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NO GUARANTEE MAGAZINE ARCHEIVE ナンシー久美インタビュー(2014年) ①

清心館空手道指導員(元プロレスラー)

ナンシー久美

1970年代半ばのビューティー・ペア・ブームのとき、美少女レスラーがデビューした。そのルックスの良さから、早くから注目を浴び、歌手デビューも果たした。ゴールデン・ペアとしても活躍。それが今回、お話をお聞きした、ナンシー久美さんだ。

プロレス入りのきっかけ

ナンシー久美さんがプロレス入りした時代は、マッハ文朱の歌手デビューが人気を博し、ようやく一般の人たちに、その存在が知られるようになってきた頃。その後、ビューティー・ペア(ジャッキー佐藤&マキ上田)人気が女子中高生を中心に爆発、全国的にブームが起こった。

中学のとき、私たちの年代としては、体格は大きいほうだったんですね。自分自身、格闘技はあまり好きではなかったんですが、柔道の先生に追い回されてました。でもかたくなに嫌だって言って。ガニ股になるとか変な先入観があって嫌だったんです。それが中3で、高校を決めていかなければいけないというとき、とにかく家を出たかったんです。何かい良い方法はないかと考えていて。そんなとき、テレビを見ていたら、女子プロレスやってて。父が見てたんですよね。下の方にテロップで選手募集って出てて。これは面白いかもって何も知らずに、自分で履歴書を書いて送ったんです。それが12月ぐらいだったかな。翌1月に連絡があって、ぜひ面接にきてくださいと。両親に「明日、面接だから」って言ったら、「何?」「女子プロレス」「えっ?」って。当時、オーディションとかはなく面接だけだったんですけど、「今日から採用」って言われて。ルールも知らない、フォールって何っていう感じだったんです。でもなんとかなっちゃうんですね。

出身が横浜だったんですけど、中学が厳しくて、卒業式を迎えるまでは、行っちゃダメだと言われてたんです。どれだけ職員室で泣いたか。まだ、子供だし、ダメだと言われると、意地でも行ってやるってなって。学校に内緒で、セコンドについたり、練習に行かせてもらっていました。かなり、教育委員会でもめたらしいです。今考えると、ケガしたりしたとき、責任を問われるのが嫌だったんじゃないでしょうか。

2か月半でデビュー

入って最初は、びっくりしました。ランニングがざっと10kmなんですよね。考えてもみないことばかり。真っ青な顔して一番後ろからついていってました。15~16歳の頃っていいですよね。義務教育からの流れで、やれって言われたら疑いもせずにやるんですよね。子供のチカラってすごいですよね。幼い頃からやっていたほうがいいのかなあって思います。自然とできていくし。

そして2か月半でデビュー。当時は、受け身ができれば、あとは、実践で学んでいけというのが会社の方針だったんです。デビュー戦、覚えてます。後楽園ホールで、相手は阿蘇しのぶさん。体は小さいのに、リングに上がると大きく見えるんですよ。ボコボコにされました。デビュー戦から場外乱闘ですもん。怖かったし、痛かったし。5分もったのかな。当時、自分の試合が終わったら、すぐにセコンドにつかなければいけないので、考える暇もなかったんですけど。

1年後には歌手デビュー

私たちが入って半年ぐらいたった頃、ビューティー・ペアの人気が出たんです。『かけめぐる青春』を出して、1か月ぐらいで。そのうち、わけわからないうちにフジテレビに呼ばれて。みんなが言うのは、「お前は、一番先に辞めると思っていた」と。おとなしくて気が弱いと思われていたみたい。「よくここまでもったな。だったら、これからも頑張れるよな。歌でも出さないか?」と。16歳だったので嬉しいじゃないですか。「わーい」って。当時、会社の人に言われると、全部ストンとはいってきて「うん」って。その後のことは、頭になかったですね。でも、歌を出すのが決まってからは、こんなはずじゃあというのが続きました。プロレスの実力もないのに歌出してどうするの?って。会社だって、売れない人にはしないだろうって気づいたのが遅かったんです。

歌は、田園コロシアムで発表だったんです(1977年7月29日)。そのとき、佐藤さんと組んで、初めてWWWAタッグのベルトを獲ったんです。それからは、お客さんの野次がすごかったですよ。「それでもチャンピオンか」って。ビューティーのファンの若い女の子に交じって、目の肥こえたおじさんもいたし。ビューティーのファンからは、「隣にいて何やってんだ」って。当時、2つベルトを持つことはできなかったんですけど、佐藤さんがシングルのベルト獲ったことで、12月になったら、佐藤さんがベルトを返上。知らない間に獲らせてもらって、知らない間になくなった(笑)。きっかけはつくってあげたから、あとは自分で頑張れよっていう感じでしたね。そのとき、簡単に返事するもんじゃないなあって思いました。

②へ続く

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