おとおとの 野球の話
僕たち兄弟は野球を知らない。
いや知らなかないよ?
知らないって言ったけどピッチャーが投げてきた球を打ったら反時計回りに走るくらいは知ってるよ?
ほかには
イチローや松井がメジャーで大活躍とか
王、長島とか
バース掛布岡田とか
宇野の頭にボールがごっちんとか
だかしかしとにかく野球を知らない。
おそらく僕ら兄弟の世代は父親の娯楽が野球かプロレスをテレビで観ることくらいだっただろうから自分の父親の好きな球団にそのままファンになるという流れなのに対し、
僕らの父親は野球を全く観ない人なのでその男子の王道の流れにならなかった。
そんな父親がチケットを買ったのか新聞屋あたりに貰ったのかは定かじゃないが気まぐれで数回東京ドームに野球観戦しに連れて行って貰ったことがある。
しかしこれが連れていく側もいかれる側も野球観戦の所作をまったく知らないので困ったものである。
ドームの観客席に着くなり
「ちょっとビール買ってくる」とどっかへ行ってしまった。
席で待ってれば売り子のお姉さん来るのに。
少ししたら父が戻ってきて僕に
「ほれこれ」
と紙コップに入ったオレンジジュースといっしょに巨人のロゴの入ったものをいくつか渡してきた。
まあせっかく来たし土産に買ったろうと思ったのだろう。
メガホン1コと下敷き
お父さんよ。
前の野球帽被った少年ロゴからジャビットくんに変わって格段にかっこよくなった巨人のオレンジと黒のグッズだから買ってくれたメガホンは確かに嬉しい。
だがしかしだ。
メガホンってこれ多分2個でポコポコやって応援するためのもんでしょうよ。
1個だけあっても持つとこの一番下の小さな穴から「がんばれー」って言うくらいのもんである。
そして下敷き。
野球を知らない父が下敷きで選んできた選手は松井でも桑田でもクロマティでもなくなんと監督のミスター!!
わかるよ。
そら父ちゃんが子供の頃の彼はすごいカリスマ選手で
別の球団を応援している人でもミスターだけは別次元にいる。そんな華のあるスター選手だ。
でももう監督だし。セコムだし。
そして7回が終わる頃。
父が突如、驚きの提案をしてくる。
「終わってから帰ると混むし飯屋も閉まっちゃうからもう行かない?」
父ちゃん。
さては飽きたな。
しかし提案された僕こと肥満児はまったく野球少年でははまったくない。
なんなら腹減ったから早く終わんねーかなとすら思っていた。
父の提案を二つ返事で了承し
野球を知らない親子はビッグエッグから早々に撤退して美味しいものを食べに行った。
結局試合の行方も分からない僕は次の日
「昨日ドームに野球を観に行った!!始球式はあの小錦だったぜ!遠くから見てもデカかったぜ!!」
とちょっとズレた自慢話と
ちょっとズレた下敷を
友達に披露した。
以上
野球を知らない僕の
野球の話でした。
次回は僕よりもっと野球を知らないあにの
もっとズレた野球の話です。