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【農業女子にインタビュー】様々な経験を経てりんご農家を継いだ澄佳さんが考える、農業の課題とは?
こんにちは!農GIRL×農LIFEプロジェクト事務局です。
農GIRL×農LIFEでは、全国の農業女子の皆さんと一緒に、農業のイメージ向上や魅力発信、コミュニティづくりに取り組んでいます。
SNSでの農業女子紹介や、農作物のプレゼント企画、直売所での加工品販売など、様々な企画を実施してきましたが、『農業女子ひとりひとりの魅力をもっと伝えたい!』という想いから、このnoteでは農業女子により密着したインタビューを配信しています。
《前回の記事はコチラから↓↓↓》
今回は青森県・弘前市南部で5ヘクタール以上、合計9ヶ所の広大な土地でりんごづくりをされている相馬克彦りんご園・相馬澄佳さんにインタビュー。
りんご農家に長女として生まれ、大学4年生から3年間青森県のりんごをPRする「ミスりんご」としても活動をしていた澄佳さん。
本格的に就農を決意した理由や、様々な経験の中で気がついたりんご農家としての課題など、たっぷりお話を伺いました。
■りんご農家になるまで
Q.澄佳さんはご実家がりんご農家という環境で育ったと思いますが、お家のお手伝いを始めたのは何歳ごろでしたか?
ーー気が付いたら手伝っていたので、具体的に何歳ごろだったかは覚えていません(笑)
子どもの頃は、畑の中でオニヤンマを捕まえたり、落ち葉や剪定枝を集めて焼き芋をしたり、おじいちゃんが草刈機やオバケ(園内移動するための屋根を切った軽トラ)の操縦を教えてくれたり、好奇心旺盛な私にとっては毎日楽しくて仕方がなかったです!
Q.本格的に家業を継ごうと思ったのはいつ頃ですか?
ーー大学三年生の時です。雹(ひょう)が降って園地の5割が被害に遭いました。その時の家族が落胆する姿が忘れられず、『こんな思いをさせたくない』という気持ちから、家業を継ごうと心に決めました。
Q.農業以外のお仕事をしたいと思ったことはありませんでしたか?
ーーありました。
叔父が消防士をしていたことと、高校の職業体験で消防署を訪問したのがきっかけで、消防士に憧れていましたね。
Q.実際に農業以外のお仕事をしていた経験はありますか?
ーーあります!といってもりんご関係なのですが……(笑)
大学4年から3年間、第18代ミスりんごとして活動をしていました。
ミスりんごは青森県のりんごをPRするために、全国各地でキャンペーン活動を行なったり、幼稚園や小学校で食育活動を行なったりしていて、年間100日ほど活動日数がありました。
当時は、りんごのシーズンの10月〜3月はミスりんごとしてお仕事をして、4月〜9月は農園の手伝いをしていました。
ミスりんごの任期を終えてからは、りんごの苗木を販売する会社に勤めていました。
大学時代、農業の経営や経済・流通について学んでいて、『りんごの苗の流通』をテーマに卒業論文を書いたのですが、その時に勤めることになる会社とご縁があって、りんご農家を継ぐための修行の意味も込めて、2年ほど働いていました。
Q.様々な経験をした後、実際にりんご農家になって、変化を感じたことはありましたか?
ーー責任感がとても強くなりました。今までは指示をされてただ動いていたことが多かったけれど、自分で考えて行動に移すことが増えましたね。
ネットでの注文を今までやっていなかったので、LINE公式での注文販売を始めたのですが、直接お客様と繋がりを持ったことで、おいしいりんごを届けたいという想いと責任感が一層強くなったと思います。
■家族とりんごづくりをする日々
Q.相馬克彦りんご園さんは親子三代でりんご作りをされているそうですが、運営は何名でされているのですか?
ーー家族5人と3〜12月まではスタッフ6名で運営をしています。
Q.ご家族で農業をしていて「こんなところがいい!」と思うところはありますか?
ーー家族の仲がいいことですかね!
