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「直島誕生」 秋元雄史

先日、金沢21世紀美術館で行われたシンポジウムで、恥ずかしいのですが初めてこの方の名前を知りました。ただその語り方や話の展開の仕方に興味を持ち、アートの聖地といわれる直島の生みの親?ということも気になり、「直島誕生」という本を読んでみたいとメモを取っていたので、すぐに図書館に走りました。

久しぶりに本を読み終えて胸が熱くなりました。

直島が現代アートの島と呼ばれるまで、作者の関わった15年間の七転八起の様が描かれています。登場人物は日本を代表するような芸術家や建築家たちです。さらには世界の芸術界をけん引する人たちも名を連ねます。その中にあって秋元さんは、まさに多彩な猛獣を束ねる調教師というと失礼でしょうか。ただ猛獣であっても人間です。秋元さんの発想や行動力に、ついつい仕事を引き受けてしまうのです。もしかすると一番の魅力は人間臭さだったのかもしれません。

この本は直島という過疎に直面している小さな島が、そこにしかない瀬戸内の地の力と、ベネッセ~よく生きる~という芸術を育む哲学と、それらをとりまく人間たちによって生き返った記録です。日本中に過疎化の一途をたどっている地域があります。町おこしや街並み保存などの活動で観光を伸ばそうと努力している地域もあります。私の暮らす町も新幹線の延伸が間近に迫っているため、その恩恵をなんとか引き込みたいという空気が漂っています。もちろん観光誘致ができるのはいいことです。できることならさらに文化や地域性を生かしていきたいです。私も微力ながら、少しでも地域のために貢献できることを考えていきます。

~プロローグより~

直島を評価するフレーズとして、「多くの観光客を呼んでいる」とか「過疎の島を観光で救った」といったものがよく聞かれる。しかし、それはある出来事の効果にすぎない。本質は、島の創造性にこそある。

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