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【第2回】Hardstyleレーベル紹介【A2 Records】


こんにちは、Noizです!

今回はA2 Recordsを紹介していきたいと思います。

A2 Records

A2 Recordsは2008年にHardstyleプロデューサーデュオ、Alpha²(Alpha Twins)によって設立されます。設立目的は現在Rawstyleとして知られる新たなHardstyleの様式の高い品質と創造性を持った楽曲をリリースし、シーンを盛り上げることでした。

創設者であるAlpha²を筆頭にE-Force, Digital Punk, X-Panderらからなる強力なサポートメンバーに支えられ2008年の設立から間違いなくRawstyleレーベルのトップを走ってきました。

残念ながら2019年5月29日にA2 Recordsとして214枚目の楽曲、Kronos - Heartbeatのリリースを最後にレーベルとしての役割をScantraxx BLACKが引き継ぐ形で活動を終了しています。

A2 Recordsに対しては筆者自身個人的に思い入れがすごくあり、大好きなレーベルの1つなのでここからは設立から1年毎に代表的な楽曲とRawstyleシーンの変化を見ていきましょう!

(※かなり長い記事になりますのでRawstyleシーンの変化とA2 Recordsが果たした役割だけ見たい方はA2 RecordsとRawstyleシーンの変化のところまで飛ばしてください)

2008年の主なリリース

記念すべき1曲目のリリースはAlpha² - Nowhere To Hide / In Time EPでした

既にRawとしてパワフルなキック、厚みのあるリード、獰猛なスクリーチを持っていて何よりこの暗めの雰囲気が最高ですね!

設立年の2008年は5つのリリースがありました。

2009年の主なリリース

2009年のリリースの中ではやはりこれでしょう

Ran-D - Living For The Moment!

ボーカルもメロディも神ですね、A2 Rec全体だけで無くクラシック全体の中でもお気に入りの曲の一つです。

この年の他のリリースだとAlpha² - Fragileも結構好きです。

2009年のリリースは5つでした。

2010年の主なリリース

2010リリースで好きなのはRan-D & Adaro - Under Attackです。

今でもいろんなMixでちょくちょく聞きますね。

ボーカルとキックの掛け合いがリズミカルで、間に入るスクラッチもアクセントになりドロップのリードもクセになる一曲です。

2010年のリリースは4つでした。まだまだリリース頻度は高く無いですね。

2011年の主なリリース

Ran-D & B-Front - Rebirth(Official Anthem 2011)

(2010年から?)開催されているRebirth Festivalの最初のAnthemの楽曲です。これもRan-DっぽいカッコいいボーカルとB-Frontの綺麗なリードが合わさった素晴らしい曲です…

この曲以外だとUnleashed Album Samplerという名前の様々なアーティストの楽曲が2曲ずつ合わさったEPが多く出ており、Son Of Torture原曲やAlpha²  & Wildstylez - Breathe, E-Force & Luna - Blacklightなどの良曲も出ています。

キックが少し新しくなってきたのかもしくはミックスが改善されたのかここら辺の時代の曲から少しずつ聴きやすくなってきたような気がします。

2011年のリリース数は10で今までと比較すると倍増して勢いが出てきたのが分かりますね。

2012年の主なリリース

2012年と言えばこの曲!

Alpha² - From The Rain!!!

これは僕が一番好きなクラシック(?)曲です。

メロディが神!!1st Dropも好きですし、ボーカルや展開も良くて永遠に聴いてられますね…

Alpha²はこの年Rebirth Anthemもリリースしててそれもかなり良くて好きです。

この年は他にAdaro - No Time To Sleep,
Gunz For Hire - Kings Of The Underground,
Gunz For Hire - Boliviaなど、
この後の時代でも聴き継がれるような名曲が多く生み出されています。

2012年のリリース数は14でリリースの質と量共に充実してきたのがわかりますね。

2013年の主なリリース

Rawシーンが大きく発展したと考えている2013年は多くの名曲が生まれました。

Gunz For Hire - Sorrow

このホラー感ある雰囲気にEllieの美しいボーカル、そしてBreakとは対比的な激しいDrop、数少ない完璧な曲の一つ。

Alpha² & Noisecontrollers - Craving For The Beat(Official Decibel 2013 Anthem)

これもノイコン要素からかRawでは無いけど好きな曲…一応A² Recordsから出てる。

この年のAlpha²はリードが明るくてあまりRawの雰囲気っぽく無い…

他にも
Adaro - For The Street,
Digital Punk - Invasion,
Ran-D & B-Front - The Message,
Digital Punk & Profyler - Rock The Party(Waverider Remix)
辺りも最高です。

