【Dota2世界大会】The International 2023 出場チーム&選手紹介
日本はようやく秋の涼しさが到来した今日この頃ですが、Dotaの世界では今から一番熱いシーズンがやってきます。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
The International 2023、今年の世界最強を決める戦いもいよいよ来週開幕となりました。
さっそくその出場チームを見ていきましょう。
招待チーム
まずはDPCポイント上位12チームをランキング順に紹介します。
Team Liquid
レジェンド級キャリープレイヤーMATUMBAMANの引退を受けてなお、今の方が強いのではという期待感すらある今年のLiquid。
国際大会ではことごとく優勝を逃してきました1年になりました。
しかし当たり前ですが2位になるのも決して簡単なことではありません。
ここまで安定して勝ち上がってきたとも言えます。
しかもDPC西ヨーロッパでは複数回優勝しています。
経歴上はTI優勝経験のあるチームですが、当時とはメンバーが全員異なります。
頂点まではあと一歩なのか、それとも超えられない壁がそこにあるのか。
Gaimin Gladiators
優勝候補。
この4文字で紹介を終えてもいいくらい圧倒的な成績を収めた今年のGG。
しかしこの呪縛に囚われたチームが過去に一度ならず散っていったのも事実です。
TIにマモノはいるのか、今まで幾度も試みられた悪魔の不在証明。
今年の挑戦者は5人のグラディエーターになりました。
Tundra Esports
昨年覇者はメンバー変更なく、…と思いきや、なぜか2番に優勝カップ2個持ちの人がいます。
今年の中盤以降、体調不良により休んでいた4番プレイヤーSaksaが登録メンバーから外れました。
空いた枠に誰を入れるのかと思いきや、TI2度制覇のミッドプレイヤーTopsonをメンバーに加えて元いたミッドのNineがポジション移動。
なんとも不思議なスタンドインですが、この布陣で既に別の大会にも参加しているので準備も話し合いも諸々済んでいるのでしょう。
果たして連覇に向けて強力な助っ人!となるのかどうか。
9Pandas
東ヨーロッパといえば白熊、も今は昔。
今年はパンダが東ヨーロッパトップの成績で招待枠を勝ち取りました。
HellRaisersという名前で活動していた頃から、様々な大会で見かけるもののTIにはあまり縁の無かったチーム。
名前もロゴも一新された今年こそは覚醒の時なのかもしれません。
Evil Geniuses
Kingを擁して2015年のTIを制したことを筆頭に、長らく北米の雄として戦ってきたEGが今年から南米のチームとして転生。
EGが北米を去ったことが衝撃なのか、その引っ越し先に南米を選んだことが衝撃なのか、何が何だかよく分からないくらい衝撃的なニュースでしたが、実績に恥じない活躍を1年目からしっかりと残してTI出場を決めました。
優勝すれば複数地域で戦ってTIを複数回制した初のチームということに。
重なっているメンバーがいない以上、あまり選手側が意識する記録では無いかもしれませんが。
LGD Gaming
絶対的エースAmeが引退した衝撃が個人的にはまだ抜け切っていないのですが、それはともかくこのチームがまたTIに帰ってきました。
PSGとのパートナーシップが終了したため、2018年初頭以来のLGD Gaming名義での活動になりました。
奇しくもその年は圧倒的な優勝候補として大会に乗り込むも、OGにまさかの逆転劇を喰らった年でもあります。
メンバーが全員代わってしまった今となってはただの歴史ですが、そういう意味でも過去の呪縛が解かれる条件は整ったのかもしれません。
Shopify Rebellion
去年までEGとして戦っていたメンバーが中心となって立ち上げた北米のチームです。
そんな彼らが弱いわけはもちろんなく、安定感のある成績で今年もTIのイスをしっかり確保しました。
このチームをTI出場無しと紹介するのも変な話なんですが、じゃあ過去最高何位とするのが適切なのかもよく分かりません。
