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幽霊

今年も桜が散りました。
僕の周りは僕がそう感じるだけなのか、どうにも桜の花びらを追う人が多く、母方の親族、残る最後のひとりも今月、散る花を追い旅立ちました。
血縁は 叔母甥よりも更に薄く、ほとんど会う事もなかったのですが、この「通称おばちゃん」には身寄りがまるでないので、数年前に身体を壊した時以来、僕が看取りまでを引き受ける事となっていました。
父方の親族は遠方でもあり交流は完全に途絶えているので、これで親族と呼べる人は誰もいなくなり、僕の任務も完了した事になります。

葬儀にあたり、生前 おばと約束していた事を やむなく違えねばならず、
遺骨を仏壇の前に置き線香をあげながら「オバちゃん、異議申し立てがあったら今夜夢でも幽霊でもいいから出てきて言ってくれ、明日はもう納骨だよ」と言いました。
言った手前、少しドキドキしながら眠ったのですが、異議申し立てはなく、ぐっすりと眠りました。
が、しかし… 墓地に埋葬したその晩の事です。
何十年ぶりかでわたし、金縛りにあいました。
ようやく動けるようになり思わず「おばちゃん、そりゃねーらぁ」と…(笑)

中学生の終わり頃、初めて経験した金縛りは恐ろしくて冷や汗ものでした。
周りの物は見えるのに身体はピクリとも動かず、無理に動こうとすると凄まじく苦しくなる。それは22、3歳くらいまで頻繁に続きました。
そしてその頃、よく幽霊らしきものを見たのです。
幽霊の存在は頭では否定しますが、なぜか心では肯定します。
なので、信じているのか信じていないのか、自分にもよくわかりません。

人家のまるで無い山中で見た結婚式らしきものや、突然現れた荷馬車と人のようなものは、いずれも夜中であり疲れや眠気からくる幻覚、錯覚かと…。
そのようなものは幾つも見たのですが、一つだけ本物ではないかと思えるものがあります。
それは、バイクで 4日ほどのソロツーリングに出かけようやく家の近くまで帰ってきた時の事…。
広い道路の中央分離帯に、小さな女の子が座り込みこちらを にこにこと笑いながら見ていたのです。
時刻は真夜中、今にも手を振りそうなその女の子は、スポットライトに照らされたように、はっきりと見えました。
走り過ぎながらも、女の子を見つめる私…。
振り返りはしませんでした。
不思議と恐怖心は湧かぬまま思考が止まり、むしろその子が、愛おしくすら
思えました。
数日ののち同じ場所を通ると花束がたくさん置いてあり、そしてそこに掲げてあった書き物を読み、すべてを理解しました。

ドラマなどでも幽霊と言えばたいがい恐ろしい姿なのですが、あれはきっと、生きている人の疾しい心が、そう見せるのでしょうね(^^)
あれあれ、信じてないのに私、幽霊の味方してますね(笑)

今年も桜が散りました。
愛した人の幽霊が生前の姿で現れるなら、いつでも welcome♪ なんだけど… 
やはり、幽霊は いないんでしょうね(笑)

ひとつ思い出しました。
むかし、誰もいない山奥の峠でソロキャンプをしていた時、無言のおじいさんが現れ 光の玉になって消えました。 今でも背筋が凍ります。
でも、夢だったのかもしれない😊


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