ゼツ 楽曲解説
はじめに
前回のnoteでRASCAL CLANにハマった理由を書いたわけですが、そこでゼツの楽曲解説をすると宣言したので記事にしました。
もし、よろしければ上記の記事も読んでくださいませ。
今回の記事については、忙しい人は大サビとまとめの項目だけ読んでいただければ。
ゼツのテーマとはなにか?
端的に言うと、私のこのポストの内容になります。
https://twitter.com/noi_thepatti/status/1772475561605988544
(⚠ツイートの埋め込みが出来ないのでまたパソコンから編集します)
ここから先はAメロ、Bメロとパート分けしながら解説します。
1番Aメロ
これだけ読んでピンとくる方っているんでしょうか?
Aメロの歌詞が長いのと、リズムに合わせるためにどうしても文章の途中で区切らざるを得ない、かつ主語がどんどん変わっていく、そういう構造になってますのでこのままだと少し分かりづらいと思います。
なのでちょっとAメロも分解して読み解いてみましょう。
絡まって〜の部分、こっからここまで〜の部分、宣戦布告を告げられて〜の部分
この3パートに分けるとわかりやすくなります。
そして、Aメロのテーマやガイドラインとして念頭に置いてほしいのが「自分にとってうまくいかないものに対する(信念を貫いた)答え」です。
このあとのBメロやサビにも通ずるテーマなんですが、楽曲を通して「うまくいかない」と歌詞の主人公が思うものに対する克服法や答えが描かれています。
そしてそれはもっと言うとなにか、「人生の戦い」のなかで起こることです。
"絡まってこんな拗れた関係"というワードは、歌詞の主人公となにかとの関係、ということになりますが、ここは分かりやすく人間関係として捉えていいでしょう。
歌詞の主人公と仕事、歌詞の主人公と趣味でもいいですが、一番拗れやすいのは人間関係ですから。
(とは言え、みなさんの好きなものに当てはめてみるのがいいでしょう。私が言うのは、あくまでも次の解説に進むための仮設定ですから。)
拗れた人間関係に待ったなんて出来ないというとこが最初の主張です。
そこからまた違う主張(最初の主張の延長線上にあるもの)に飛びます。
少し分かりやすくするために文章の区切りを変えてみました。
ここで注目してほしいのが"Identity"と"Originality"というワードです。
歌詞の主人公のIdentityとOriginality(頂点にあるもの)はどこから作られたものなのか、というものが細かくピラミッド上になって表現されている、というようなイメージを持つと分かりやすくなります。
物事や人生、経験というものはすべて地続きであり、よく目を凝らすと明確な線引きというものはないからこそ、明確な答えもない。
となると、最終的に自分の勘を頼るしかない。
自分の勘に頼ってその時々の勝負に勝った結果、それが自分の信念になる。
そうした観念的なものが全部混ざって、事実として見たどんな出来事もあれこれ混ざってIdentity(独自性)になり、Identityの相乗効果でOriginality(独創性)になる。
歌い出しの人間関係に揉まれに揉まれた結果、IdentityもOriginalityも生まれるものとしてみてもいいと思います。
歌詞の主人公大ピンチ!
拗れた人間関係があるのに、宣戦布告もされました!