↓これは2013のA² Rec楽曲を中心に集めたコンピです。

2013年のリリース数は22でした、リリース数が伸びてきていますね。

2014年の主なリリース

2014年と言えば年末に投票で行われるHardstyle Top100でも1位にランクインした
E-Force - Seven

ホラー感ある雰囲気にこのキックとスクリーチ…1st Dropのキックも好きだし2nd Dropのアップテンポになっていくところはたまらないですね…

ここくらいから今のRawキックに繋がるTokにリバーブが大きくかかった硬いキックが使われています。

2014年の途中からジャケットのデザインも変わり、カッコよくなっています(個人的にレーベルのジャケットで言えば2、3番目に好き。1番は同じくA2  Recで2015年の途中から使用されているデザイン)

他には
E-Force, Frequencerz - Men Of Steel,
Alpha² - Betrayal, Ran-D & Endymion - Antidote, 
Alpha² & Jack Of Sound - Das Weite Land
はRemixも出てますし、
X-Pander - Nightmare,
Unknown Analoq - Blackout(B-Front Remix),
Digital Punk - Firestorm
等あげたらキリが無いですがここら辺も是非聴いて欲しい曲ばかりです!

2014年のリリース数は28です、Hardstyle Top100の上位にSevenの他にもRawstyleの曲が名を連ねる様になり発展期にいるのがわかりますね。

2015年の主なリリース

 2015年はAtmozfears、Sub Zero ProjectなどRawシーンに素晴らしいタレントが入ってきたのもあり、シーン全体が活性化されました。


2015年のSupremacy AnthemはDigital Punkが担当でした。


Adaro - For The Steet(Regain Remix)は今でもよく聴く曲でお気に入りの一曲です。

この年はリリース数は多くないですけど一曲一曲の質が高くオススメのものばかりでしたここで紹介出来なかったものだと
X-Pander & Sub Zero Project - Hell On Earth,
Digital Punk, Radical Redemption & Crypsis - Blood, Sweat & Tears,
Hard Attakk - Kountdown,
Alpha² - Hostile,
X-Pander - WAR
等オススメです。

2015年はA2 RecordsとしてUnstoppable EPで100個目のリリースを達成し、記念パーティも開催されました。

2015年のリリース数は20です。リリースが100を超え、レーベル主催のギグなどもありレーベルとしての活動もRawstyleの発展期と共に最盛期を迎えていると言ったところでしょうか。

2016年の主なリリース

2016年は今までと比べてリリース数がかなり多いのでところどころ端折りながら紹介していきます。
2016年くらいからRaw Kickも現在のRawstyleに近い硬めのKickが増えてきました。

このX-Pander - Dope Beatはその典型で当時からするとかなり進化したKickを使用していました。

Tartaros - Party StarterもMixなどで聴く機会は滅多に無いですけどずっとお気に入りの曲の一つです。

これもAlpha²のリードとSub Sonikのキックがちょうど良い組み合わせで雰囲気も暗めで良い曲です。

シングル以外だとDigital PunkのEP、Album Sampler01と02がリリースされています。01の方は過去のDigital Punkの曲のRemixで02は新曲のEPになっています。

Album Sampler01の収録曲は3曲全部最高な完成度の高いRemix EPです。

他には

Alpha² - Life Lessons,
E-Force ft.Luna - F*ck This Nation,
X-Pander - The Orwellian Nightmare,
Jack Of Sound - Finish Him(Fatality Anthem 2016),
Alpha² & Villain - Recharged, 
Alpha² - Betrayal(Sub Zero Project Remix),
Alpha² & B-Front - Liberate(E-Force Remix),
Digital Punk - Rest In Hell(Radical Redemption Remix)
等がオススメです。

Alpha²はこの年アルバムもリリースしていて15年から16年にかけての時期は一番忙しかった時期かもしれないです。

2016年はリリース数は40で前年から倍増し過去最高のリリース数になっています。

2017年の主なリリース

2017年くらいからRawstyleにとっても発展期から成熟期への橋渡しの年でキックやリードなどのサウンドやシーン全体の雰囲気が大きく変わってきた感じがします。
また、The Projectの影響でHardstyleシーン全体でPsystyleが流行った年でもありました。

まずはPublic Enemiesから紹介していきます。
Public EnemiesはDigital Punk, Hard Driverからなるデュオで2016にCrank Up The Fuckin' VolumeをA2 Recordsからリリースしてデビュー。

Public Enemiesはこの年にQapital Anthemを担当していてアルバムもリリースしているのでこの年一番熱いコンビでした(Qapital AnthemはQ-Dance Recordsから、アルバムはUnleashed Recordsからリリースのため別記事で紹介予定)

