その後の経過、次の発症。
母が入院した。
その間は祖母が家事をしてくれていた。
私はその時、母がいなくて寂しいとかはなかったと思う。
母がいなくて、正直、少し気が楽だったかもしれない。
悲しそうな母と苛立つ父を見ている方が、よっぽどしんどかった。
2週間後、退院。
帰ってきた母は、いつもの母に戻っていた。
入院が魔法のようだった。
7歳からすれば、母の病気が治ったというより、
いつもの母に戻ったという感覚だったと思う。
本来の母に戻ってよかった。
でも、いつもの母は、永遠には続かなかった。
それから2年、
私が9歳、小3の秋口だったと思う。
父の仕事の知り合いなのか、遠い親戚なのか、私はよく知らなかったのだけど、どこかの知り合いのお祖母さんが亡くなったらしく、母がお葬式に行くことになっていた。
私が知らない人だから、近所や近い親戚でもないし、特に喪服を着て行ったわけでもないので、そこまで近しく親しい人でもなかったと思う。
母は、家族の代表として、お付き合いとして参列したという感じだった。
母が、そのお祖母さんと特別親しかったわけではなかったと認識している。
お葬式は午後からだった。
お葬式が終わって、母が一旦帰宅したのかは忘れた。
そして、夕方、夕飯時、午後17時頃だろうか。
母が帰って来ない。
どこ行った??
慌て出す父。
そして何かを察したように、
苛立って情けなそうに「またか…」と言って、
母を探しに出たと思う。
祖母や祖父も、近所を探しに行った。
兄と私は家で待機。
母方の親戚も呼んで、探したと思う。叔父たちが来ていた記憶がある。
実は母の実家が徒歩20分くらいにあって、そこに母の親戚もいるので、父が連絡したのだろう。
或いは、そちらに行ってないか確認の電話をしたのだと思う。
そして、この時の私の心情はどうだっただろうと振り返ってみるけど、あまり印象になく、そんなに心配していなかった記憶がある。
なんだろう、母親が突然いなくなったとか、子供からしたら、けっこうな出来事なはずなのに。
でもやはり多少の心配くらいはあったとは思う。
でも、どこか楽観的で、子供だからか、そうはいうても見つかるだろうとか、なんとなく大丈夫そうに思っていた気がする。
なんだろう、この楽観さは?と今、思う。
やっぱり、幼くて、経験が浅くて、危険を感じる想像力も浅くて、大変なことが起こるなんて思ってもいないような、
というか、大変なことが起こるという概念すらがスッポリ抜けているような、
いや、だからといって、絶対大丈夫!みたいなポジティブ思考でもないような、
ただフラットにいるだけ、みたいな。
これは、幼さや無知さがそうさせているのだろうか?
でも、幼くても無知でも、普通の子供なら、
母親が心配でならないのが当たり前なのでは?
でも、やっぱり、とても不安で心配だったとか、
いつものゾワっと感を感じたという記憶はどうしてもなかった。
午後19時頃、
祖父が、母をみつけてきた。
近所の空き地の草むらで寝ていたらしい。
目と鼻の先の場所だったけど、
草が生い茂っていて、辺りも暗くなってきて、
見つけにくかったのだと思う。
救急車がすぐ来て、母は運ばれていった。
大人たちが対応していて、母の様子がどうだったかは、私は見ていない。
多分、歩けないくらい、グッタリしていたんじゃないかと思う。
そして、もしかしたらこの日の何日か前からも、様子が少しおかしかったのかもしれないと、今
少し思い出した。
前回のように、何か鬱々としていたことがあったようにも思う。
そこに、お葬式という悲しいことがきっかけになって、一気に症状が加速したのかもしれない、と大人たちがその時、話していたと思う。
そして、この時の私の心情はというと、、
家に救急車が来る、というのが初めてのことで、
小3にはやっぱり、まぁまぁの衝撃だった。
田舎の道路に響き渡るサイレンは、近所の人を集めた。
田舎なんで、どこに来たとかバレバレだった。
で、今また思い出してきたのだけど、、
この時、やっと、今、本当に大変なことが起こってるんだ、、というのをやっと認識したように思う。
救急車の、どこか不安を感じるサイレンの音。
家の前は国道だから、救急車はよく通る。生まれてからずっとサイレンは間近に聞いてるはずだけど、やっぱりなんだかよくわからないけど毎回怖いと感じる。
そんな救急車が、自分の家に向かってくる。
サイレンの音が、いつもより近く大きく迫ってきて、不安な気持ちになった。
この辺りで、ゾワっとしたかもしれない。
大変なことが、起こっていたんだったって。
救急車のサイレンで、母の大変な状態に気づくとか、なんと鈍感で無頓着なんだろう。
この時のことは、何度思い出しても、考えても、今の私からすると、よくわからない感情でした。
そして、前回と同じ、
母はそのまま入院して、2週間程で退院。
また、いつもの母に戻って帰ってきた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?