呟きもしなかった事たちへ_No.62(2024年7月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら索引もあります。

次のラジオネームは「パリピ金一封」で行こうかなと思う。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。


ペースト

ロゼッタ洗顔パスタ、ネットでも評判だし嫁も使っているが、それはそれとして「ペースト」とは書かない点も特徴だろう。もちろん小麦を練ったイタリアの食べ物であるパスタとペーストが同じ語源であることは知っているが、日本語で商品名を決める際にわざわざパスタを選ぶかねという気もする。

17年前にインドネシアに出張して新システムを導入した際、ローカルスタッフに「コピー&ペースト」が伝わらなかった。難儀していると若いスタッフが「コイツが言ってるの、コピー&パステですよ」と言い出し、年いった方のスタッフも「なんだよパステかよ。野地、ちゃんと言えよ」みたいな流れになったことがあった。納得いかなくて夜に駐在員と飲んだときにもその話をしたし、今でも納得はいっていない。本人の忘れられなさとは関係なくしょうもない話ではあるが、ロゼッタを見るたびにこれが頭をよぎる。

美容院

知人の結婚式が近くいよいよ髪を切らなければというタイミングだったが、ずっと通っていた美容師と都合が合わず、十数年ぶりに違う美容師のお世話になった。妙な緊張が走る。

ずっと美容師を一人に決めていたのは、年に6回以上の頻度で1回に1時間以上の対面をする関係というのは親戚や友人よりもずっと濃い気がしていて、会話が楽しく腕が確かな人が見つかった時点で変えたくなくなったからであった。そして実際変えず、多くの時間に付き合っていただき、twitterやnoteも折りに触れ読んでいただき、ありがたい限りである。noteのネタにもなっている(これとか)。次回はまた行きます。

ところで、よく考えれば前段の話は「一人に決める」ならそうなのであって、複数箇所を回る人、ないしホットペッパービューティーの一見さん割引で数多の美容院を練り歩くような人には全く関係のない話だ。美容院は増やしてもいい、という感覚がこの10年以上無かったことに自分で驚く。盲点だった。実際、嫁は美容師と会話をしないタイプで店を転々としており、今回行った美容室も嫁が数多持つ候補からオススメしてくれたところだ。

だから、今までのところにも行こう。遠出は楽しいし、近場で済ます気楽さもある、と幅をもたせよう。変えるのではなく、増やす。そうして人生を豊かにするのだ。

ドリアン

ドリアンが1個まるまる近所のスーパーで売られているなと言うのは認識してたものの、ついぞ買う人を見かけない…そんなことが数年続いた果てに、とうとう買っている人をお見かけした。

カートのカゴにはドリアンと5キロの米が入っていた。ドリアンと5キロの米。ハリー・ポッターと秘密の部屋。かなりハードな買い物だが、ハードな買い物ができる人じゃないとドリアンは買えないだろうという気もする。自分は一生買えない(買わないのではなく、買えない)のだろうなという実感がある。

迎え酒

迎え酒をやったことが(ほぼ)無い。括弧書きをしたのは該当事例とみなせるものもあるかもしれないという予防線で、しっかりと自覚的に行ったことは無い。

そもそも迎え酒、その成立条件は案外難しいのではないか。(医学的な効果はともかくとして)「二日酔いを緩和する目的意識を持って飲む」ということは、当然に二日酔いでかつ酒が飲める状態でないといけないのだが、二日酔いがひどいと僕は胃にも来る(水分を取っただけでも吐く)。つまり、緩和させたいほどひどい二日酔いの時は飲めない。冒頭括弧書きの通り、緩和させるほどではない多少のダルさがある中で酒を飲んだことはある気もするが、これは広義には迎え酒でも狭義には「緩和させるために飲む酒」ではない。

案外、若いときにしか出来ないことなんだろうか。

手仕込み

チェーンのカレー屋などで見る「手仕込みとんかつ」の「手仕込み」とはパン粉を揚げる直前に厨房で付けることを言うらしい。何故それが売りになっているかといえば、先にパン粉を付けて冷凍されたカツより、直前にパン粉を付けた方が水分がちゃんと飛んでサクサクした食感になる、ということなのだろう。