次はRVAGEです。
現在ではScantraxx BLACKの顔の一人である彼もA2 Recordsには2017年にようやくデビューしています。
それまでは同サブレーベル、X-RawでRavageという登録名でリリースをしていました。

2017年は
About To End This / Bad Motherf#cker EP
Purpose Of Life,
Drop The Bomb
Alpha² - From The Rain(RVAGE Remix)
The Rave
の6曲をリリースしました。
リリース時はどれもめちゃくちゃ興奮しました…

続いて紹介するのはEnemy Contactです。
彼もRVAGEと同じ様にX-Raw出身で同年にA2 Recordsデビューを果たしました。
この年は
Knock Knock / Invent Yourself EP
Enemy Contact & Krowdexx - Our World
の3曲のリリースでした。
KrowdexxもX-Rawの出身ですが2017からはGearboxでのリリースがメインになりました。

この次はX-Panderになります。
X-Panderはこの年も前年に引き続き多くの良曲をリリースしています。
Worldwide Catastophe,
Make It Pop,
SOMG,
Street Revolution
の4曲をリリースしています。

次はAlpha²です。
Crypsis & Sasha F - Get Hit(Alpha² Remix),
Now I Know,
Forget The Bullshit,
Alpha² & Unresolved - Living It Up
の4曲でした。
Get Hitは原曲がMinus Is Moreからリリースされているのですが、RemixはA2 Recordsから出るという少し珍しい形ですね。曲の方は原曲の方が名曲過ぎますがRemixの方も原曲の良さを崩さずAlpha²の良さが加わった素晴らしいRemixになっています。
Alpha²はLiving It UpがA2 Recordsからリリースする最後の曲になります。

 最後はE-Forceです。
E-Forceはこの年Album Sampler01~05 EPをリリースしてアルバムも出しています。
アルバム収録外のシングル曲とアルバムから抜粋して曲名を書いていきます。

E-Force & Luna - Kill The Noise
E-Force & Frequencerz - Men Of Steel(Devin Wild Remix),
E-Force & D-Sturb - Cut Your Lungs Out,
E-Force & Sub Zero Project - Here Comes The Boom,
E-Force & RVAGE - Me Against You,
E-Force & Bass Chaserz - Attack,
Warface - FTP(E-Force Remix),
Children Of The Dawn,
E-Force & Luna - Lost World

2017年のリリース数は31でした。E-ForceのEPはEP毎に1カウントなので曲数で言えばかなり多くなると思います。
この年はRawシーンが発展してきたこともあり、X-Rawからの新人であるRVAGEやEnemy Contact, Krowdexxに加えてKronos, Unresolved, Prefix&Densityなど他レーベルのアーティストのリリースも増えた年でした。

2018年の主なリリース

2017年後期からRaw KickがHardstyle界に広く普及し、Raw Kickを使用したHardstyleはRawphoricと呼ばれるように流行になりました。
サブジャンルの境界線みたいなものが曖昧になり、Rawシーンに関してもGated Kickなど実験的なサウンドが増えて完全に成熟期の年になります。

まずはこれ
RVAGE & Level One - Moment Of Truth

めちゃくちゃ好きな曲です。2nd Dropのところのサウンドが重ねられるところが本当に良い味を出しています。Anthem級のクオリティの曲ですね。Level OneはA2 Recordsから初めてのリリースになります。

次に紹介するのは
Enemy Contact - Midnight Conspiracy

これもとても素晴らしい曲ですね。メロディーが壮大でとても好きな曲です!

次はInsanity EPから
Krowdexx - Insanity 

Krowdexxは2018年にアルバムを出しているのですがこの年からサウンドの質が格段に上がっています。
このEPは4曲収録になるので他の曲も興味がある人は聴いてみてください。

最後は
 E-Force & Adaro - Long Hard Summer

Rawstyleでは珍しいReverseBassを使用していて当時新鮮に感じた一曲でした。
この年にQ-BASE 2018 Hanger OST曲も作っているのですがその曲も同じReverse Bassを使用しているので気に入っていたのかもしれません。

2018年のリリース数は23曲でした。ここら辺からかなり個性のある曲も増えて来たなという印象です。

2019年の主なリリース

2019年に入りRaw Kickを使ったHardstyleが一般的になりRawphoricという言葉が死語になり、一つのドロップで複数のKickを使用することが当たり前になり、Xtra Rawなど新たなサブジャンルが大きく発展しRawシーンは成熟期を超えた先、変革期に入ったと言えるでしょう。

