呟きもしなかった事たちへ_No.47(2023年4月号)

※コンセプトは創刊号をご確認ください。ぼーっとする文章が続きます。バックナンバーはこちら索引もあります。

心にコブラを飼うことで日々を乗り切っている。もちろん蛇ではなく、サイコガンの男だ。彼のテンションで年度末を乗り切った。

今月も、呟きもしなかった事たちへ。

化粧水

英国に行っている間、化粧水を使わなかった。効果がないのではないかと疑っていた化粧水(過去経緯はこちら)だが、果たして家に帰って鏡を見ると流石に肌が少し荒れていて妙に安心する。やっていることが無駄じゃないということは大事だ。たとえ効率が悪くとも。

とはいえ化粧水を使わなかったせいなのか、単に疲れによるものなのかは分からない。帰ってきて肌の調子が戻ったのは、化粧水のせいか、それとは関係なく疲れが抜けたせいか。

無駄かもしれないという気持ちの検証は続く。

通販生活

「中島らもの明るい悩み相談室」をいとうせいこうがセレクトしたものが通販生活に載っている…という文章を読んで驚いた。一体いつの時代の話をしているのか。なにより、通販生活ってまだあるのか。

調べてみるとしっかりWebページがあり、未だちゃんとECサイトとして機能しているようだが、やはりターゲット層の年齢は高そうに見える。

言われてみれば、インターネットのなかった時代に、思想と生活を啓蒙する定期購読物というかなり尖った事を長年やっていたのだ。レガシーで食べていけるだけの人気はあるのだろう。母も購読していたし、それで実際に通販をするというよりは読む事を目的としていたように思う。そういう複合コンテンツだったのだろう。

今の通販生活のページを見ていると思想が偏っていてなかなかしんどいが、インターネットでやっている事の多くはカタログを眺めることと思想を眺めることと生活を眺めることばかりなので、昔の通販生活程度の事なんじゃないかという気もする。では私たちが老人になった時に行きつくものは何か。

ハイエンド

なんだかんだ言ってクレジットカードのグレードがそこそこなので、一応そこそこのレストランの割引サービスがあったりする。それで誕生日を楽しもうと予約するも、果たして英国出張が入ってしまいキャンセルする事になった。しかもただのレストラン予約ではなくクレジットカード会社経由の予約なので、クレジットカードのカスタマーサポートに電話しないといけないらしい。にわかに面倒だという気持ちが湧き、出張直前になるまで電話を先延ばしにしてしまった。

ところがいざ電話をかけてみると、サポートの応対は非常によく、キャンセルもあっという間に終わった。よく考えればグレードの高いカードのサポートセンターなのだから、面倒にならないよう良く練られているのは当たり前であった。高級なものの質は信じていい。

名古屋めし

名古屋で一泊する事になり、久々に名古屋めしと言われるものを少し食べる。

思うに、八丁味噌が苦手な人がいるせいで味噌文化とか独特の味付けとか言われがちだけれど、名古屋めしの真の特徴は「ソース文化」なのではないかと思う。これは大阪のソース文化とは異なる、いわゆる「これソースがメインまであるよね」という味付け、具体的にはデミグラスハンバーグとか、牛タンの煮込みとか、かた焼きそばとか、要は「(下品だけど)メインを食べたあとにソースだけ舐めちゃう」料理の系統の話だ。みそかつも、あんかけパスタも、どろっどろのカレーうどんも、どれも共通することは「かけ過ぎ」なのだ。だがそれでいい、なぜならそのソースを食べることが目的だから。そういう文化に思う。食べはしなかったが味噌カツカレーきしめんというものを出している店があって、味噌ダレはカレーに混ざってしまっていた。混ざったソースも食べるから、それで良いんだろう。

現地でメジャーな調味料「つけてみそ かけてみそ」もよく考えればコンセプトがおかしくて、付けるのにちょうどいい塩梅のものをぶっ掛けていい訳がないのだが、彼らはどちらも出来るとそう言い張る。そういうものだから。付ける時もめちゃくちゃ付けます、まるでかけるように付けます、そういうものだから。

味付けは嫌いじゃない。ただ、過剰だなぁとは思う。

詐欺

PUTOMAYOがブランドとして復活するらしい。生きていると色々起こるな、と思う。

母は詐欺ではないかとコメントしていた。確かにそういう詐欺ECサイトもあるし、ボケるよりはマシな感想かもしれないと思い、真面目に検証した。PUTOMAYOは既に少なくとも1着はそれらしい服を作り、ツイッターにいるプロのモデルを雇って試着させて広告を出したのだけれど、まだ販売に至っていない。ここからまたそれらしい服をPR用に作ってサイト作って、という手間の正体は、復活第一弾として売る服が全て詐欺で、カードの情報だけ抜き取られ服が届くことはない…むしろそうだったらいい。その詐欺が成立してほしい。そこまで手を掛けて一発勝負の詐欺をやり、それで儲かるだけPUTOMAYOのファンが居て高い単価に飛びつくなら、そして大掛かりな詐欺事件として名が残るほどPUTOMAYOにネームバリューがあるなら、それはそれで嬉しい。

だが、つまり、そんな都合のいいことはなく、現実にはこれは詐欺ではないのだ。復活おめでとう、PUTOMAYO。

やけど

久々に火傷をした。左手人差し指、爪の付け根と、まぁよく使うから火傷をするし、よく使うから火傷になると不便だ。

皮もめくれてしっかりしみる。お湯や温かいものはやはり駄目だと思っていたが、ある日急にお湯がしみなくなった。あれ、急にこうなるのか。皮がつながったのか、そもそも中の炎症が治まったのか。こんなものだったか。火傷自体が久々で何も覚えていない。

先月号では久々の風邪を書いた。どちらも面白がっているが、この調子で久々の骨折とか言い出すといよいよ年をくったなという感じがするので気を付けねばなるまい。

遊び心

口頭では何度もいろんな人に話している気がするけれど。

昔、Nack5でサミー(現在のセガサミー)がスポンサーの「パーセプション」という番組があって、この番組のパーソナリティーがナレーションをするサミーのCMがあった。

「ストレス社会の現代において、人間をいやすのは遊び心です」
「遊び心の三要素は、パチンコ、パチスロ、ゲーム。これら全てを兼ね備えた、サミー株式会社です」

落ち着け。まず、パチンコ・パチスロ・ゲームは全部ゲームでいい。そして、遊び心はその三要素ではない。

でもこの言い切るスタイル、ちょっと好きなんだよな。

酒飲む間の随筆

正岡子規の「飯待つ間」をチョロチョロと読んでいる。現代なら読まれもしないか炎上必至で、これはインターネットのブログでは読めないものだ。

表題作は飯の用意が遅いなと不満気な子規が部屋で寝転がっていると、近所のクソガキが猫を虐めている声がしてうるさい…という内容である。子規の態度が最初から最後まで悪い。他にも旅先の風俗の話(これも冒頭で旅先の宿では味噌汁が薄かったと余計なことを言う)から、最終的に「特急に乗る前にホームにいた女性が妙にエロくて記憶に残ってるがありゃ子供三人はいるな」とかいうよくわからない話で終わる章もある。文は軽妙で腕があるとはいえ、こんなものばっかり読んでいると自分まで品が悪くなりそうだ。

酒を飲みながら読むとちょうどいい。

↑クリエイターと言われるのこっぱずかしいですが、サポートを頂けるのは一つの夢でもあります。