24時間ずっと一緒にいるので、なんでも話せたり、Instagramに投稿する写真を撮る時にもノリ良く写ってくれたり、とにかく距離が近いです。
Q.反対に、家族で農業をしていて大変だと思うことはありますか?
ーー距離が近すぎるあまり、ついつい言いすぎたり、感情的になってしまうことです。
農作業をしていて、それぞれの作業にやり方があるのですが、『父の言うことが正しい』と分かっていても、自分の意思で動きたいこともたくさんあって……。そういう時に揉めてしまいます。
Q.澄佳さんはどのような作業を担当されているのですか?
ーー剪定や摘果などから収穫までの生産管理全般と、Instagramを利用した広報活動を担当しています。
Q.相馬克彦りんご園で作っているりんごの種類や特徴を教えてください。
ーー全部で15種類あります!
ふじ、王林、ジョナゴールド、つがる、黄王、未希ライフ、メイポール、トキ、華宝、世界一、シナノスイート、高徳、アンビシャスなどです。
特に珍しい品種は華宝、高徳、アンビシャスの3種類。
華宝は2017年に販売が開始された新品種で、甘くてサクサクと食感が良いのが特徴です。
アンビシャスは独特の香りと強い甘みが特徴でシャキシャキとした食感が楽しめます。
高徳は小玉なのですが、蜜入りが多くとってもジューシーでイチオシの品種です!
↓↓蜜がたっぷりの高徳↓↓
Q.りんごの種類の多さや、スーパーで見たことのない品種に驚きました!
ーーりんご農家としては、一般に「真っ赤なりんご」しか知られていない現状がとてもショックですね……。
全国に流通するりんごというのは、どうしても日持ちがする品種や、大玉の品種が多く、おいしくても知られていない品種や、生産地でないと出回らない品種がたくさんあります。
それぞれの品種や苗木ができるまでにたくさんのストーリーがあって面白いですよ!
Q.おいしいりんご作りをする上で、特に大事にしていることはありますか?
ーー剪定に力を入れて、太陽の当たり具合や作業効率を重視した枝切りを心がけています。
父がりんご農家が所属する「青森県りんご協会」で、剪定のスペシャリストを育成するプログラムに参加していたので、父を見習って日々勉強をしています。
剪定は様々な流派があって、各地に有名な先生がいるのでそういった方や、会社に勤めていた時に面識のある方にも今後教わっていきたいと思っています!
(上)剪定作業の様子。
雪が降る青森県の冬場の作業はとっても日焼けをする為、日焼けと剪定中に降る木くずによるケガの防止用として、スキー用のゴーグルやネックウォーマーなどを着用しているそうです。
Q.澄佳さんオススメのりんごの食べ方を教えてください!
ーーりんごを横にして輪切りにする『スターカット』がおすすめです。
皮ごと栄養たっぷりで、芯のギリギリまで食べられるし、普通の切り方と食感が変わって美味しいですよ♪
真ん中が星の形に見えることからスターカットという名前が付けられたそう。なんだかとても可愛らしくて簡単なので真似したくなりますね!
Q.相馬克彦りんご園のりんごはどこで買うことができるのですか?
ーーLINE公式アカウントで注文を受け付けています。
現在少量小品目ですが、今後ラインナップを増やしていく予定です。
気になった方は是非お問い合わせください!
《相馬克彦りんご園のLINE公式アカウントはコチラ》
https://line.me/R/ti/p/%40119injnh#~
■ミスりんごの活動を通して見えた課題と今後の目標
Q.Instagramはいつも笑顔でチャーミングな澄佳さんと美味しそうなりんごが印象的なのですが、投稿を始めたきっかけは何だったのですか?
ーーミスりんごとして活動をしたことがきっかけです。
活動をする中で、生産者と消費者の間には、りんごに対する認識や常識にズレがあることに気がつきました。
例えば、「りんごは赤と黄色の2つしかない」と思われていることや、「スーパーでりんごを購入しても重くて持ち帰れない」、「りんごは常温で保存している」というような消費者の声。
生産者の当たり前は当たり前ではないことにハッとさせられましたし、両者のズレを正していくことが私の使命だと感じています。
自分の口に入るものがどのように生産されているのか知りたい方は大勢いらっしゃると思いますし、投稿をすると意外な反応や、アイデアを聞くこともできて楽しいです!
