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ツッコミは愛だ!

自己紹介に書きましたが、私は小学校の教員で「ツッコミ先生」と呼ばれることがあります。漫才をしたり、普段の授業でもよくツッコミをしたりします。

ツッコミって怒ってるんじゃないの?
そもそも、教育にツッコミいる?

みたいな話もあると思うのですが、

それが子ども達とのコミュニケーションの軸にもなっていることをお話できたらと思います。よろしくお願いします。



ツッコミというのは、ボケに対して「何でやねん!」のように間違いを正すみたいなイメージがあると思うのですが、私の中では少し異なります。

どちらかといえば…



ツッコミ=リアクション

だと思っていただければと思います。

そして




リアクション=愛

なのです。




子どもって、時にあり得ないことや不思議なことを言いますよね。
そういった時に、ツッコミが効果を発揮します。

例えば、暑い夏の日に
「先生、アイス食べたーい!」
「みんなのアイス買ってきてー!」
※これ100回くらい言われました。笑

と言ってきたら、みなさん何て返しますか?



「そんなことは無理です!」
「何を言っているのですか?早く授業の用意をしましょう。」
と言うのは淋しすぎますよね?



そこで、ツッコミの出番です。
「なんでやん!授業が自習になるわ!」
「なんで全員分買わなあかんねん!先生の財布空になるわ!」


これだけでも、子どもはだいぶニヤニヤしてくれます。

そのあとは、

「まぁ、先生だけハーゲンダッツやけどな。」から
「何で先生だけハーゲンダッツやねん!ずるい!」
「みんなはどんなアイスが好きなん?」

など子どもに返していけば楽しい会話が続きます。



また、例えツッコミなんかもします。
よくするのは「〇〇みたいに言うな!」です。
これは、相手のほしい答えを瞬時に探すトレーニングみたいなものです。


「宿題を終わらせにきた!」と言った子どもには、

「頂上戦争のシャンクスみたいに言うてるやん!」

と返すと

「先生、よく分かったね。」って喜んでいました。


急に話しかけてきた女子の場合、

「ねぇねぇ〇〇〇・デラックス!」と言われたので、

「いや、マツコ・デラックスみたいに言うな!」と返すとニヤニヤしながら去っていきました。笑


例えツッコミを通して、そこに「分かってくれた!」という安心感が生まれます。


そして、これは子どもを褒める(価値づける)際にも役立ちます。

「友達に優しくて立派だね!」「学習の時の集中力がすごいね!」
だけでも十分伝わるかもしれませんが、

「友達に優しくしていて立派だね。バファリンの半分はきっと〇〇さんでできてるよ。」「学習の時の集中力がすごいね。まるで〇〇みたいだね。」と伝える方が、本人にも周りにもイメージを持って価値を感じることができます。「そのくらいすごいんや!」と実感できます。




他にも、子どもが
「先生、昨日弟とすごい喧嘩した。殴り合いの。」と言ったとします。
(これは実際に言われました)

ここで、
「そんなことはいけません!」
「弟を殴っちゃだめ!」

では、その行為の是非を問うような返しになってしまい、話した子どもも不快感を感じてしまいます。

なので、その時の表情(笑いながら、驚いて、困って、心配して、など)+ツッコミ+質問します。

「気になるなぁ!もっと詳しく教えてくれー!」
「東京リベンジャーズか!ケガはなかったん?」
「激しすぎるやろ!どうなったら殴り合いまでいくん?」

とすることで、

「先生も楽しんで話を聞いているよ。」
「興味を持って話を聞いているよ。」


ということを態度で示しながら話を展開できます。それなら、もっと話したくなりますし、子どもの本心が見えやすくなります。(もちろん、深刻な生徒指導案件など場合によっては丁寧に傾聴・共感していく必要があります。その時はツッコミしません。)


ちなみに、殴り合いの喧嘩を話してくれた子の悩みをテーマにして、クラス会議でみんなで解決策を考えました。その子は、「みんなに話してよかった。」と喜んでくれました。



なので、ツッコミという言葉のやりとりを通して、



先生が楽しそうに興味を持って話を聞いてくれる

という印象が子ども達には残っているのだと思います。




「真剣な話にもくだらない話にも、先生は最後まで話を聞いてくれました。」

と昨年のクラスの子からお手紙をいただきました。この言葉が、全てを物語っている気もします。


ただ、そんなうまいことばかりではありません。

「先生の髪の毛、やっぱりもじゃもじゃやな。」

「誰が鳥の巣やねん。卵産んだろか!」(フット後藤さん風)で大滑りしたこともあれば、ツッコミを求められていない時にツッコミを入れてしまい微妙な空気になったこともありました。


ただ、私はこれからもツッコミを続けていくと思います。

それは、



「思ったことは気軽に話していいんだよ。先生がどうにかするからね。」


というメッセージでもあるんです。その気軽さの雰囲気を纏ったクラスは、授業や生活での発言が増えて話し合いを活性化させることができます。子ども同士で話し合える関係性を構築するための一歩目として、教師のツッコミというリアクションが効果を発揮するのです。






ツッコミは、子ども達を包む愛なんです。

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