(EG自体は優勝しているが、当時のメンバーはこのチームに誰もいない)
こういうのを書いていると選手にとってチーム単位での過去の記録はどうでもよくて、気にしてるのは観戦者だけなんだろうなぁとつくづく思います。
ともあれ北米チームの優勝は2015年以来ありません。
久々に会場がシアトルに帰ってきたことですし、ホームチームが旋風を巻き起こすところもぜひ見てみたいところです。
Talon Esports
今年の東南アジアトップ通過はTalonでした。
彼らの他には予選突破したSMGの2チームのみが参加と、この地域としては少し寂しいところですがプレイ人口や熱量は他の国々に引けを取りません。
上記の通りTIでの活躍こそ無いものの大型大会の成績も比較的良く、ダークホース以上の存在と言ってもいいかもしれません。
DPCは来年以降行われないことになりましたが、メジャー枠を3つ貰っていた地域の意地を見せて欲しいですね。
beastcoast
じわじわ拡大を続け、ついに選手の国籍別では2位に上がってきたペルー。
そんなペルー人のみで構成されたbeastcoastが今年も帰ってきました。
ペルーで勤めていた知り合いによると割と真面目な民族性とのことで、実は日本人的に今後のゲーム業界発展のために見習うべき部分もあるんじゃないかな、なんて思ったり。でも日本人ゲーマーって真面目さよりはスター性で売ってる人多いよね
このチームもすっかり常連になりつつありますし、ここからは強豪の仲間入りができるかどうかの戦いかもしれません。
Team Spirit
第10回大会の覇者がこの位置からTI出場です。
上に描いた通りここ数ヶ月の実績は断トツ。去年もTI直前のメジャーを勝ったりして調子が良さそうだったのは気になるところですが、ひょっとしたら2度目の戴冠も視野に入ってきたかもしれません。
ところで優勝カップ持ちのメンバーが一人いなくなっているようですが、…彼は後ほど登場します。
TSM
2021年にTeam Undyingとして発足して以来、北アメリカのトップチームとして活躍し続けているTSMがこのギリギリの位置でTI出場権を確保しました。
上記の通り直近のBetBoom Dochaという大会は8チーム参加という規模感ながらダブルエリミネーションを下から勝ち上がって2位。
最後にGGに敗れたものの、かなりの試合数をこなして自信にも繋がってTI会場へ乗り込めるのではないでしょうか。
BetBoom Team
Bali Majorでは失格騒動があったり、過去にはもうちょっと言いにくい事件があったり、何かと話題の尽きない選手も所属していますが、TIで勝って大団円、となるのがストーリーとしては一番いいのかもしれません。
5番にはまさかのTRONTOTOKYO、かつてSpiritでミッドとしてTIを制したプレイヤーがいます。
もう1年間このメンツで戦ってるんだからいい加減慣れようという話ではあるんですが、やっぱりTI優勝ってインパクト強いんだなぁと、こういうところでも思ったりします。私が東ヨーロッパの試合あんまり見てないのがバレるとか言わない約束
予選突破チーム
各地域1チームが例年のお約束だったんですが、今年は西ヨーロッパと南アメリカから2チーム、その他の地域が1チームずつという形になりました。
Redditなんかを見ててもこの采配は概ね好評だったようです。
西ヨーロッパは文句ないとして、南アメリカはその強さの割りにメジャー枠が少なく割を食っていたようにも思えるので、個人的にも納得感はあるかなという印象。
というわけで6地域それぞれの予選を勝ち抜いた総勢8チームを見ていきましょう。
nouns
北アメリカ予選を制したのは今年は3番手に甘んじることの多かったnounsです。
目の上のたんこぶだったSRとTSMがともにDPCポイントで勝ち抜けたため、順当といえば順当な結果と言えるかもしれません。
実際BO3単位では無敗でアッパーブラケットを勝ち上がって決勝はレジェンドの中のレジェンド、Dendiが率いるB8を3-0で破っての優勝となりました。
5人しか出場していないアメリカ国籍選手の中の3人も擁するこのチームの出来が、ホームの盛り上がりを左右する…でしょうか?
