ガンプラ品薄(転売)狂騒曲の終わりの始まり
コロナを発端に始まったガンプラの品薄転売の時代、私個人の考えとしては終わりが見えてきたかなと思っています。といっても数か月で終わるというわけでもなく、あと1~2年以内かなって感じています。
水星の魔女シリーズに関してはもう一昔前のような状態で、一部キットを除けばいつでもどこでも手に入る状態です。あれが本来の姿ですからね。あれを「余ってる人気ない」ってのは過去を知らない人の発言です。またSEED熱が再燃している昨今ですが、一部の旧キットに関してはさすがに我々のような古参は「出来が悪い」ことを理解していますし、そもそも過去に散々作っているわけですからもうスルー上等です。今更あれをレビューして公開しているのを見るとちょっと微妙な気持ちになります。同じ思いの人いるんじゃないかな。新作がとことん少なくなったここ数年、再販の旧キットを買わざるを得ないというのもわかりますが、そこにどう反応するかでファン歴の長さがわかります。そして歴の短い人もそろそろ気づき始めているんだと感じます。
おそらく声を上げない人ほど現在の状況を理解して傍観できていると思っています。ツイッターで毎度のように「手に入らねぇよ」だの「転売何とかしろ」と言っている人の気持ちもわからないでもないですが、そんなに焦らなくていいのは我々は知っているんです。再販の望めないメタルビルドとかと違い、ガンプラはよっぽどのことがない限りは再販されます。そしてそのうち店頭に溢れます。この光景を昔散々見ているんです。稀にガンダムベースで一部キットが限定で販売されることに対し「贔屓だ」だの「全国展開しろ」という人がいますが、それも私からすればにわかがバンダイと転売屋に対してヘイトを向けたいだけのガス抜き発言です。
そもそもガンダムベースでの再販しているキットがどれだけ人気があるか理解している人の方が少ないでしょう。今までのラインナップ見てもらうとわかりますが、一般流通した際にそこまで大ヒットした品ではないんです。それが今の品薄の時代に限定で販売されたから勘違いしている人が多いだけなんです。当然転売を目的とした人は買うでしょうが、これに対しても古参は「なんだあのキットか」くらいでスルーを決め込めます。日常的にキットが店頭に並んでいないことの弊害だとは思いますが、やはり全体的に目の色が変わりすぎなんです。ガンダムベースのことに関して言えば、自分がその地域に住んでいるから言うわけではなく欲しけりゃ交通費かけてでも行けなんです。そうでなければ、もしかしたらまた一般流通になるかもしれないので、その日を待てなんです。全てのキットが手に入るわきゃないんですから。
ただ、どういった商品を見ても徐々にフリマサイトへの出品数は減っているように感じます。自身もメルカリはよく見ますが、確実にここ1年で出品は減ったし、何より購入する人も減ったと感じます。ある程度売れ残ったものしか見えていない部分もありますが、それでももうありえない値付けのものだけが羅列してある状態が目につきます。消費者が賢くなったということが最たる理由だと思いますが、今のバンダイの商品提供スパンが短くなったからというのも大きいでしょう。それこそシードフリーダム関係は相当なペースで生産していますから、近い将来水星の魔女と同じような状況になることでしょう。新製品の供給が落ち着けば再生産品にラインを回せます。そうするまでもう少しじゃないでしょうか。この先新シリーズが出ればまた話は変わりますが、水星や種自由ほどの社会現象になるとはちょっと思えません。復讐のレクイエムに関してはちょっと作風がニッチなので大騒ぎにはならないでしょう。ガンダムってそのくらいのヒットレベルでちょうどいいと思っています。直近の2作品が異常だっただけです。この後ハサウェイの展開が控えているでしょうが、そこは宇宙世紀シリーズ、達観した我々のようなファンが多いです。そこらへんがこの狂騒曲の終焉ではないでしょうか。
私が考えるに、転売にはいくつか種類があると思います。たぶん以下のいずれかに当てはまります。
