「自立性」と「チェーン」
越境ECについて、とくに「販売目的で利用する(事業者)側」のことを、「事業は何をどこまで自己で負担すべきなのか」という観点で考えてみたいと思います。
https://wisdom.nec.com/ja/series/tanaka/2024031101/index.html#anc-05
越境ECはもう不可欠な存在になっているかと思います。以前であれば「並行輸入」「個人輸入」などと呼ばれた行為が身近なものになり、企業活動や暮らしの多様性を高めました。
当社も研究開発などで少々珍しい部材の調達には欠かせません。
問題なのは、プラットフォームへの過度の依存です。
引用した記事の「フルホスティングモデル」の普及とどう向き合うべきでしょう。
依存が過度に進むと、「市場(需要)」にとってはプラットフォームに見当たらないものは「存在しない」ものになってしまいます。
供給する側も同様です。とくに「販売」行為は事業の根幹ですがその生殺与奪をプラットフォーム事業者に握られます。プラットフォーム事業者の地元のカントリーリスクもあります。
あくまで「手段の一」として利用しているのであれば良いのですが、便利だから、効率が良いから、と「最適化」していくと「独立した事業」の体を成さなくなってしまうのは明らかです。
また、過剰な手数料の問題もあるでしょう。
これはたいていプラットフォーマーが一定のシェアを得た後、訪れるイベントだと思いますが、各種手数料の設定や値上げが起こります。
あるマッチングサービスでは「35%」の手数料が設定されていると聞きました。
この10年ほど、結局のところIT・ICTがもたらしたイノベーションは「マッチングサービス」だと言ってしまうと身もふたもないのですけれど、マッチングサービスがこれまでと同様イノベーティブで歓迎すべきものと共感されるために、利用料(手数料)の丁寧な説明や適切な設定、運営に対する信頼が求められますし、利用する側も節度ある利用に留意すべきでしょう。
とくに事業責任者は、自立(自律)性の確保を念頭に「分業と依存」の枠組みをつねに適切に保つよう心掛けないと、と思う次第です。