Keyd Stars
ごめん、誰?えー、ただいま不適切な発言があったことをお詫びします。
とは言うものの、「以前から彼らを応援していた」以外の理由でこのチームの南アメリカ予選優勝を当てられた人がいたらぜひ話を聞いてみたいです。
すみませんがぶっちゃけ私から解説できることは何もありません。
最近は強いチームまで予選に回されることが多いだけに、こういうチームが予選を勝ち上がってくるのは新鮮です。
私もこれ書き終えたらTAとの試合くらいはちゃんと予習しておこうと思います。
本当にごめんなさい、では次。
Thunder Awaken
EGが南アメリカに"お引越し"した話は先ほど触れましたが、それに光と影があるとするなら一番影を背負ったのはこのチームでしょう。
主要な選手3名が新生EGに、残った2名もbeastcoastに移籍。
それもこの2枠はそもそもEGがbeastcoastから2人引き抜いたために発生したイスというアニメだったら間違いなくEGが悪役になる非情な巡り合わせ。
結果として昨年TI南アメリカ勢として最高の結果を残したチームが、2023年の開幕から完全な新チームでの始動という状況に。
そんな中で2枠しかないメジャーを勝ち取るのはもちろん容易ではなく、予選2枠目という幸運を拾ってのTI出場になりました。
選手はただ入れ替わるだけなのでアレですが、チーム運営する側は大変だったろうなぁと、勝手に思いを馳せずにはいられません。
でも私は無責任な観戦者だから、そんなことより思うことがあるのです。
こういうチームが上がってくるのっていいよね。
Entity
西ヨーロッパの上位チームという立ち位置ながら今年はイマイチ活躍し切れていない印象でした。
実際2023年の国際大会という括りでまとめるほどの好成績は見当たりません。
それでも予選さえ勝てば出られるのがTI。
本戦9回出場のKurokyや11回出場のPuppeyと言ったレジェンドの中のレジェンドたちを薙ぎ倒して連続出場を決めました。
というか振り返ってみたら去年も予選通過での出場でしたね。
2年連続西ヨーロッパ予選突破ってそれだけでもとんでもない快挙です。
昨年は予選こそ勝ったものの結果としてはそれよりも下位からラストチャンス予選経由で上がってきたSecret、Liquidに押されてしまいました。
今年はラストチャンスはありませんが下位からの勝ち上がりという意味ではこの後紹介するQuestがいます。
こういう宿命めいた組み合わせが結構大会を左右すると思うのは、私だけでしょうか…?
