「自分に点数をつけるのを辞めた」話 (Part2)
わたしは医者ではない。だから、これはあくまで持論だけど、メンタルダウンの仕組みはコップと水に例えるとわかりやすいと思う。
コップが満杯になると水が溢れる。そのコップの容量、水の溜まりやすさ、はたまた、どんなことで水が溜まるのかはひとによって異なる。そして、うつの再発率は回を重ねるごとに上がっていく(これは厚労省のデータで出てる)のだけれど、コップの容量が少しずつ小さくなっていくイメージ。1回目の時は疾病に至らないような出来事でも、2回目、3回目はコップがそもそも小さくなってるから、疾病となってしまうこともある。
だからこそ、わたしの1回目のメンタルダウンは説明が簡単だけど、2回目以降は難しいものがある。
当時のわたしも、自分に何が起きているのか理解していなかった。
1回目は分かりやすい。
某大手飲食チェーンを展開する、とある外資系企業に新卒で就職。入社3日目で店舗に配属。アルバイト100人の「上司」になった。
飲食店でアルバイトを経験せずに入社というのは確かにチャレンジングだったけど、それでも
そのお店にはわたし含めて社員が5人いた。店長は、史上最短で店長になった、かわいらしい女性。その他にも3人社員がいて、わたしは5番目だったから、環境は整っている・・はずだった。
入社2ヶ月後、尊敬していた店長が原因不明の病気で退職(24時間営業をやっているので、体調不良で退職する人は多い)。同時期にNo.2の社員が別のお店に異動。5人いた社員は3人になった。
すぐに新しく店長が着任した。ハラスメント気質のあるひとだった。先輩社員2人のうち1人は、早いうちに異動願いを提出することで「逃げる」という選択をした(いま思えばこれが一番賢い)。もう1人の先輩社員は半年くらいハラスメントと格闘してたけど、結局耐えきれずに退職した。
そんなわけで、新卒入社1年目のポンコツ社員のわたしは、ハラスメント気質のある店長と2人で店舗運営をすることになってしまった。
100人くらいいたアルバイトの子たちは一気に40人くらい辞めてしまった。
そりゃ辞めるよね…。わたしでも辞めるよ、あの状況。
そこから数ヶ月は地獄のような日々だった。
わたしが1日3時間睡眠(店の近くの漫喫やカラオケでよく寝てた)とかで働いてもカバーできる量じゃなかった。
バイトしてる子たちには無理をさせなきゃいけなかった。辛い思いをさせた。そんな状態だから、バイトの子たちの中にはお金を盗む子が出たり、リストカットする子が出たり。。全然関係ない子がお金を盗んだ犯人に仕立て上げられそうになったり、なんていう二次的な問題も発生してた。もちろん毎度その対応には追われた。
店長のハラスメントに悩まされるアルバイトの子たちの相談も受けていた。
店は慢性的に人員不足だからサービスの質は落ち、クレームも増える。わたしがクレーム対応に時間をとられている間に、どんどん店はまわらなくなっていく…。
そんな悪循環の中でもなんとか合間を縫って、アルバイトの採用と育成を根気強く繰り返してたある日、たまたまわたしの40時間連続勤務がえらい人に見つかった。
多分その人が手を回してくれたのだろう、ようやく社員が別の店舗から異動してきてくれた。これで社員は3人になった。
採用・育成も落ち着き、ようやく普通になったてきた、と思った頃には、すでに自分の会社のロゴを見ると涙が止まらなくなり、店の最寄駅が近づくと吐き気を催すようになっていた。手遅れだった。
これがわたしの一度目のメンタルダウンの経緯だ。その後わたしは、採用・育成が上手なアルバイトの子をなんとか育てて、これでわたしがいなくてもこの店はなんとかなるだろう、という状況を作って退職するわけだけど、それはまた別のおはなし。
1社目で一緒に働いていたひとがこの記事を読まないことを願いつつ。
Part3につづく。