推しがアイドルやめるので「アンカーボルトソング」を読む
※この文章はシャニマスのイベントコミュ「アンカーボルトソング」の感想に見せかけたただの自分語りです
推しがアイドルを辞めることになった。グループを卒業し、事務所も退所して、春からは一人の役者として生きていくことを選んだ。私は9年ほど彼のオタクをしており、発表から一週間が経ついま、まだ心の整理がつかずにいる。
だからこそ、いろんな「アイドルが終わりを見つめること」について描かれた作品を読みたくなった。シャニマスについては好きなアイドル・ユニットのコミュだけ読むという浅さの(ここ一年はそれすら出来ていない)ユーザーだが、そういったコミュが多いことは知っていた。そこで有識者の方におススメを聞いたところ、複数の方が挙げてくださったのが「アンカーボルトソング」だった。
結論から言うと、「あったなあ……」の連続、そしてそこからの「推しくんもこう思ってくれていたらいいな」という祈りになるコミュだった。
あったなあ……① ソロ仕事が増えることへの不満
忙しいのは、そしてソロ仕事が増えるのはいいことだ。アルストロメリアの面々はネット音楽番組のMC/コスメプロデュース/地上波バラエティのレギュラーと、それぞれの強みを活かしたソロ仕事で忙しくなっており、ユニットとしての時間が取れなくなっていた。
推しくんの所属するグループにもそういう時期があった。ソロ仕事、パフォーマンス以外の仕事が増え、「これ稽古できてないんじゃ……」と思わされるステージを見せられたこともあった。
そうなるとこうなるんだよな。これ、文面も相まって私か?になった。鍵のない表向きのアカウントだったらこれくらい言う。鍵垢では「稽古しろ~~!!」「オタクに不安定なところ見せるな〜〜!!」とか言ってる。
ソロ仕事で活躍して、それをグループ活動に還元する。その循環が理想で、そのためにみんな頑張ってるって、オタクも分かっている。それでも「見えない」と不安なのだ。一つの匂わせに過敏になって、少しでも失言があると「グループの事考えてない」と思ってしまう。愚かですね。
ただ、シャニマスのいいところは本人たちも「匂わせは少しモヤモヤする」と明言してくれていることだ。オタクを一方的に悪者にしない、優しい物語やね……。
あったなあ……② 「思い出には勝てない」懐古厨の業
ソロ仕事で忙しくし、すれ違いはじめる3人にこれからを考えるきっかけを与えたのが、ファンがSNSに投稿したスライドショー。そこには過去の「アルストロメリアの」3人が並んで笑っている。
「今も好きだけど 俺の好きだったアルストロメリア」
グループ名は検索避けしろよ!と叫んでしまいそうになった。オタクというのは懐古をする生き物だ。それが「昔はこんなだったけど今は良くなった」というものならまだしも、「あの頃は良かった」「今は遠くに行ってしまった」という今をネガティブに捉えるものも……いや、そちらの方がいわゆる懐古行為ではメジャーだろう。
その懐古……「完璧な美しい思い出」に押しつぶされそうになり、一番に感情を吐露したのが千雪さんなのも良かった。ユニットの仲間同士、どんなに思いやりを持っていても言いたい事は言ったほうがいい!!
「おじいちゃんになっても○○(グループ名)でいたい」と言って残り続けているメンバーを知っているので、千雪さんには彼を重ねてしまった。推しくんに「グループ抜けてもLINEくれる?」って言ってたしな(推しくんはそもそも筆不精なのでLINEをしない)。脱線した。でもこの一連の会話が一番直球で泣いちゃったなあ……。
きみは「3人でアルストロメリア」って思っていない、でも
3人で、アルストロメリアであるために。3人はソロの仕事も頑張りながら、アルストロメリアとしての自分たちを大切に活動していく決意を新たにし、ファンに匂わせた。きっと推しくんたちもそう決意したことがあるのではないか、なんて思ったりした。
ただ、推しくんはグループに対して、「誰が1人残ろうが、その残った1人が〇〇(グループ名)。〇〇魂が消えることはない」と言う思想を持っている。だからこそグループを抜けるという決断が出来たのだと思う。これはアルストロメリアのみんなと対極の思想で薄情に見えるかもしれないが、そもそもグループには発足時約100人が在籍しており、そこから生き残ったのが11人(厳密には13人)……そして色々あって6人にまで減った。それでもその根底にある魂は変わっていない。それを推しくんは13年間、ずっと最前線で見てきた。自分が抜けても、残ったメンバーは変わらずに、その魂のまま走り続けてくれる。その確信があったのではないか。オタクからすると「そう思っちゃったか……」という感じではあるけど。これはすべて妄想です。
思い出と戦っていこうね
正直、3人でアルストロメリアという原点に立つことができた甘奈ちゃん、甜花ちゃん、千雪さんが羨ましい気持ちはある。話し合いの末こうなってくれたらどんなに良かったか。でも、さっきも書いたけど推しくんたちにとってはこの「アンカーボルトソング」的な出来事は過去にあって、今ここが推しくん一人の人間としての未来、千雪さんの考えてしまった「アイドルをやめた自分」のちょうど分岐点なのだろう。
私は美しい思い出をなぞる事をやめられない。これはもうオタクの業で、推しくんのオタクを続けるかぎり昔撮ったツーショットをずっと見続けるだろう。この頃の推しくんカッコよかったね、この髪型も好きだった、って言いながら。
だから、思い出に勝たせて欲しい。グループを抜けて、一人の俳優として、とにかく最高点の仕事をめちゃくちゃに見せてほしいよ。ずっと思い出と戦い続けて、そのてっぺんで誰よりも一番きらきらしていてほしい。厳しいことを言っているのかもしれない、でもそれくらいの覚悟でしょ?と思ってしまった。
きっと推しくんはこれから元○○、という思い出の肩書きに助けられることもあるだろう。それでも戦っていくのは推しくん自身だ。私はそれを、たまに不満を漏らしながら(漏らさないのは無理なため)応援していたい。
……とポエムを書いてしまったが、いざ推しくんがグループ名を・事務所によるパッケージングを脱いだ時、それが私の好きな推しくんであるかはその時になるまで分からない。それでも、戦い続けてくれるのなら。そう祈らずにはいられないコミュでした。
ここ可愛すぎて3回くらい聞き直した。
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