インドIT人材の話に見る、IT産業と企業経営

IT業界では従事者不足が話題に挙がることが多く、そのために創出できるはずの付加価値が先送りになり機会損失になっていると論じられます。
それほど的を外していない話でしょう。
そこで昨今「インドのIT人材」が注目されていると報道されます。
ここでは「インド」について話題にする意図はなくて、そこから日本のIT産業のありようを考える手がかりを記しておこうと思っています。

引用した報道のサムネイルには日本の人材不足は79万人。一方、インドでは理工系大卒者が毎年150万人なのだそうです。
また、引用した報道では処遇、とくに新卒採用時の条件の違いについても触れられています。
こうした採用企業側の処遇の違いの要因になっている、そもそもの「IT製品・サービス」の取り引き価格、なぜそうした価格で取り引きされているのか、について目を向けたいところです。
また、技術者側が年率10%上昇を当然と考える、処遇に対する「文化・常識」の違いがどこに起因するのか、そうできるのか、できるとすればどうしたらできるのか(できないとしたらなぜできないのか)。
企業をとりまく諸制度・諸制約や就労倫理観の違いを勘案せずに平場で比較するのはあまり有意義だとは思えません。いくらかある要素は、それぞれが一定水準を超えるあたりから「あちらを立てればこちらが立たない」トレードオフになったり、副作用が大きくなってデメリットがメリットを上回る事態を招いたりします。
トレードオフの局面で何を優先するか、そういったところに「文化」が表れるなあと思います。

日本企業ひいては日本社会はインドIT人材に「イノベーション」までも期待している、と報道では言っています。
それほどの数の人材を輩出し、一方イノベーションの余地ならば日本よりも顕著に多いと見受けられるインドで大卒失業率29%というのは何を意味するのでしょう。
考察できる点の多い話です。

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