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免許合宿day7「仮免試験日、来たる」

7:15
起床。いつもより早く出ないと行けない日のため、布団の中で抵抗することもできない。しぶしぶ起きて朝食に向かう準備をする。機嫌はあまり良くない。

8:40
教習所に着くと、2Fの大きな講義室で待機させられる。すでに10人ほどが部屋にいた。は「試験前最終確認プリント」なるものが置いてあって、私たちはそれをひたすら解いた。ここで落ちるわけには絶対にいかない。延泊料の一万円をとられてたまるものか。

9:10
教官がやってきて、移動を命じられる。私たちは給水機で水を一杯飲んで、それから教習コース内の事務所小屋のような場所へ移動した。中はそこそこ広く、病院の待合室のような雰囲気。みんな教本を見て勉強したり、スマホを見たり、とにかく全員が下を向いている。空気がどんよりと重い。

9:15
とうとう教官が最初の生徒を呼びに来た。ここで試験のシステムが明らかになる。まず助手席には教官、運転席には試験を受ける生徒。そして後部座席には、次に試験を受ける生徒が座る。つまり自分がテストを受ける前にまず前の人の運転を見てコースを確認できるという、やさしさ設計になっているのだ。何と良いシステムか。ただ一つ欠点もあって、最初に試験を受ける生徒は誰の運転を見ることもできない。幸運にも自分には関係なかったが、最初の人は可哀想だった。

10:45
Kenが先に呼ばれた。Kenはここでどうしても合格しないといけない理由があった。というのも免許合宿が終わる予定の次の日から、ハンドボールの合宿に行かなくてはならないらしいのだ。そのためには一日たりとも遅れることは許されない。背負っているものが私とは違いすぎる。行ってらっしゃい。

11:15
いよいよ私も呼ばれた。まずは一つ前の人の運転を見るところから。後部座席に乗り込むと、運転席に座っているのは喪服姉妹の片割れだった。ここでは便宜上、喪服姉妹Aと名付けることにする。私は喪服姉妹Aが運転するのに合わせてエアハンドルを回し、動作の最終確認をする。彼女が一度安全確認を忘れるミスをしたところも、バッチリ分かった。そうして車は元の地点に戻ってきた。いよいよ私の番である。よし、あとはやるだけだ。私は勇気を振り絞って、後部座席のドアを開けた……

11:30
「ガンッ!」聞こえたのはそんな音だった。恐る恐る音のした方を見ると、勢いよく開けたドアがポールに当たっていた。「あっ」間抜けな声を出してしまう。教官と喪服姉妹Aがこちらを見て固まっていた。

11:31
とりあえず示談は620万円で成立し、冗談はさておいて私の試験が始まった。ゆっくりと動き出し、注意を怠ることなく進んでいく。S字、クランクでもミスはない。そして最後の信号を直進して、最初の地点へ停車。完璧だ。よかった。本当によかった。

11:45
教官が「ちょっと待ってて」と言って車の外に出ていった。その間、車の中は運転席の私と後部座席の喪服姉妹Aだけ。ちょっぴり気まずかったので、勇気を振り絞って話しかけてみることにした。後ろを向いて「お疲れさまです」と言うと、一瞬の間を置いて「お疲れさま。どうだった?」と返ってきた。お互い厳しい試験を乗り越えた者同士であるという仲間意識もあって、意外とすんなり話せた。せっかくなので彼女に「後ろから見ててミスとかあった?」と聞いてみると「眠くて見てなかった笑」と言われた。それから「私はヨユー☆」と笑顔で言われた。

13:10
お昼休憩を挟んで学科試験。マークシート方式で、まるで共通テストみたいだった。でも実際は○×クイズ。我々は受験のノウハウをフルに活かした勉強をしてきていたおかげで、難なく解くことができた。解答用紙回収の際にこっそりKenと解答を見比べ、違っていないことが分かった。すべて回収し終わると、集合の時間を指定されて解散になった。

14:10
再び同じ部屋に集められた。そして重苦しい空気の中、教官が口を開く。「全員、合格でした」っしゃああああああああああ!!

17:30
宿舎に帰った頃には二人そろってヘトヘトになっていた。というのも、試験の直後に教習を二時間もやらされたからだ。こんな予定でいいわけがない。でも従うしかなかった。202号室に着いて、すぐにベッドへ飛び込んだ。ふかふか。

23:50
それからはダラダラと過ごした。束の間の休み。これからのことを考えると、ちゃんと休めるのは今日が最後かもしれない。ようやく折り返し地点だ。あと半分、頑張ろう。消灯。

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