地域IX熱再燃に思うこと

岐阜大垣でJANOG48が開催されています。
もちろんオンライン併催ですがリアルに参加者が集まれるのはJANOG46 那覇以来一年ぶりです。が、今回も私はオンライン参加で、JANOG45でホストを務めて以来、これでもう二年リアルにJANOGerのみなさんとお会いしないことが確定してしまっています。とても寂しく残念。
そのJANOG48で私の20年前の著述を少しだけ取り上げていただきました。驚き、たいへん光栄に思いました。

「あれっていつだったかな?」と検索してみてはじめてあの原稿が20年前だったとわかりました。いくらなんでももうちょっと近い話だと思っていました(笑)。20年も前のことだったのか。
原稿のタイトルは『「地域IX」~今昔物語…そしてこれから』でした。
Software Design 2001年 8月号 通巻196号 に掲載していただきました。
もうぜんぜん経緯が思い出せないのですけれど(笑)、どこかでSD誌に「地域IX関連」の記事をという話になったようでその執筆者として光栄にも私の名が挙がったらしく、当時ほかに地域IXの大家とも呼ぶべき方々がたくさんいらしたにも関わらず私が拙い文を書くことになったように思います。
SD誌のご担当はのちに編集長になられる馮富久さん。あのとき私が良い文を書いていたらもしかすると連載になってもっと地域IXについて多くのひとの知恵を集められて、いまJANOG48でとりあげたような課題になにか貢献できたのかもしれないななどと思ったり、とにかく著述はあまりにも拙く、この20年、機会をくださったり紙面を割いてくださった方々に対して申し訳ない思いを抱えていましたが、今回JANOG48でどんな形であれ少しでもお役に立てたのかと思うと少しだけ報われたような気持ちになりました。

前置きが長くなってしまいました。
JANOG48では総務省委託事業の経過も含めて現在「地域ネットワーク(データ通信基盤)」整備の先端をいく方々の活動が紹介されました。
率直に感心しました。いくつか気づきをいただけたので、メモっておこうと思います。

1. 域内アクセス線の高い費用が、地域分散型トポロジーの最初のハードル
「それなら東京へ直接持って行った方がなにかとC/Pいいじゃない」問題はいまも変わらない

2. 地方では「IX」は点ではなく面にならざるを得ない。だから上記1問題なのですけれどね。

3. 地域ネットワークに期待される機能はIXだけではない
とすると「地域IX」と呼ぶといろいろと誤解を招きそうですね。

4. 箱(データセンター)がないと始まらない。
そしてその箱を「任意団体」が使えることが大事なんだろうと思います。
まあ任意団体でダメだということならNPO法人などちゃんと法人にすればいいのですが…。

5. そんなことよりも「事業の目的」をしっかりと据えることが大事なのです。直面する「困った状況」に対して技術的な解法の調査・検討をしてるだけでは「持続可能な事業」は生み出せないのです。

6. 地方ごとに「事業採算性」は異なる。いくつか地方ネットワークを持続的事業として成功させている方々はおられます。とてもすごい。でもその手法がそのまま利用できるわけではなくて、地方ごとに事業の実装の方法や、ほとんどの場合その「目的」すら各地方で重々再検討しなければなりません。

私の中では「事業目的」がゆるゆると輪郭をはっきりさせつつある気がしています。

【追記】
私が関わった地域ネットワーク「北海道地域ネットワーク協議会」の設立から15年(1993年~2007年)をまとめた文章が、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)のアカデミックユーザー会「CAUA」さまのアーカイブに残っています。


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