1.小遣い稼ぎ程度でちょっと手の出しやすいところを買って回すタイプ
2.自分が好きでとりあえず買ったところ、結果付加価値が付いたので手放すタイプ
3.転売しないともう生活が立ち行かないのでなんにでも手を出すタイプ
ぶっちゃけ、私も過去に2のタイプでメルカリに出品したことはあります。3つの中では最も罪が軽いようにも見えますが、外野から見てそこに差はないでしょう。私も同じ考えです、もうやってません。
なぜここまで転売が目の敵にされるかという本質を見ていない人が多いと思いますので、はっきりと申し上げます。前述した通り「日本が貧乏だから」です。すべての人間ではないと思いますが、これが社会問題とまでなるほど毎日どこかで言われているということは、かなりの層もう転売というものを日常的に悪意なく行っているのだと思います。
そもそも商品を買うのに資格なんていりません。誰が何を買っても自由です。法律で自由にやってヨシとうたわれています。売ること自体も特定の商品の販売資格がなければ商売をするのは自由です。フリマアプリにしてもそういった有資格のもの以外であれば基本なんだって出せます。転売のニュースが出るたびに「アプリの出品規制を厳しくしろ」というのはお門違いなんです。
確かに腹も立つことでしょう。それが自分が欲しかったものなら尚更です。ですが、物を買うのに並んでいる人が「私は転売目的です」なんてプラカード掲げて買うわきゃありません。誰かもわからないその人をあなたに止める権利はありません。また「販売制限をかける」などと言っているのを目にすることもありますが、それは販路を制限しすぎてしまうのではと私は思います。それこそどうやって善意と悪意を見分けるのでしょう。先日の件であればどうやってマックのハッピーセットの販売を限定するのでしょう。子供が二人いて二人分を親が買いに来たのを「転売ですね」と判断するのってどうやるんです? 身なりですか、面構えですか、言葉遣いですか、証明書でも出しますか。正直なところ対策って無理なんだと思います。一番効果的なのは今であれば「メルカリ他フリマアプリを軒並みをつぶす」でしょうけど。
今でこそオールジャンルで行わている転売ですが、一昔前だと転売ってある特定のジャンルでのみ行われていたと私は考えます。自分が好きなジャンルだったから余計に過敏だったのかもしれません。それは「フィギュア」です。生産数が限られるフィギュアは一度買い逃すと二度と手に入らないものが多く、転売するにはうってつけでした。しかし今はそれも影を潜めました。生産体制が変わったり値段が上がったりと色々な要素はありますが、私が考えるに一番の原因は「転売する側の資金力がなくなった」だと思います。なんでガンプラが転売のターゲットになったかと言えば、最大の理由は値段でしょう。ある程度買いやすく、そして売れやすい。薄利多売になりますが、それが一番身近で可能だった商材だったからでしょう。結局のところ買う側が貧乏になってガンプラくらいしか手を出せないという現実が最大の理由であり、そしてこの転売社会を作り出した原因だと思います。上の3パターンで言うと「3」の人が必死なんです。
転売を行う人は「現代社会の犠牲者」です。世の中が満たされていてお金に困るような社会でなければ転売なんて起きません。メルカリだって本当にフリーマーケットとしての役割を果たしていたことでしょう。だから必死になって再販情報をあさり、休みの日だかなんだか知りませんけど、朝からショップに並んで人気の出そうな商品を手あたり次第買う。買っている人を見て転売かどうか判断できないと前述しましたが、見てれば分かります。目の色が違うし情けない顔してるんです。言い方は悪いですけど「底辺」だと思います。ただそんな人も犠牲者であっておそらく生きるのに必死なんでしょう。だからといって転売を肯定はしません。最終的に悪いのは今の日本社会です。ただその日本を作り出したのも我々です。願わくば早く転売がなくなるような日本になる、日本にすることを切に願います。それには私たちの視点が一番大切だということも理解しましょう。