相互依存する関係性

先日、日々の執行の一挙手一投足が事業や企業の評価につながっているから、ひとつひとつの行動とその意識付けを大事にしないとね、という話を書きました。

「組織の一員として」行動し、その評価が、正であれ負であれ組織に還元されひいては自分にも組織の構成員ひとりひとりにも返ってくる、という「原理」

「「価値」は日ごろの実践=執行から」より抜粋

まったく別な業界の話を引き合いにしたいと思います。
プロチームスポーツのプレーヤーのことを考えてみましょう。
彼らは厳密に言えば個人事業主です。あるいはどこかプロダクションに雇用されているかもしれませんが、いずれにしても、チームや球団企業とは「雇用」の関係になく「ある種の委託契約」のようなものでしょう。つまりプレーヤーにとってチームとの紐帯は「雇用」よりもずっと「緩い」。
見ている(ファン)側も、彼らが突き詰めて言えば「個人」であってどこのチームに帰属しようとそれは彼のキャリアの問題で、その結果として報酬など彼の評価がある、と知っています。
それでも、やはりひとは「チーム、球団にどれだけ貢献したか」も評価します。
ファンも、球団経営者ももちろんです。それは、プロスポーツはショービジネスですから、「プレー」だけではなくエンターテインメント全体に及びます。ファン感謝祭などのイベントや、ちょっとしたインタビューでのマスコミ対応など。
そのときどきで帰属するチームが変わっても、そのとき帰属しているチーム・球団にそのプレーヤーができる最高の価値を提供してくれる。短期的にはそれがチームや球団に付加価値をもたらし、そうした配慮や献身がプレーヤー自身の付加価値を高めることにつながるものでしょう。しかもこうして生まれた価値は「売上」ではなくて「資産」に相当するものです。
「キャリアの中で、ご自身、もっともよかった試合はどれですか」と問われたら、いろいろな答え方があると思いますが、例えば「まだまだやれると思っていますんで、このあとのプレーオフに期待してください、そこで最高の試合をお見せします」と言ったり、「今シーズン、このチームでの”あの試合”は良かったですね、私の中でも屈指の試合です」と言ってみたり、いま帰属しているチーム・球団の事業に貢献する方法はいくらでもあるものです。
「委託契約」の、いわば部外者ですら、こうです。雇用契約下にある方々にとっては組織そのものの事業状況との一体性はより高いものでしょう。
”計算高い”といえばそうかもしれません。しかし、ビジネスというのはそういうものです。企業(組織)の側も、従事される方々個々人の価値を含め、あらゆる価値が最大化するように、またそれが定着し「資産化」するように最大の関心を向けて労力を払っています。ひとりひとりにとっても職業、生業というのは「ビジネス」でしょう。前述のような気配りを、するかしないか、小さなことかもしれませんが、そういうことが「必然として組織と協調して価値を生む職業に就くものの評価」につながっている、ということを、つねに頭の隅に入れていると良いと思います。

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