思わぬ宣戦布告に、IdentityもOriginalityも自分が信じたものさえ、バラバラになって迷うフェーズに入りました。
(拗れた人間関係にいる誰かからの宣戦布告なのか、はたまた、自分の進路を邪魔する社会からの宣戦布告なのか、宣戦布告をしてきた相手はみなさんの自由に解釈してみてください。
私は最初に人間関係と言ったので、拗れた人間関係の誰か、で通します。)
しかし、ピンチの主人公、完全武装の凝り固まった思考回路が自分自身にあることに気付きました。
自分が積み上げたIdentityやOriginalityさえ、自分を凝り固まらせる思考回路、枠組みにさえなりますから。
そんなもの解除したら、もっと速く高く飛べる、と自身を解放できることにも気付きました。
個人的に良いなと思うのが、ここのメッセージって陳腐な表現をすれば「常識に縛られるな、解放しろ」と言い換えられるんですが、そんなありきたりなメッセージ誰の心にも響かないですよね。
凝り固まった思考回路(常識)から解放されるとどうなるか。
もっと速く高く飛べるんだぜ!という結末まで提示してて、心にグッとくるのが良いなと思います。
Aメロ振付豆知識&楽しみポイント
振付師のyoko yagiさんのポストによると、Aメロでエアギター選手権をしてるそうです。
https://x.com/yk0816yg/status/1556113184943091712?t=6Gz4Khk_FOgkPnkbjp3u8A&s=19
みんなも混ざってエアギター選手権の優勝を目指しましょう!楽しいぞ!
あと、最初の振付でメンバーが後ろを振り向いてる時に、オタクも振りコピするのでフロア側に振り向くんですが、その時にオタクに向かって手をブンブン振るとオタクの照れくさそうな笑顔が堪能できて楽しいです。
1番Bメロ
拗れた人間関係に揉まれ、宣戦布告され、自分の勘を頼って勝って、時には負け、そうした戦いをずっと続けてると疲弊もしますよね。
覚めない夢の中で走り続けてるみたい、と人生や戦いの終わりが来ないからこそ疲弊して、打ちのめされそうになる。
もはや、終わりがないことこそが絶望なんです。
絶望を突きつけられと、自分の信念や希望はブレますから疑問に思います。
自分がやってるこの終わりのない戦いは、誰のためにやってるのか?自分のため?大切な人のため?みんなのため?
人生が、戦いがもっと割り切れるものなら悩むことも迷うこともブレることもないでしょう。
そしてその答えは?
サビに続く!
1番サビ
今やってる激闘も、まだ結末は来ない。勝ち負けもまだ分からない。
終わりが来ないからこそ、どこまで戦えば分からない。
ただ、終わりが来ないからこそ、どこまでも戦える。誰にも最後まで見えないからこそ、なんでもやれる。
そんなMotivationがCreation(創り出す)ことに繋がる。自分が物語を紡げる。
そのひたむきに前向きな姿勢だけが、結果じゃない過程が、希望だと。
歌詞の主人公が絶望とみなしてたものさえ、希望になる。世界は覆せる。すべてをひっくり返す逆転劇になる。前を向いて進む限り、それはずっと希望であり続ける。
これほど力強いメッセージはないと思います。
サビ前の歌詞にある誰のための戦いなのか、そんなもの割り切れない曖昧な答えならば、言い切ることもできないでしょう。
それでいいんです。
誰かのためと言ったならば、その誰かの夢や希望を達成したらもうそこで物語は終わっちゃうから、そして人生を生きるのに、戦うのに、そんな理由はちっぽけです。
そんなものさえ超越するのが、この前だけを見て進む、戦う姿勢なんです。
サビ振付豆知識&楽しみポイント
メンバーいわく、振付師がこの曲はみんなで振りコピして楽しめるよう、一曲通してキャッチーで覚えやすい振付になってるそうです。
サビの振付は画像で分かる通り、メインがポージングになってます。
めっちゃダサくないですか?
これ、なんでこんなダサいのかっていうのは歌詞から読み解けるんですよ。
凝り固まった思考回路(常識)があるとして、みんながかっこいいと思うものをやるのって簡単ですよね?
自分のIdentityやOriginalityって他人と完全一致するわけもないし、みんながみんなかっこいいと思うわけもない。
自分のスタイルを貫くという意味でこの振付なんですよ。
他人からダサいと思われようとも、自分が信じたもの、かっこいいと思うものを貫く、そうした前向きな姿勢がこのポーズに表れてるんですよ。
だから、ダサくて大正解!
