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おならのはなし

女の子は人前でおならなんてしないよ

昔の恋人にそう怒られたことを今でも覚えている。たかがおならと思えたらよかったけれど、あの頃の私は自分を否定されたような気がして、それだけのことにひどく傷ついた。

私は私である前に「女の子」で「日本人」で「人間」であり、そこからはみ出してはいけないのだと、型に押し込まれたような窮屈さを感じた。出るものは出すべきであって、我慢するべきじゃない。そう言われて育てられた、自分の生き方まで否定されたような気がした。

もちろん、家の外ではおならを我慢しているし、身なりや社会人としてのマナーだって、それなりに気をつけているつもりだ。むしろ、実際の自分以上に自分がよく見えるように、精一杯頑張りながら生きている。だからこそ、家の中だけは、素の自分でいられる場所でなければいけないのだ。あの日から、心に誓ったことがある。

おならを我慢しない家庭を築こう。

この世でたったひとり、私のおならを聞く人へ。他人に見せたら醜態だろうが、私は、愛する人とありのままの姿で生きてゆきたい。

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