一盌清右衛門
殿は、こう仰られました。
「この椀をこしらえた料理人を呼べ」
その椀がとてもお気に召されたご様子、
普段、物静かな殿には珍しい事でございます。
程なく現れた料理人が平伏すると、
「この料理はなんと申す」
と興味深げに尋ねられました。
「はっ、【極み塩らぁ麺】にございます」
「極み、とな..」
「はは〜」
暫く空になった椀を眺めながら、
煎れたての玉露にも手を付けず、
殿はあらためてこう尋ねられました。
「そちの名はなんと申す」
「はは〜、清右衛門と申しまする」
「清右衛門と申すか」
「はは〜」
「見事な一椀であった..
いっそ『一盌清右衛門』と名乗ったらどうか」
「はは〜 有り難き幸せにござりまする」
こうして御苑の辺(ほと)りに、
一盌清右衛門は誕生したのでございます。
(ほんまかいな!)
【一盌清右衛門 極み塩らぁ麺】
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