Quest Esports
今年になって一気に頭角を現したという意味では西ヨーロッパではこのチームが筆頭でしょう。
2023年最初のTourでDiv2から昇格するとTour3でメジャー出場権を3位で獲得、初出場のメジャーで4位に入る怒涛の勢いで西ヨーロッパ予選の本命クラスにまで名を上げました。まぁ西ヨーロッパ予選の本命ってどこだよってくらい強いチームがひしめいてるんですが…
もちろんTIは初出場。
まずはメインイベントに残って大観衆の前でプレイしてほしいですね。
…なんて吞気なこと言ってるとこういうチームが大ブレークしたりしがちですが。
Virtus.pro
去年は諸事情で黒いロゴでしたが、今年はおなじみの白熊が帰ってきました。
こちらも他チームの例に漏れずすっかり新チームになってしまって、どうしても時の流れを感じずにはいられません。
そうはいってもやっぱり昔から勝ち続けているチームが勝つというのはやはり王道というかお約束というか、独特の良さがあるもんです。
この過去成績を見るとやはり期待したくなるのは初のトップ4、そしてそうなってくると必然、最終日で戦う彼らの姿ということになるでしょうか。
Azure Ray
こちらももはやDota2界隈ではおなじみになった新チーム詐欺。
2番Somnus、3番chalice、4番fyってもうこれかつてのPSG.LGDやんけっていう。
いやまぁ、あんまり言うといつまでTI8に取り憑かれてるんだって話なんですが、そうはいってもやっぱりあのドラマ性はいつまでも魅力的です。
詳しくはこちらをご覧ください。
中国予選では母体となったXtreme Gamingをアッパーブラケットとグランドファイナルの2回下してのTI出場。
この国の層の厚さを考えれば他のチームが勝ち上がっても全然おかしくはないです。
それでも毎年、なんだかんだ彼らが絡んだチームが最後には予選から出てくるんだから、やっぱり底力があるんだろうなと思わずにはいられません。
Team SMG
チーム紹介もいよいよ20個目。
はたしてここまでどのくらいの方が読んでくれているんでしょうか。
さて、どのチームもメジャーで今一歩勝ち切れず、本命不在な感じもあった東南アジア。
今年の予選を制したのはTeam SMGでした。
Blacklist Internationalを2-0、3-0と5タテしての優勝は、自分たちこそが本命だと主張するには十分な実績と言えるでしょう。
西ヨーロッパを転戦していた時代のあるMidone、東ヨーロッパ出身のnoone、中国チームに所属経験を持つah fuと、最近の東南アジアチーム事情を色濃く反映した見事な多国籍軍になりました。
個人的に結構こういう流れ好きなので、こういうチームがTIで勝つ姿を見せて定着していくといいなぁなんて思ったりしています。
最後に
もう既にけっこうな文字数なんですが、チームだけ紹介して大会に触れないのもどうかと思うので、簡単に今年のTIのスケジュールを確認しましょう。
ざっくりと日程だけ紹介したいので現地時間で書きますが、シアトルと日本の時差がありすぎるために実際にはこの日程+1日だと思ってもそんなに間違いないです。
グループステージ(10/12~15)
Phase1:5チーム×4グループの総当たりで、5位のみが脱落です。
Phase2:各グループの1位2位vs3位4位のBO3一発勝負。勝っても負けてもMain Eventには進めますが、勝った側のみがUpper、負けた側はLower行きという天国と地獄。
メインイベント(10/20~22・27~29)
いつものダブルエリミネーショントーナメント。
今回は急いでいるのでダブルエリミとは?という説明は省略します。
敗者復活付きトーナメント、決勝以外はBO3で決勝はBO5。
まだLiquipediaに時間は出ていませんが、日本時間で10/30、月曜日のお昼頃に決着すると思われます。
…と、言った具合で(駆け足で説明すぎたかもしれませんが皆さんついてきているでしょうか?)、おおよそ3つの週末(とその前後)を使って今年のTIは開催されます。
週末中心に開催するようになったのは去年のいいところだと思ったので、これを続けてくれるのは素直にありがたいですね。
2017年に開催されて以来、実に6年ぶりのTI開催となったシアトル。
そういえばこの頃はまだ中国と欧米が交互に優勝するなんてジンクスもありましたね。
そういう意味でも今年はLGDやAzureに期待している自分がいます。
今やどの記事においても西ヨーロッパ贔屓を隠さない筆者ですが、そこはやはり他地域が強くてこそ、というわがままな観戦者としての側面もあります。
トップ3を西ヨーロッパが独占、というのもそれはそれで楽しみましたが、今年はちょっと別のストーリーが読みたいかもしれません。
というわけでTI2023チーム紹介と、ちょっとだけスケジュール確認でした。
最近Dota記事の頻度落ちてますが、さすがにTIくらいはライトファンでも盛り上がっていきたいですね。
今年はちょっと時差がきついですが、録画も生もいっぱい見るぞ!
それではまた。