しかしネットで探してみると、地方の魚加工業者が「手仕込みアジフライ」を通販で売っていて「一つ一つ手でパン粉を付けた状態で冷凍しています。あとは揚げるだけ!」みたいなことを売りにしている。元来の「手仕込み」を売りにする理由がなくなって、手でやっていることを売りにしているが、パン粉を付けるという行為自体は手でやることで機械より旨味が増すわけではないのではないか。

こういう、意図が分からなくなった手作りを売り文句とするの、良い。そもそも「パン粉付けたて」と直接に言わず「手仕込み」という表現をしていたこと自体も、実態はどうあれまずは手でやっているというイメージに訴えている点もあり、やむを得ない感じはする。いずれ、人の性だ。


~この辺りから特に調子が悪い時のエントリなので、どうにも明るくないシーンもありますが、まぁ自分の記録なのでやむを得ないことと、暗い中にももがいている部分があるので残しておきます~

打撃マン

打撃マンという作品があって、すごい。1巻のあらすじはこうだ。

結婚式場で働く伊達保・30歳。愛する妻と一人娘の三人家族。ある事件をきっかけに、ごく平凡なサラリーマンだった伊達の中に何かが芽生え始めた…。暴力への恐れ…それと表裏一体の強さへの憧れ…その衝動のままに事件の当事者を殴り倒してしまう。だしゃあと華麗なるパンチを繰り出す“打撃マン”が世の中の不条理に立ち向かう!!

Amazonより

こういう風に書かれると、主人公が殴ってスカッと終わりそうな気がするだろうが、恐ろしいことにこの主人公、ちゃんと降格していく(情状酌量の余地はあり、クビまでは至らないがちゃんと異動するし勤務先は変わっていく)。失うものがそれなりにあるが、それを覚悟の上で殴らざるを得ないものを殴る…そういう覚悟があることが主人公の強さでもある。ちなみに覚悟があることとそれが正当化できることは無関係なので話は結構荒唐無稽だったりする。

さて、会社がバタバタしていて、そんな折4月から来た上司についていけない所があったし、ついていけない僕以外の人からも僕のところに苦情が来たりしていて、ようは随分と辛かった。ついに6月に入って、スッパリと「貴方にはついていけない」と言ってしまった。結果、多分社内での評価は下がる。だが今までも真っ当ではない評価の時はあったし、言わないよりは言った方が良かった。覚悟して言った。それでよかった。

こう書くと自分が打撃マンのようにやれたように思いそうだが、感想は逆で、打撃マンのように「殴って、その結果離れた」のではなく、「離れるために殴った」気がする。結果は同じだが、プロセスと動機は違う。どちらかと言うと逃亡マンだ。

まぁ、いっか。結果は同じだ。スカッとを享受しよう。

禁酒の終わり

月末に人間ドックがあり、どうせならと8日間禁酒した。睡眠が浅くなっていたのが酒のせいではないかと思ったからだが、果たして禁酒しても全く平日の眠りは深くならなかった。仕事が辛くて深酒した結果眠りが浅いのか、単純に仕事が辛くて眠りが浅くなっていたのか、検証が出来た次第だ。

よし、7月からは気にせず飲んでいい。

散歩

野球の試合の予定があり朝早く起きた土曜だったが、前日の雨がひどく結局試合が流れた。仕方がないので上野まで散歩をすることにする。根津神社側から北回りで少し遠回りのルートを通る。

タイミングよく6月の大祓の直前だったので、根津神社では茅の輪をくぐりカタシロを納めることが出来た。ちゃんと一連のことを初めて行う。禊も出来ようものだ。下半期からの改善を祈りたい。

近くにサワノ商店という良い酒屋を見つけた。その前に東大そばで良い飲み屋も見つけた。

根津神社ではカメが、上野公園では鳩と鷺が、ゆったりと日を浴びていた。鯉もけだるそうに泳いでいた。紫陽花が咲いていてまだ枯れ始めていない鮮やかな色をしている。午前中でまだ人出が本格化しておらず、上野公園や駅周辺、アメ横もそこまでガヤガヤしていない。

平和だよな。そう、色々あっても、平和はあるのだ。

来月からはしゃんとします。

↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。