Krowdexx - I Am The Lord

1st DropはPsystyleやGated KickなどKickの種類が多いですね。
疾走感があって良いです。

Enemy Contact ft.Last Word - Black

これまた壮大で良い曲です。
個人的にはEnemy Contactの中で一番好きな曲で今もよく聴いています。

E-Force & Luna - Higer Force

メロディが一度聴いたらクセになる曲でドロップも毎回楽しい曲です。
去年PodcastやDefqonなどで頻繁にかかっていたイメージです。

Rebelion & Ncrypta ft.Last Word - Rampage

はい、唐突にGearboxって感じですね。
Xtra Rawの隆盛に従って後に設立されるScantraxx BLACKに向けてGearboxから引き抜く目的だったのでしょうか。
設立当初のA2 Recの雰囲気が微塵もしない破壊力のある曲です。

最後は
Kronos - Heartbeat

Kronosぽい激しいキックとメロディも若干悲しげがあり最後にふさわしい曲ですね。

2019年のリリース数は10曲でした。同年5月いっぱいでの活動終了ということもありリリースは少なめです。

A2 RecordsとRawstyleシーンの変化


冒頭でも書いたように214枚目のリリース、Kronos - Heartbeatを持ってA2 RecordsはScantraxx BLACKが内容を引き継ぐ形で活動を終了しました。
A2 Record活動終了の理由は
・設立者であるAlpha²自身の活動終了
・Rawstyleシーンの変化と当初の目的の達成
の2つになると思われますが2つ目のところについて詳しく書いていこうと思います。

もともとA2 RecordsはRawstyleというサブジャンルが確立していない頃に新たなシーンの発展を目指してAlpha²を中心とする他数名のメンバーと設立されました。

黎明期(2008~2012):
設立当初のメンバーを中心に楽曲をリリースし、暗い雰囲気とより荒々しいキック、攻撃的なスクリーチなどのサウンドが特徴のジャンルを定義し、これまでのHardstyleとは一線を画した印象を与えました。

発展期(2013~2015):
2013年は今も語り継がれるような名曲が多く生み出され、2014年はE-Force - SevenがHardstyle Top100で1位に輝くなど人気も高まり、2015年にはEuphoricなHardstyleを作成していたAtmozfearsや後にRawシーンだけでなくHardstyle界にも大きな影響を与えるSub Zero Projectの参入がシーンを大きく発展させました。

成熟期(2016~2018):
発展期を通して多くのRaw Producerが登場しリリース枚数が最も増加したのもこの時期でした。
2016後半から現在のRawに近いRaw Kickが普及し、2017年にはRawstyleシーンのサウンドが大きく変化しました。2017年から2018年にかけてPsystyleやGated Kickなどの実験的サウンドが多く生み出されるようになり、より新しく個性的なサウンドが必要とされるようになりました。

変革期(2019~):
HardstyleシーンでもRaw KickがHardstyleの従来のキックに取って代わって一般的に使用されるようになった結果、RawとMainstream Hardstyleの境界線が曖昧になり元来のRawstyleの定義は事実上崩壊しました。
その一方でXtra Rawというジャンルが急速に発展し、現代でRawと言えばXtra Rawの事を指すようになりました。
元々のRawstylerはMainstream HardstyleとXtra Rawに二分しているのが現在の傾向であると言えます。

A2 Recordsの素晴らしいところは上記のRawstyleシーンの変化のほとんどを214枚のリリースを持って体感する事が出来、それは正に1シーンを築きあげたということです。
ちょうど変革期に差し掛かるに辺り、Rawstyleというサブジャンルの確立に加え後進の発掘・育成と言ったA2 Recordsにとって当初の目的を完全に達成したことで役目を果たしたと言えるでしょう。

現在に到るまでのRawstyleというジャンルそのものがA2 Recordsの与えた影響そのものと言っても過言では無いはずです。

あとがき

今回は前回の記事で書ききれなかったA2 RecordsとUnleashed Recordsについて書くつもりでしたが、結局A2 Recordsだけで終わってしまいました(しかも前回の倍の量の記事…)
というのも最初は完結にレーベルの紹介だけ書く予定でしたが、あまりにも好きな曲が多くて年毎に曲を紹介するという形をとってしまったことが沼でした…
しかも曲紹介ついでに書いてたシーンの変化に重点を置くようになったことで記述量も増加してしまいました…

Unleashed Recordsについては別途簡潔に書きたいと思います。

今回のRawシーンの変化についての考察についてはあくまでも全て一個人による私見になりますので何卒ご容赦ください。

最後にここまで長い間お付き合いいただきありがとうございました。

Noiz



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