離婚劇と拳銃
アメリカは銃社会と言われている。
州によって拳銃所持のルールは異なる。
ハワイ州はアメリカ国内では最も厳しい銃規制があり、銃の購入はできるが家の外に拳銃を持ち出して所持することは違法だ。
日本人からするとそれは厳しいとは思えないだろう。
すべての州ではないが、その他の州では外出時に銃を所持することが認められているのにハワイ州では認められていないことに不満を持つハワイに住むアメリカ人も多い。
何かのきっかけでこのルールが変わったらと思うと恐ろしい。
いや、起こり得るかもしれない。
というのはハワイに住むアメリカ人が外出時に銃を所持したいと考える人がだんだん増えているからだ。
アメリカ本土では子どもたちが通う学校での発砲事件が後を絶たないし、報道されていない未遂事件も多発している。
たいていの州では21歳未満は銃を購入することができないが親が拳銃を自宅に置いてあれば隙をついて持ち出すことは可能だ。
だから生徒が学校に持ち運び事件を起こす。
発砲事件が多い州は朝、子どもを学校に送り出し今日も子どもが無事に帰宅できたとほっとする親も多いそうだ。
数日前は6歳児が家から銃を持ち出し先生を撃ってしまったという報道があった。
ハワイだから安心とは、けして言えない事を例をあげて伝えたい。
例えばカリフォルニア州に住んでいた人が拳銃を所持していて、ハワイ州に移住することになったら届けを出せばハワイ州でも自宅で所持することが合法的に認められている。
近所に住むある夫婦が離婚することになった。
その夫婦は3年前にカリフォルニア州からマウイ島に移住してきた。
私は以前、その妻は感情のコントロールがうまくできないことがよくあると思ったことがあった。
その夫はカリフォルニア州で購入し所持していた拳銃2丁をマウイ島の家の金庫にしまっておいた。
夫婦が離婚になり夫婦は入れ替わりでカリフォルニアとハワイに滞在することになり、妻がカリフォルニアに1ヶ月滞在している間に夫は夫婦で大切に飼っていた犬をカリフォルニアの自分のもう一つの家に運び去った。
もともと夫妻が結婚する前に夫が手に入れた犬で、その犬には夫の名前が入ったマイクロチップが入っている。
妻がハワイの家に戻るのと同時に夫はカリフォルニアに2ヶ月間滞在。
その間に妻は夫の金庫を開こうとして、周囲の人に金庫を開ける業者をおしえてほしいと聞いていた。
彼女はうちの夫にもたずねたが、うちの夫は離婚劇に巻き込まれたくないので知らないと答えた。
彼女は買っていた犬を夫に取られて絶望的になっていて、ウサを晴らすためにガレージにある、その夫のクルマを業者に頼んで何処かへけん引しようとして、その写真を撮って彼に送りつけた。
慌てた夫はカリフォルニアに滞在しているので自分で確認できず、うちの夫に自分の車がガレージに本当にあるかないか確認するために見てきてほしいと頼んだ。
彼の車は結局は数日後にガレージに戻ってきた。
巻き込まれたくないのに、夫は巻き込まれていると感じた。
そして彼女は彼の金庫から拳銃を取り出そうとしたようだ。
彼女はかなり感情的になっていたので、彼の拳銃で何をするつもりだったのかと考えると本当に恐ろしくなる。
しかし彼女は結局金庫を開けることができなかった。
今度はフェイスブック上で「M〇〇〇…という酷い男は私の犬を連れ去りました。奪い返してくれた人には報奨金を支払います。」と彼がバスルームで撮ったちょっと恥ずかしいセルフィと一緒にポストした。
彼女はなぜ彼が撮ったセルフィを発見したのか謎。
彼女の投稿を見た数人の人は彼女に同情するコメントをした。
彼女の狙いは彼に恥をかかせる事と自分に同情を集めることだったとしか言いようがない。
正直なところ「こんなことをしたら、結局は周囲の人から信頼されなくなってしまうのに、彼女はなんて愚かな事をしてしまったんだろう」と思った。
しかし彼女はその後、以前より頻繁にメッセージを送ってきたり、突然なんの連絡もなしに我が家にやって来るようになった。
そして「あなたの夫は彼側の味方のようだわ…私はAloha friendsを信頼してないから」と私に言った。
彼はうちの夫とよくゴルフに出かけていたからだ。
彼女は私を味方につけたいのだろう。
そして私にアクセサリーやスタバの限定タンブラーなどを数回プレゼントしてきた。
本音を言うと、その度に素直に嬉しい気持ちで受け取れなかった。
私も彼らの離婚劇に巻き込まれたくないし、これ以上はプレゼントも受け取りたくないし、会うなら私と夫や周囲の人たちが集まる時だけにしたい。
彼女はその夫が連れて行ってしまった犬の代わりに新しい仔犬を飼い始めた。
彼女のような離婚劇って、アメリカでは実はけっこうあるようだ。
派手なバトルを皆にさらけ出し、さらに炎上する。
そして最悪の場合は発砲…
アメリカ人はソーシャルは大切と言うけれど、ハワイでも拳銃所持しているアメリカ人も多いし、個人的に深く付き合いたくなくても何らかの事で接近しなければならないってこともある。
うちの夫は銃の所持をする意志はないが、今後のハワイ州のルールが変更にならないことを祈る。