函館フォーエバー

お値段つくんですね、夜景って。100万ドルもするんですか。なぜ、値段で美しさを表現するのか疑問に思う。よく一つ一つの光が人々の命の輝きに例えられる、だとしたら函館の夜景はそこに住む温かい人の輝き、100万ドルにふさわしいだろう。
私は2回、YOSAKOIソーラン祭り道南支部大会に参加したことがある。
2018年夏、午前1時。約300キロ、恐怖の旅が始まった。今も昔もいちばん怖かった大人の運転で5時間。怖すぎて寝ることが出来なかった。わざわざ恐怖を抱きながら、遠い函館の地で運営していたのだから私は本当に運営が好きだったのだろう。函館の思い出はたくさんあるけど、この運転が1番思い出に残っている。
そして6年後、夏も終わり今度は踊り子で函館に向かうことになった。
以前は函館駅前で行われていたが、今回は新函館北斗駅での開催。20周年を迎えたとのことで、YOSAKOIソーランを道南にも受け入れてもらおうと奮起した地元の方々の熱意がずっとずっと燃え盛っている、そう感じた。
道南大会には、道南のチームはもちろんのことなぜかかなり遠方のチームも多数参加している。それほど、この函館という魅力的な土地柄、祭りの温かさに惹かれているのだろうと思う。もちろん、どの地方演舞でも人の温かさは変わらない。地元チームだけでなく、北海道全体で道南を盛り上げよう、そんな思いに応えてくれる観客の温かさが道南大会の魅力だ。
今回の地方演舞で一番嬉しかったのは、個人賞を頂けたことだ。「この人輝いてたね」という人に贈られる賞だそうで、運営しているときは受賞者をその場で選んで渡しに行っていた。1チーム4人ほど選ばれるのだが、まだまだ未熟すぎる私には程遠い賞であることは明白だった。正直今でも誰かと間違えたのではないだろうかと疑心暗鬼だが、間違えられたとしても嬉しい。なにより、渡す側から渡される側に立場が変わったことに時の流れを身に感じた。
函館には「いか踊り」という、イカの気持ちになりもはやイカになる踊りが存在する。今回は演舞の中にいか踊りを組み込み、みんなでイカになった。一回イカになってしまうと、人間に戻り難かったが現実は厳しいのでなんとか人間に戻り帰路についた。
函館の魅力をここで全て語るには、筆舌に尽くしがたいのでまた書きたい。書くためにもう一度、とは言わず何度も訪れたい、そう思わずにはいられない経験だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?