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野村幻雪先生との出会い

さて、能楽師になる!と決意したのは良いものの、田舎の一大学生に過ぎない私がどうしたら能楽師になれるのか全く判りません。大学や市の図書館にある能楽関連の本を片っ端から読み漁り、また、当時教育実習をしていた母校の高校の先生に相談してみたところ、何と、私の生涯の師と仰ぐべき人間国宝 故•野村幻雪先生(本名野村四郎先生)をご紹介いただきました。


令和3年に鬼籍に入られた野村先生は言わずと知れた観世流の職分にして重鎮であり、その頃東京藝術大学の教授を務めておられ、お許しをいただき直接東京藝術大学にご挨拶に参上しました。
野村先生のプロフィールは事前に確認していたので、きっと威厳に満ち溢れた方なのだろうとガチガチに緊張しておりましたがその時の実際の野村先生は柔和でとても気さくな印象でした。
そして、能楽師になりたい事、しかし何も知らないことを正直に申し上げたところ、それならばという事で翌月より野村先生のもとでまずアマチュア弟子として謡の稽古を始めることになりました。


この記事を読んでいらっしゃる方は既にご存知かもしれませんが、能の役者は大きく2つに分かれます。すなわち、主役を務めるシテ方とその他の三役と呼ばれる役、ワキ方•噺子方•狂言方です。これらは完全な分業制であり、他の役方を兼務することはありません。


私は当初三役のうちの囃子方(笛、小鼓、大鼓、太鼓)の中の笛方になりたいと思っておりましたので、謡の稽古は必要ないのではと考えていたのですが…能の全ての基礎は謡 うたい (能の声楽部分)にあるので誰であれ必ず謡を勉強しなければならないのだよと野村先生は優しく教えて下さいました。今振り返ると寒気のする思いです…無知とは恐ろしいものです…笑
野村先生の仰せの通り、檜書店刊行の鶴亀の謡本(能の声楽部分を本にしたもの。楽譜のようなものです)を購入しました。


こうして私の能のお稽古が始まり、能楽人生の第一歩を踏み出すこととなったのです。


         つづく

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お稽古場(観世流謡曲•仕舞)
文京区

🌸千駄木能舞台
🌸しのばずふれあい館
🌸根津交流館
正座が苦手な方も、お椅子のご用意があるので安心です

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