皮膚がんの検査で
※閲覧注意
ホラー的な表現含む
夫のつま先の白さと言ったらまるで血を抜かれた死体くらい白い。
ゴルフをする時以外は一年中、ビーサンか裸足なのに何故かつま先だけホラー映画の死体のように白い。
一般的に白人は白い肌を恥ずかしがると言う。
日焼けした肌の方がお金持ちに見え、青白いと貧困に見えるからだそうだ。
日本や韓国の白い肌信仰とはかなり違う。
日焼け肌を手に入れる代わりに皮膚がんのリスクにさらされやすい白人。
※白人という言葉に差別意識は微塵もありません。
夫は年に一度、皮膚がんの検査に行くがコロナの影響下で2年間行ってなかった。
今年の検査で放置すると皮膚がんに発展する斑がいくつか見つかり、右頬、背中、腕の班を削り取られた。
見るからに痛そうだが、注射で麻酔してから削り取ったらしい。
数日後に背中の中央に癌が一つ見つかったと医師から連絡があった。
レベルゼロだったので手術で切除するだけだということだったが、ひし形に切除した部分の縫合が必要になり、縫い合わせた部分が開かないように2週間はゴルフもサーフィンも禁止になってしまった。
夫はサーフィンやゴルフを年がら年中やっていて、いくら日焼け止めを塗っても追いつかない。
年齢を重ねるほど皮膚のダメージは多くなるから、皮膚がんの検査の度にどこかを削りとられたら、体中跡だらけになってしまうかもしれないのに、そんなことはお構いなしで検査後もいつものようにゴルフ三昧の日々。
さすがに手術した後は家でおとなしくしていたが毎日ゴルフ仲間に連絡したり、うちから見える場所で仲間がゴルフをしているとビールを差し入れに行ったり落ち着かない。
体も顔も削り取られた跡が、毎年増えていったら最後はゾンビみたいになってしまわないかと想像してしまった。
夫は北や東のヨーロッパの民族の血が流れているのでもともとは青白いくらい白い肌なのにサーフィンやゴルフでガンガン日焼けしてきたわけだ。
棺に眠るバンパイアくらい青白く、皮膚がん治療の後はゾンビのようになるかもしれないなんて本当にホラー映画みたい。
本音を言うともう年齢的にも皮膚にかなりのダメージを受けるのだからゴルフもサーフィンも回数を減らしたらいいのにと思ってしまうが…
反面、この人からゴルフとサーフィンを取ってしまったらどうなってしまうのだろうとちょっと不安になる。
夫は仕事の前や夕食後はライブで世界中の波を見てたり、サーフィンの大会やゴルフの試合を見ていたりする。
それくらい夫はゴルフとサーフィンに人生を費やしている。
結婚する前に夫はよく「自分の人生をシェアしたい」と言っていた。
私は具体的にそれが何なのか特に考えたことがなく、彼は自分と一緒に生きていく人がほしいんだなとしか思っていなかった。
結婚後それが何なのかだんだんわかってきた。
つまりサーフィンやゴルフが好きな自分を理解してほしいということ。
私がマウイ島に来た翌日も朝からゴルフに出かけて夕方に帰宅。
私はまだこちらの生活に全く慣れてなかったので、というより彼の家の中で何を使っていいのか、どう過ごしたらいいのかもわからず、ポツンと待っているしかなかった。
今ではゴルフに出かけるのも勝手に行ってくれくらいの感覚で、いなくなると少し自由でホッとする。
私はまだグリーンカードを待っている身の上なので、アメリカという国から自由にどこかに旅行することもできない。
日本に帰ることすらできないのだ。
夫と結婚する前は旅行が大好き人間だったので、一人でもどこでも行った。
晴れて自由になったら先ず日本に帰国となるわけだ。
しかし夫と一緒に帰国となるだろう。
その後はどうなるのだろう。
多分、夫は日常に戻って仕事とサーフィンとゴルフの毎日。
私は労働許可が下りて仕事をしながら、時々一人旅に行くことを望む。
夫は多分、私が一人旅に行くことを完全にポジティブには受け入れられないかもしれない。
けど、それに慣れてほしい。
私だってあなたがシェアしたいと言ったあなたの人生を受け入れ少しずつ慣れていったのだから、きっとあなたも大丈夫と勝手に思い込むことにした。
共に生きていくことをコミットしたとしても、やはりそれぞれの個人の人生を大切にしていきたい。
夫もこの先、癌や何かの病気でどうなるかわからない。
だからこそ、お互いのやりたい事は尊重していこう。