自分が貫いたものなら、それは結果的にかっこよくなるんです。
なにかを極めようとした人は極めるまでは他人になんやかんや言われるでしょう。
しかし、極めたとき、それは誰の目から見ても「自分には到達できない!」と感動させるものになります。
2番Cメロ
戦いは既に始まってる。
まだ終わってない人生は続くし、戦いのなかには嘘という妨害もある。焦っても時間は止まらない。
その渦中に放り込まれた、自分という存在とそれを取り巻く戦いが端的に描かれてます。
2番A'メロ
戦うのも自分。そこで打ちのめされそうになるのも自分。
分かったつもりで近寄られても、歌詞の主人公からすれば、他人には背負えない自分の人生に口出しされてもなんの慰めにもならないでしょう。
それでも自分のやれること一つ一つ積み重ねれば、それこそが自分という存在を裏付ける経験となり、知恵となり、大きな土台になり得る。
それこそが自分自身を巡り巡るものになる。
2番Bメロ
自分の夢や希望、どれだけ戦っても走り続けても、これといった成果や達成感がなければ、そこに近付いてる実感もない。
結末なんて分かるはずもないけど、いや、だからこそ前へいく。
ここでも歌詞の主人公はド前向きです。
それしか道がないからです。結局、自分のやれることがそれだけだからなんです。
2番サビ
何度も打ちのめされそうになる瞬間、そんな絶望的な状況でも泣くのではなく笑い合う。
そんなEmotionがCreation(創り出す)に繋がる。この物語の続きを紡ぎ出せる。
「笑い合う」ですから、自分ひとりで笑ってたらこの表現にはなりません。
歌詞の主人公の仲間かもしれない。
この曲を聴くあなたかもしれない。
この曲を歌うメンバーかもしれない。
自分と君がいて、やっと笑い合える。
笑い合いたいと思う誰かがいる。
そこに注目して聴いてほしいです。
大サビ
前だけ見て走り続けて戦ってきたのも、希望という名の光があったから。
見失えば、立ち上がることも走り続けることもできない。
注目してほしいのは、悩んでも壁にぶちあたっても前だけ見続けた歌詞の主人公のさりげない繊細な本音がここに隠されてることです。
他人には歩めない自分の人生を夢を戦いをやり続けて、たどり着いて確かに立った、そんな自分の存在に気づいてほしい、ということです。
この曲が存在する意味と言っても過言ではありません。
夢を追いかけるのも、その夢があるからと言えますが、そこで他人にも同じ夢を見てほしいのではなく、他人に見てほしいものは、そんな夢を追いかける歌詞の主人公(自分)なんです。
自分の存在に気づいてほしいから、認めてほしいから、人は夢を追うんです。
人生をやるとき、誰もが人生の過程にいるから結末なんて誰にも見えない。
だからこそ、前を向ける、進める。
まとめ
この曲のタイトルがカタカナなのは冒頭の私のポストの
「絶」と「熱」これはどちらも音読みで「ゼツ」と読む
というところからきてるでしょう。
「絶」でも「熱」というどちらか片方のタイトルだけにしたら、これだけ奥深い意味を曲名に込められないですから。
不可能性とまだ見えない結論を"絶つ"、前にだけ進む"熱"
結末が見えないからこそ、終わりがこないからこそ、そこに希望がある。前だけ向いてひたすら進める。
たとえ、失敗したとしても、人生はまだ終わっちゃいない。何度でも立ち上がって進めば、それは真の意味での負けにすらならない。
だから前を向こう。進もう。
伝えたいことは大サビの最後の二行
なんですよね。
これをRASCAL CLANのメンバーが歌ってるのが一番心に響くんですよ。
君の存在に気付けたぜ!
p.s.
サビ最後のこの振付好き。
"誰にも最後まで見えない"ってとこ
それまでは最後まで見れへんからこのまま突き進んで人生の一等賞とるぜ〜〜〜〜ばりの指一本突き出した拳をかかげてたけど(次のパートが続くから)
でも最後のサビは指を振るんですよ。
最後まで見えまへんで〜って。