わたしは押入れの奥の置物
生きていれば辛いことはある
トーストが真っ黒に焦げた
洗濯機の裏に洗濯バサミが落ちていった
しょうもない失敗で昨日も人に迷惑をかけた
そんな小さな不幸が部屋の隅の埃のように
知らぬ間にゆっくりと心の溝に積もっていく
いつの間にか拭い取れないくらいにこびりついて
埃まみれになった心は
押入れの奥で忘れ去られた置物のように
いつしか自分を用無しの役立たずだと
思うようになってゆく
ここに存在すること自体が邪魔に思えて
消えてしまいたいと思うけれど
自分を消すことすら出来なくて
今日も誰かの迷惑になりながら生きる
いつか押入れの外で陽を浴びて
誰かの役に立てる日を夢に見ながら
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