プリン戦法
2024.06.03
朝、自転車に乗ろうとすると、後輪がパンクしていることが分かった。
急ぎ足でバス停に向かった。ゆるやかな坂道は、運動不足なすねの筋肉に効いた。
日差しはもう夏らしさを感じる。でも吹き抜けるビル風はまだ冷たい。いい季節だ。
いい季節ほど、あっという間に過ぎてしまう。
まるでプリンのようだと思った。(唐突)
もう少し食べたい!というところで食べきってしまう。どんなに味わって食べても物足りない。小悪魔的なサイズ感。そしてまた食べたくなる。
このようにして「また⚪︎⚪︎したい」「まだ⚪︎⚪︎していたい」という感情を戦略的に引き出すことを、プリン戦法と呼びたい。
シンデレラが王子様との談笑をそそくさと切り上げるのもプリン戦法だ。「また会いたい」と思わせるのは、ビジネスシーンでも使われる戦法だ。
ダンスでも、長々と踊り続けるより人の集中力が切れないうちに終わらせるのが良いと聞いたことがあるし、実際にそう思う。「まだ観ていたい」と思わせるところであえて終わらせるのだ。満腹にしてしまうと人は飽きる。
継続して勉強に取り組みたい時にも推奨される。キリの良いところまでやるのではなく、時間がきたら切り上げる。「もう少し勉強したい」と思うところで止めておくと、次のとりかかりがスムーズになるそうだ。
これらの戦法に既に名前があるかどうかは知らない。
私の辞書には「プリン戦法」と記述されている。
人を魅了してやまない、たまに勝手に食べられて争いの火種にすらなるプリン。
今夜1つだけ買って帰ろうと思う。