電波望遠鏡をつなぐ仕事 (1)
北海道大学のもちものに苫小牧電波望遠鏡というものがあります。
この施設の詳しいことは、ちょっと古めですが北大ご自身が書いたものがあるのでまずはそちらを読んでみてください。
その記載の冒頭に「測地VLBI観測用の素子アンテナの1局」と書かれています。VLBI(超長基線電波干渉法)についてはWikipediaなどを読んでもらえればと思いますが、まあ要するに離れたところで「同じ光(この場合電波ですけれど)」を観測して位相差を見て三点測量の原理で距離を測る、というものだと理解しておけば良いのかな。距離もものすごい正確さでわかると付随していろいろなことがわかるのだそうです。とくにすごいと思ったのは「地球の自転速度の揺らぎがわかるよ」というお話でした。
さて、2006年ころ、私のもとにお話しが来たとき、この望遠鏡はオフラインで、観測データを磁気媒体に現地で記録しそれを北大からクルマで定期的に取りに行っている、そんな運用とお聞きしました。
前述のようにVLBIは三点測量なのでそのグループに加える電波望遠鏡は「離れていれば離れているほど良い」のだそうです。だからこの望遠鏡ももとは三浦にあったものをわざわざ苫小牧まで持ってきた、と仰っていました。
ある程度録りためたデータを北大まで移送してから解析になるので、時差ができますしもし苫小牧のデータで修正や新発見があるとそこまでの解析が「手戻り」しますし、移送にしたって演習林の中なので札幌から見ても決して便利な場所ではありません。冬になったら道央道だっていつ通れなくなるかわからないですし(新千歳空港をよくお使いの方にはおなじみの)。
オンラインにする意義、したいお気持ちはよくわかりました。
「で、データ量はどのくらいですか?」
「2Gbpsですね」
… 2006年当時です。さて、どうしたものか(続)