相馬克彦りんご園さんの投稿は、写真だけでなく動画でりんごの品種や作業についての紹介もされていて見ていてとても勉強になります🍎
Instagramの投稿はとにかく全力で楽しむのが澄佳さんのスタイルだそうです!
Q.ミスりんごとしての活動が、りんご農家としても活きているんですね!
ーー活きまくりです!!
PR活動を通して、たくさんの消費者の声を聞いたからこそ、消費者のニーズにあった品種を植えることができたり、少量の商品をつくったり、お客様の声をそのままりんごづくりに反映することができています。
Q.毎日お忙しいとは思いますが、プライベートはどのようなことをして過ごしていますか?
ーー最近はカフェ巡りをしています。
弘前市では『弘前アップルパイガイドマップ』というグルメマップがあって、それを参考にカフェに行ったり、市場調査という名目で、りんごやフルーツを使ったスイーツを堪能しています(笑)。
あと、疲労回復という面では温泉に行きます!
青森県って人口に対する公衆浴場数が日本一多い県なんですよ。
近くにも温泉がたくさんあるので疲れたと思ったら、夜に温泉に行ったり、早朝からやっている浴場もあるので温泉に行ってから仕事に行くこともあります!
Q.澄佳さんの周りには農業をやっている同世代の農業女子はいますか?
ーーいます!知っている中で一番若い子は20歳かなぁ。
りんご農家の娘として農業を継いでいる私と同じ境遇の方がほとんどです。
農繁期は忙しいので、冬場に集まって農業経営についての話をしたり、農家の娘だからこその共感しまくりな話で盛り上がったり(笑)、みんなで気分転換をしています!
りんご協会には女性部があって、そこにも少し上の農家さんが所属をしているので、今後りんご協会の会員になったら、所属をして情報交換などを行なっていきたいです。
りんご協会には地区ごとの「支会」があり、支会ごとに研修などの勉強会が開催されるそう。澄佳さんの地区は約43人の農家さんが所属をしているそうです!
Q.澄佳さんは農家の娘さんで農業をされていますが、農業に興味があっても実家が農家でなければ農家になることは難しいと思いますか?
ーー全然そんなことはないと思います!やる気さえあれば!
ただ、畑は虫がいるし、ヘビとも戦うし、泥だらけになるし、雨や雪が降っても仕事があります。
過酷な環境なのは確かなので、それなりの覚悟は必要かと思います。
Q.澄佳さんの思う、農業女子の魅力を教えてさい!
ーー男性、女性と分けるべきではないかもしれませんが、体力勝負の農作業、重機操縦、建設業など、現場仕事で一生懸命働く女性は輝いてみえます!
まだまだ女性の割合が少ない仕事ですが、その中で女性目線で見えるもの、感じることもありますし、今までと違った視点で物事を捉えられるのは、農業女子の強みだし魅力だと思います!
Q.今後、達成したい夢や目標はありますか?
ーーまずは発信力と販売力を強化したいです。
SNSで多くの方々と繋がれる時代だからこそ、その繋がりを大切に。
生産者の顔が見えて、消費者の顔までも見える関係性を築いていきたいです。
将来的には、農園まで足を運んでもらい、くつろげる、楽しんでもらえるように、直売所やカフェをつくって、農業について知ってもらうことを目標にしています!
先月、27歳のお誕生日を迎えたばかりの澄佳さん。
大学、ミスりんご、就職の経験を全て活かし、日々模索をしながら農作業や広報活動をする一生懸命な姿がとてもキラキラしていました!
これからのInstagramの投稿や、活動の広がりにも注目です★
■相馬克彦りんご園&農GIRL×農LIFEの情報はこちらから!
《相馬克彦りんご園》
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・農GIRL×農LIFE各種SNSはこちらから↓
ここまで読んでいただきありがとうございました♪
次回は福井県で梨農家をしている姉妹農業女子にインタビュー予定。
どうぞお楽しみに!
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