戻ることはないと考えokcupid に登録したのだそうだ。
私は離婚して7年経過していた。
私は内心、2回とも結婚が上手くいかず、別居して3年で、男の子もいるのなら、もうこの人は生涯独身でもいいんじゃな〜いと思ってしまった。
ひとは良さそうなんだけど…
ハワイ…しかも、マウイ島かぁ…
なんだか、ピンとこないな…
カリフォルニアならいいんだけどなぁと思っていた。
しかも、別居中ということはアメリカ人ではない私は国籍の関係でパートナーとしてアメリカで一緒に暮らすことは難しい…
今後もチャットやビデオを続けても努力の無駄…
やる気がなくなってきてしまった。
せめて、彼が離婚した後に出会っていたら、もう少し前向きに考えたかもしれない。
仕方なく正直に率直な気持ちを話した。
彼は私に謝って、最後のチャンスをくれないかと頼んだ。
マウイ島のよう小さな島ではなかなか出会いのチャンスはないのかもしれないし、島内どこでも誰か知り合いや友人にあってしまう。
しかも、2度結婚に失敗…
まだ最後にできた男の子の子育ても残っている。
なんか切羽詰まってる感じ。
とても疲れてしまって、しばらく期間を空けたいと伝えた。
と言っても1週間後には連絡が来た。
私だって、離婚して東京で働く何の取り柄もないおばさん…
私と彼は釣合っているのかな?とも思った。
彼にはこう答えた。
わかった…
コミットしたいなら、今後の事を見据え、二番目のワイフと離婚してからでないと、チャンスも何もないよねと伝えた。
そして、彼も当たり前だが、同意した。
そこから、2番目の妻との離婚のための厄介な手続きが始まった。
友人の弁護士に頼み、離婚手続きの費用は軽減してもらった。
なんだかんだ離婚のペーバーワークには半年はかかった。
そして、次はようやく婚約者ビザの申請…
申請の頃はコロナ禍の真っ最中…
どのくらいの期間ででビザを取得できるのか予想もつかなかった。
結局、米国大使館でのインタビューの予約まで10ヶ月かかった。
インタビュー後、1週間で婚約者ビザが郵送されてきた。
そして、その10日後に日本を離れマウイ島に到着した。
知り合って約3年ちょっと…
その間に私がマウイ島の彼を訊ね、彼が私を訪ね、その後にコロナ禍になりお互いの元ヘ行き来できなくなってしまった。
マウイ島のカフルイ空港に到着し、彼が迎えに来るのを待っていた。
彼は汗びっしょりで、私にレイをかけてくれた。
何故か、お互いにやっと会えたというような感動はほとんどなかった。
多分、ビデオチャットで会って、LINEで毎日連絡取っていたからだと思う。
慌ただしく私のスーツケースを車に載せて空港を離れ、彼の家に向かった。
出会ってから、いろいろな面倒な手続きなどもあり、もうやめたいと思ったこともあったし、コロナも挟みとても長かったが、やっとここに来た。
やっと始まるのか…
これから、どうなっていくのか全くわからない…
そう思った。
人生の先輩方はほとんど口をそろえて、
離婚しないコツは我慢、我慢だけ…と笑いながら言う。
確かに現実の結婚生活はそんなもんだろう…
時には嬉しく楽しく、お互いを労り合うこともあるだろう…
離婚歴がお互いにある私たちは
喧嘩しながらも…
腹が立っても我慢…
老後はどちらかがどちらかを介護して、
どちらかが死ぬまで一緒にいたら、
私たちとうとう離婚しないで結婚生活を全うしましたと言えるのだろう。
でもでも…
独身の身軽さ、自由さの魅力的なこと…
やはり、たまには一人で日本で生活を満喫したいのも本音 (笑)
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